バニーガールの女王様
※大変珍しく別軸です※
Twitterでバニーガールコスのしのぶさんを書きたい!という一念だけで書き始めた現代鬼殺隊のぎゆしのです。
気がつけば色んなコスプレをさせまくり、だんだん量が増えてきたのでこちらにも投稿します。
据え膳〜百恋の二人とは大分に雰囲気が違いますので、お口に合えば😂
いつもコメント、ブクマ、スタンプなどありがとうございます☺️嬉しいです!
- 93
- 150
- 3,672
バニーガールの女王様
「ピンヒールは踏ん張りが効きませんねぇ」
豪華な調度品がガラクタと化した部屋の中、胡蝶は大きなテーブルの上に腰掛け、脚を組んでプラプラと振った。
小柄なのに、むっちりと女性らしく魅力的な曲線は、普段は無骨な黒い隊服に包まれているのに、今日は網タイツを纏って、過剰な色気を振り撒いている。
その爪先からポゥンと飛んで行った黒いハイヒールを拾い上げ、冨岡は壁にガンとぶつけてヒール部分を完全に折り取った。
「これで歩けるだろう」
「まぁ、無粋ですねぇ」
靴が壊れた女を抱き上げて連れて行ってくださる甲斐性はないんですかあなた、そんなだから嫌われるんですよ。
クスクスと笑いながら、軽口を叩く胡蝶の頭にはウサギの耳、尻にはウサギの尻尾。いわゆるバニーガールの格好だ。その上から、燕尾服のようなコートを羽織り、真に肌が露出しているのは手首から先と顔、それから胸元。なのにこの色気はタチが悪い。
バニーガールという衣装が、ウサギが年中発情期だという俗説から、「私はいつでもあなたを受け入れる」という、実に身勝手な男の欲望の表れだと聞いたから、余計に。
冨岡は渋面のまま、胡蝶の足に引っかかっていた、もう片方の「元」ハイヒールを脱がせた。そのままその辺に放り投げる。何ですか、もう、と頬を少し膨らませる女の細腰を掴むようにして、抱き上げる。靴を捨てたら瓦礫だらけのこの惨状では歩けないのに、自らの移動手段を奪わせるようなことを言って、冨岡を唆す胡蝶が悪い。
胡蝶を抱えたまま、ズンズンと歩きながら、冨岡は「その服」と苦い声で言った。
「さっさと脱げ。気に入らない」
冨岡に対しては、まったく主導権を握らせないくせに、「バニーガール」とは。冨岡はせいぜい膝まづいてお許しを乞う下僕程度の立場なのに、任務のためとはいえ、どこぞの馬の骨の前でその格好を晒したのか。
「脱がせたいんです? 冨岡さん」
「いらん」
冨岡が剥ぎ取りたいのは、その笑顔だ。妖艶な微笑みという胡蝶の鎧を奪って、一切の余裕を失った剥き出しの女の顔が見たい。
もうそろそろ、隠が駆け付けているだろう。
車を一台回させよう。一番近場のホテルはどこだろう、と冨岡は考えた。
「冨岡さん」
胡蝶がツンと頬をつついた。
「あなたがその手袋、外してくださったら、脱いで差し上げてもいいですよ」
「……承知した」
ほら見ろ。
冨岡は内心で嘆息した。冨岡は膝まづいて足の甲にキスをして、どうかと懇願する立場なのだ——胡蝶がそれを許すのが、己だけだと思えば、そう悪くはないと思ってしまう自分が、一番どうしようもないことは、よくよく分かっていたけれど。
たまには、この白手袋を叩きつけてやってもいいかもしれない、ベッドの上で。主導権争いに、いつもいつも負けてやる必然性は、ないのだから。