▲25cm LP – 吹奏楽部の息子たちと一緒に(日本ワールド、W-313、1968年、齋藤庸介氏所蔵)
▲W-313 A面レーベル(褪色アリ)
▲W-313 B面レーベル
▲W-313、インレーカード
2022年(令和4年)の寅年、新年早々の1月4日(火)にアップロードした《第161話 得津武史「吹奏楽部の息子たちといっしょに」への旅》への反響は、ある程度予期していたとはいえ、その予想をはるかに超えるものだった。
それだけ、かつて兵庫県西宮市立今津中学校吹奏楽部の名を全国に轟かせた伝説的指導者、得津武史という人物のネーム・バリューが大きかったということだろう。
アップ直後の第一波は、ホルン奏者の下田太郎さんからもたらされたつぎのメールだった。下田さんとは、《第159話 ヴァンデルロースト「いにしえの時から」世界初演》でもお話ししたとおり、都合の合った各地で“夜のミーティング”を絶賛開催する間柄だ。
『先月18日、私は大阪に居りました(笑)。フェスティバルホールでの公演を20:30に終えて、緊急事態宣言中に長く休業を余儀なくされていた、JR甲子園口駅近くの焼き鳥屋さんでビールを頂いていました。こちらのお店の店主さんが、得津先生時代の今津中のOBで、まさに得津先生のお話で盛り上がっていたので、偶然に驚きました…..。』
下田さんの出身母校の福岡工業大学附属高校には、今津中出身者が何人も進学しており、附属高時代の先輩後輩つながりの縁りもあって、氏と今津中OBとの間には深い交流がある。筆者も、彼らの愉快な宴にお誘いを受けたことがあった。
メールにある“先月18日”とは、かつて「バンドジャーナル」誌(管楽研究会編、音楽之友社)に連載された得津さんのエッセイ「吹奏楽部の息子たちといっしょに」の全貌を確かめるべく急遽上京。上野の東京文化会館4階の音楽資料室で、同誌の調査に没頭していた年末の12月18日(土)、まさにその日で、下田さんはその偶然の一致に驚いたという訳だ。
下田さんのこのメールに続き、この日は、新年の挨拶も兼ね、全日本学生吹奏楽連盟理事長の溝邉典紀さんや関西国際大学の伊藤 透さん、東京佼成ウインドオーケストラのマネージャーの遠藤 敏さん、同じく元トロンボーン奏者の萩谷克己さん、名古屋芸術大学の竹内雅一さん、大阪音楽大学の木村寛仁さんなどからも、つぎつぎとメールや電話が入り、中には質問も含まれていたので、返信などでかなりバタバタした。
ただ、それらを読み返す内、質問を投げてくる人の文面に、得津さんのエッセイを今すぐ読みたいという願望が込められているのに気がついた。
実は、そんなこともあろうかと、《第161話》には、「国立国会図書館」や「東京文化会館音楽資料室」、「図書館データに蔵書検索」などのキーワードを盛り込んでおり、筆者が大阪から新幹線で東京に出向かないといけなかった事情などもお話ししてあったので、PCなどでそれらをたどって普通に検索していけば図書館情報にたどりつくのは比較的容易なはずなんだが、何故かみなさん僅かな時間を惜しむかのように質問を投げてくる。
『どこで読めますか?』と。
今や誰もがネット検索が使える時代なのに、である。
とても不思議だ。
という訳で、今回は、少しばかり実例もまじえながら、筆者の基本的な調査の進め方についてお話ししてみたいと思う。
まず、古い文献資料を当たるには、その所有者を見つけることに始まる。運よく身近に所有する個人がいればそれで解決するが、そうでない場合、全国の図書館が頼りとなる。その内、国内最大の蔵書数を誇るのが、東京の国立国会図書館だ。とはいえ、同館にも所蔵しない書籍も当然あるので、図書館同士の蔵書情報などを交換・検索するためにデータベースが存在し、その活用がとても有益である。
以上が、アプローチまでの基礎知識となる。
ここからは、件の「バンドジャーナル」誌を例に話を進めたい。
まず、グーグルに“国立国会図書館 バンドジャーナル 蔵書”と打ち込んで普通に検索してみる。すると、同館には創刊号(1959年10月号)からしばらくの間のバンドジャーナルの所蔵がなく、最も古い蔵書が第3巻12号(1961年12月号)と出てくるので、残念ながら所蔵のない号もあることが判明する。ちょっとガッカリするが、雑誌ではよくある話だ。また、12巻12号(1970年12月号)までの編者が“管楽研究会”だと表示されているのも興味深い。(参照:《第135話 我が国最高の管楽器奏者による《マーチの極致》》)
ついで、「国立国会図書館」ホームページのWebサービス「国立国会図書館サーチ」の検索窓に“バンドジャーナル”と入れ、検索結果の項目をスクロールしながら“バンドジャーナル”の項を見つける。その際、1970年までの初期の号を見たい場合は、その中から“管楽研究会”と表示されているページを選択し、さらに右側に表示される“見る・借りる”の項目から“CiNii Booksで探す”を選択。すると、全国の大学図書館などで蔵書を持つ図書館が表示される。CiNii(サイニ)とは、国立情報学研究所が提供するデータペースのことだ。
ただ、ここで留意したいのは、このシステムの蔵書表示が、創刊の1959年を起点(第1巻)とする“巻数”とカッコ内に表示される“号数”の組み合わせで表示されていることだ。
例えば、4(10-12)という表示があれば、それは創刊4年目の1962年(第4巻)の10月号~12月号を所蔵するということを意味している。
これには慣れるまで少し戸惑うことになるかも知れないが、このルールさえ理解してしまえば、あとは簡単。目的の号を持つ図書館を見つけてコンタクトすれば、目的が達成されるというわけだ。
因みに、《第161話》で示した「吹奏楽部の息子たちといっしょに」掲載号を当たっていくと、思っている以上に簡単に、探している号がすべて所蔵されている以下の6館を見つけだすことができる。
国立国会図書館
東京文化会館音楽資料館
愛知県立芸術大学 芸術情報センター図書館
大分大学 学術情報拠点(図書館)
東京藝術大学 附属図書館
明治学院大学図書館付属 日本近代音楽館
他方、在阪図書館においては、エッセイが掲載されている可能性のある号は、残念ながら、大阪芸術大学図書館にわずか1冊が所蔵されるだけだと判明。それが、筆者をして新幹線で東京に向かわせる直接の引き金となった。
しかしながら、新幹線運賃を払った成果は上々!!
アップ翌日にも、東京のフルート奏者、岡本 謙さんから『こちらで持っていても、宝の持ち腐れになってしまいます。』とメールが届き、その結果、1966~1968年のバンドジャーナル7冊の贈呈を受けたり、Osaka Shion Wind Orchestra事務局の齋藤庸介さんが個人所有する、今津中初の25センチLP「吹奏楽部の息子たちと一緒に」(日本ワールド、W-313、1968年)を見せてもらったり、なおも余韻はつづいた。
動けば必ず何かが起きる!!
レッツ・トライだ!!
▲EPレーベル – 第16回全日本吹奏楽コンクール優勝(記念)(日本ワールド、W-347)A面
▲EPレーベル – 第16回全日本吹奏楽コンクール優勝(記念)(日本ワールド、W-347)B面
▲EPレーベル – 第17回全日本吹奏楽コンクール優勝記念(日本ワールド、WA-1087)A面
▲EPレーベル – 第17回全日本吹奏楽コンクール優勝記念(日本ワールド、WA-1087)B面
▲EPレーベル – 今津中学校吹奏楽部 華麗なる招待演奏 得津先生ハリキル(日本ワールド、JWR-4000)A面
▲EPレーベル – 今津中学校吹奏楽部 華麗なる招待演奏 得津先生ハリキル(日本ワールド、JWR-4000)B面
▲EPレーベル – 第20回全日本吹奏楽コンクール(金賞受賞)(日本ワールド、W-514)A面
▲EPレーベル – 第20回全日本吹奏楽コンクール(金賞受賞)(日本ワールド、W-514)B面