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FIP(猫伝染性腹膜炎)とは?

2023年6月16日(金)

FIPとは、ネココロナウイルス(FCoV)を原因とする主に若齢の子に発症する病気です。(ヒトの間で流行しているコロナウイルスとは関係ありません)不治の病と言われており、ほぼ100%死に至る病気で恐ろしく進行も早いです。(無治療の場合、中央生存値8日間)
治療だけではなく、症状も多岐に渡るため(腫瘍を作るもの、胸・腹部に水が溜まるもの、眼が赤くなる、頭の中で神経を蝕むもの)、診断も難しくあっという間に手遅れになってしまうのが特徴です。

 

※腹水が貯まってしまった猫のレントゲン

 

※胸水が溜まってしまった猫のレントゲン

 

FIPの原因
猫に感染する低病原性のネココロナウイルス(FCoV)が突然変異することで様々な場所に広がり過剰な免疫反応が生じることで引き起こされます。原因は複数ありますが飼育環境(多頭飼育)やストレス、その他ウイルスの感染と言われていますが明らかではありません。純血種に多いと言われています。

 

FIPの診断
FIPの診断は、一つの検査で確定診断ができるわけではないため診断の難しい病気です。
そのため臨床症状、血液検査、レントゲン検査、超音波検査など様々な検査から他の病気を除外しながら調べます。
また、腹水・胸水がたまるタイプは、その液体の性状を調べ、抗原検査などを行いウイルスの検出を行います。

 

FIPの治療
前述した通り、元々は不治の病と言われ、発症してしまうと治療することが困難な病気でした。以前は、対症療法やインターフェロンなどを用いることが主体でしたが、残念ながら極めて予後が悪く治らないことがほとんどでした。
そのような状況のなか、世界的権威であるDr.Pedersonが長年の研究により『GS-441524』という薬剤がFIP治療に可能性を示す報告が出されました。
しかし残念ながら国外の複数社から類似のものやコピー品が数多く流通し、問題となっていました。
当院としてもなんとか救ってあげたい、ただ倫理的な問題のあるコピー品を使用することはできない葛藤を抱えておりました。
一方、2020年以降から新型コロナウイルスの感染拡大により、治療薬が早急に必要となったのをきっかけにギリアド社からGS-441524に似た『レムデシビル』が承認薬として流通することになり、これは注射薬として投与が可能であり、猫の体内でGS-441524に変化することから有効であると報告され、正規の医薬品として使用することができるようになりました。ただ、国内での流通はないため当院では、海外から輸入することでレムデシビル、GS-441524を使用し治療を行います。

 

※安価なお薬として『モルヌピラビル』がありますが、重症例では効果が乏しく、また安易な使用より、耐性ができてしまうことが世界的に懸念されています。(せっかく、長年の研究で効果があるものが分かったのに、安易な使用でより強力なコロナウイルスになり効くものがなくなってしまいます)一部、サイトには個人輸入を推奨するものや、ブリーダーさんからもらったなどと言う理由で来院する方もいらっしゃいます。薬である以上、メリットデメリットがあり薬用量などは、体重や状態によって異なるため安易な投薬は行わないようにしてください。

 

FIPの治療では、早期に適切な治療を実施することが大切です。診察をご希望される場合は、事前にお電話にてご相談ください。
(058-233-3888 担当獣医師/藤原)

 

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