テレ東・竹崎由佳アナ「東京五輪を担当したい」 スポーツキャスターの夢追い転職

卓球ファンから声をかけられ「認知していただいていることがうれしかった」と話す竹崎由佳アナ(カメラ・頓所 美代子)
卓球ファンから声をかけられ「認知していただいていることがうれしかった」と話す竹崎由佳アナ(カメラ・頓所 美代子)

 テレビ東京のスポーツ中継キャスターとして活躍している竹崎由佳アナウンサー(30)。東京五輪、北京冬季五輪のキャスターを務め、同局が注力している卓球中継にも長年携わり、5月末に南アフリカ・ダーバンで行われた世界卓球でも現地から熱戦の模様を伝えた。関西テレビのアナウンサーから五輪キャスターの夢を追い2017年に転職。「コツコツ積み上げた先に、力を出し切る」をモットーに、アスリートの心に実直に寄り添ったリポートを理想としている。(宮路 美穂)

* * * * *

 卓球史に残る死闘と呼ばれた名ゲーム。世界卓球の女子シングルス準々決勝、日本の早田ひなが世界3位の中国・王芸迪を死闘の末に下し、ミックスゾーンで早田を待ち受ける竹崎アナの目には涙が浮かんでいた。「最終ゲームで9度のマッチポイントをしのいだ試合。激戦に興奮し、感極まりながらインタビューしました」

 当該の映像を見ると、冷静にインタビュアーを務めているように見える。しかし、本音は「頭が真っ白になっていた」という。「準備した質問が出てこなくて、その時に素直に出てきた質問をさせていただきました。後日、先輩たちには『心から聞きたいことを聞いているようだった』と言っていただけた。必ずしも準備したものをぶつけるっていうのがいいわけじゃなく、その場の空気を届けることも大事なんだ、という学びがありました」。女子シングルスの銅メダル、混合ダブルスでの銀メダルなど、熱戦を連日リポートし、確かな手応えを感じた。

 卓球中継は入社2年目の18年から担当。卓球経験はなかったが、初めての国際試合に「ボールから火が出ているように見えた」と一気にのめり込んだ。卓球中継に尽力しているテレ東だが、コロナ禍もあって、選手への事前取材の機会が確保できないことも多かった。だからこそ練習会場にはなるべく足を運び、試合までに事前準備を徹底。試合中もメモを取りながら、インタビューに備える。「ミックスゾーンに来るまでの短い間の移動中、どんな顔をしているかなってギリギリまで見ています」

 もともと文化系で、スポーツには縁のない学生生活を送っていたが、15年に新卒で入社した関西テレビでスポーツ番組を担当したことで「スポーツキャスターとして東京五輪を担当したい」という夢が生まれ、一念発起。テレ東に第2新卒で転職した。有言実行でキャスターとなったが「東京五輪の時は(コロナ禍で)全然取材ができなかった。自分の中の心残りみたいなものが結構あるので、あの時に経験させていただいたことはちゃんと生かしつつ、パリではもっと役に立てるように、行動力を持ってやりたいなと思っています」と来年のパリ五輪を見据える。

 アナウンサーの道を踏み出した時、自分には色がないと不安になったこともあった。「スポーツ経験が全くないという劣等感もありましたし、3年目ぐらいまでは、自分のキャラクターを作らないと、と焦ったこともありました」。しかし、経験を重ねるうちに「秀でたものはないけれど、私は私だし、誰にもまねはできない」と、自然体の自分のありのままを受け入れられるようになった。

 地道な練習の先に、本番で実力を発揮する竹崎アナのスタイルは、アスリートの生きざまにどこかリンクする。「これからも勉強し続けて、努力し続けたい。スポーツ報道の楽しさを教えてくれた古巣にも感謝していますし、一個一個、経験を重ねた先に目指す舞台があって、そこで出し切る、というが私の理想のアナウンサー像。積み上げて、積み上げて。アスリートの皆さんと同じように、自分の掲げる目標を達成していきたいですね」。取材対象の心に寄り添うアナウンサーとして一歩一歩、階段を上っている。

 ★アラカルト

 ◆竹崎 由佳(たけざき・ゆか)1992年12月16日、大阪府生まれの30歳。青山学院大学文学部卒業。

 ▼ほかの担当番組 この春スタートし、ギャラクシー賞の4月月間賞を受賞した「正解の無いクイズ」では天の声を担当。「MCの呂布カルマさん、相席スタート山添さん、Aマッソ加納さんの雰囲気がすごく明るくて、リラックスして気楽に参加させてもらっています」。ほかに「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ!」「紙とさまぁ~ず」「FOOT×BRAIN」など。

 ▼子役出身 幼少期から小6まで劇団に所属。映画「血と骨」ではオーディションを突破し、主演・ビートたけしの娘役に抜てきされた。

 ▼特技 中・高と吹奏楽部で担当したオーボエ。

 ▼オフの過ごし方 基本はインドア派でアニメ好き。大学で上京したばかりの頃、アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」に救われたという。大の虎党でもあり、野球観戦も趣味。「ホームランを見るとスカッとします」

芸能

個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請 報知新聞150周年
×