韓国メディア、処理水巡り「日本がIAEAに献金」…外務省「初の本格的な偽情報による攻撃だ」
読売新聞6/24(土)9:00
12日、ソウルの国会前で東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」の海洋放出に反対する韓国の漁師たち=AP 【読売新聞社】
松野官房長官は23日の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」海洋放出を巡り、日本が国際原子力機関(IAEA)に献金したとの一部報道を否定し、「偽情報流布に強く反対する」と批判した。海外では偽情報による干渉とみられる例が多数確認されており、政府は警戒を強めている。
報道は、韓国のインターネットメディアによるもので、日本政府がIAEAに100万ユーロ(約1億5500万円)以上を献金したとの内容だ。松野氏は記者会見で、「事実無根だ。日本が献金したり、報告書の結論が最初から決まったりしていることはあり得ない」と強調。外務省は「初めての本格的な偽情報による攻撃だ」(幹部)として、在韓国日本大使館がホームページやツイッターに韓国語の反論文を掲載した。
偽情報で世論に影響を与えようとする「情報戦」の動きは各国で問題になっている。笹川平和財団安全保障研究グループが昨年2月にまとめた提言によると、2020年の米大統領選や台湾総統選などで中露が干渉したとみられる事例が確認された。
偽情報への対処について、日本政府は内閣情報調査室が司令塔役となり、外務、防衛両省が主に情報を収集する役割を担っている。一方、米国では国土安全保障省内に、偽情報を監視して、誤った情報を打ち消す専門機関を設置している。防衛省の政務三役経験者は「米国に倣い、専従の組織を新設することも検討すべきだ」と指摘する。