ボルト締め付けの正しい手順

ねじ 更新:

ボルトを締めるのって、適当な順番でも大丈夫なの?何か決まり事があったら教えて下さい。

このような疑問を持った人へ、お答えしていきます。

多くの場合は部品同士を固定するのに2、箇所以上ボルトで締め付けることが多いかと思いますが、ボルトを締め付ける箇所が多くなるほど、ねじの締める手順を意識して施工する必要があります。

こういった手順通りに施工をしないと、「一か所だけねじが入らない」とか「ちゃんと締めたのに、いつの間にかネジが緩んでいる」とかいう現象が発生してしまうのです。

そうならないための手順は、次の通りです。

  • すべての穴にネジを差し込む
  • 対角の順番で締め切る
  • 最後にもう一度確認

すべての穴にネジを差し込む

まずは、すべての穴にネジを差し込みます。間違えないでいただきたいのは、この時点でネジは軽く締める程度にしておくことです。
これを「仮締め」といいます。

最初から締め切らない

材料に空いているネジ用の穴の位置は、必ず誤差があります。
たとえば、端から「100mm」の位置に穴をあけるにしても、実際には「100.5mm」となっています。
そのため、ネジと穴との間には、誤差を吸収するための「遊び」があるのです。
この「遊び」があることで、多少の誤差があっても、すべての穴にネジを通すことができるのです。

最初の1本目のネジから完全に締めきってしまうと、材料が完全に固定されるため、
2本目以降のネジを入れる際に「遊び」が利用できず、ネジが入らなくなる可能性があります。

対角の順番で締め切る

ネジを締め切ることを「増し締め」といいます。

この本締めをする順番について、1本目のネジはどこでも良いですが、
それ以降は以下の図のように、対角の位置関係になっているネジの順で締める
のが正しい手順です。

プレートの締め付け順
フランジ締め付け順

このように締めることで、すべてのネジの締付け力の偏りを最小に抑えることができます。

というのも、ネジを締めていくと、目には見えにくいですが、材料が変形します。
端から順番に締めていくと、最初に締めた方ばかりに締付け力が偏り、
材料が大きく変形してしまいます。

すると、一番遠くにあるネジを締めたときに、
最初と同様に締めたつもりでも、実際には締付け力が弱くなっていたり、
材料と材料との間に隙間ができたりします。
かといってネジを力いっぱい締めると、締めすぎによって逆に緩んだりします。

特に配管に使われているネジの締め付けに偏りがあると、
中から水や空気などが漏れる原因となります。

最後にもう一度確認

1度の本締めでは、それぞれのネジの締め付け力にムラが発生します。
そのムラをなくすためにも、最後にもう一周本締めの確認を行います。

この手順はもちろん対角の位置関係になっているネジの順で行います。

まとめ

家具の組立の説明書などには載っていませんし、大学の授業でもあまり教えてくれません。

ただし、現場で働いている職人さんなどにとっては、常識となっています。

みなさんも是非この手順を覚えておきましょう。


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リヴィ

この記事を書いた人

機械設計エンジニア: リヴィ

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