口笛に笑い、口笛に泣く。
容赦ない展開の中に、このドラマらしさが見えた。
キュンは極上、笑ってほっこりしながら、先の読めないミステリーに考察を巡らせ、名演に引き込まれ泣かされる。金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』(TBS系、毎週金曜よる10時)第4話は、「泣いたり笑ったりしてからの衝撃的展開」「涙止まんない」「感情が迷子になる」「先が読めない」と多くの視聴者を翻弄した。直木(佐藤健)の吹く“へたくそ”な口笛がその落差を物語り、ドラマの根底にある強さや優しさを表しているようにも思えた。
(以下、第4話ネタバレあり)
何らかの事件に巻き込まれ、幽霊になって彷徨っている直木(佐藤健)。恋人の悠依(井上真央)にその姿は見えず声も聞こえない。これまでは直木のことが唯一見える刑事・魚住(松山ケンイチ)を介してコミュニケーションをとっていた。
しかし、幽霊の先輩・樋口(板倉俊之)から「彼女めちゃめちゃ素敵じゃん!直木 幸せだったんだな 何で死ぬんだよ バカだな!」なんて言われながら、息を吹きかけて空気を動かす練習をしていると、直木の口笛が悠依に聞こえることが分かる。
それを判定できるのは魚住だけ。直木が口笛を吹いた回数を悠依が当てる。しかし、直木はもともと口笛がうまくない。
口笛にまつわる二人だけの楽しかった思い出があるから悠依にはそれが直木だと分かるのだ。自然と顔に力が入って必死に音を出そうとする直木の姿に、魚住は思わず「顔 顔(笑)」「いや 顔(顔)」といちいちツッコミを入れずにはいられない。
第3話の号泣シーンもそうだったが、佐藤健のちょっと不器用で情けない姿がキュートなのも本作の魅力。
「ハハハ…聞こえる聞こえる!相変わらず へたくそ~」直木の存在を直接感じることができる悠依は嬉しくて仕方がない。直木も「よし よし!これで直接話せる」とガッツポーズ。直木が悠依の耳元で口笛を吹き、「ちょっとやめて そういうの」とやっぱり嬉しそう。そんな二人をニコニコしながら見守る魚住の嬉しそうな顔が、その空間を余計にほっこりさせる。
そんななか、子どもが失踪。「イエスが1回 ノーが2回」。口笛を使って、子どもの行方に心当たりのある直木が悠依にその場所を知らせる。
子どもは無事見つかったが、同時に見つかってしまった直木の遺体。
鳥の泣き声と木々が揺れる音に導かれるように、魂と肉体が引き合うように、直木は自分の死体を見つけることとなった。