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『100万回 言えばよかった』絶妙に絡む3人、伏線回収がキュンとして辛い

TV 公開日:2023/02/17 53
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中盤にきて新たな人物も登場し、予想のつかない展開を見せている金曜ドラマ『100万回 言えばよかった』(TBS系、毎週金曜よる10時)。主人公の恋人が事件に巻き込まれ殺されて幽霊となり、その幽霊が見える刑事がいて…と、設定としてはファンタジーであるが、その世界に引き込まれ、クスッと笑い、大いに泣かされる。井上真央佐藤健松山ケンイチら演技巧者の体現するキャラクターに感情移入し、丁寧でスリリングに描かれる脚本に毎話心をかき乱される。


【画像】第6話カットを見る


(第5話ネタバレあり)



口笛で直木(佐藤健)と直接コミュニケーションを取れるようになった悠依(井上真央)。遺体が見つかった直木の葬儀の遺影に使う写真を「もういいや これで」(悠依)「口笛2回(“もういいや”で選ぶなよ)」(直木)と二人で笑って選んでいても、心の中には「どんなに好きな写真でも これ以上好きな写真は もう撮れない」という辛さを抱えているし、遺影を直木の両親に渡すのだって、口元が震えるほど嫌だと思っている。それでも、「これにしようかな」「これがいいな」と並ぶ二人の空気は、やさしくて切ない。


このドラマではツラいシーンの後、いつもクスっと笑えるシーンに切り替わる。その一番の担い手は魚住(松山ケンイチ)。「デ…デートしませんか?」と、たどたどしく切り出したデートの誘いは、もちろん直木の意向をくんでのことだが、魚住の悠依を見つめる表情が少し変わってきたように見える。紅茶は牛乳多めでオーダーし、悠依が「あはっ はーい」と安心したような屈託ない笑顔を見せると、その顔を見つめる魚住の顔が若干とろけている。


圧倒的にお似合いで可愛い悠依&直木のカップルに幸せでいて欲しいと願う一方で、「魚住さんなら許す」と思わせてしまう魚住だが、「相手が喜ぶこと もっと素直に言ったり やったりしてあげればいいのに」と直木にアドバイスしたり、観覧車で2人っきりにしてあげたり、「あなたたちが生きるはずだった未来を奪う権利は 誰にもない」と強く言ったりと、二人に寄り添って力になろうとしている。


「私たちには この先がある!」
「俺たちに この先はない」

遊園地デートでケンカをしてしまった悠依と直木。久々に直木が魚住の体に乗り移り、直接話せたのがその会話。


離れたベンチに座っている悠依と直木の間で、魚住が「あの…こんなところでケンカしないでもらえますか?いい大人なんだから仲直りしてください」。
悠依が「(直木が)乗り移っちゃってホントごめんなさい」というと、魚住が「いやあ まあいいんですけどっ!」とわざとらしく直木の方に強調して言う。それで悠依はちょっと笑って立ち上がる。魚住の存在もまた、悠依の笑顔を取り戻すのに一役買っている。

「でも仲直りはしません」
「こういうときは いっつも お互い うやむやにしたまま なんだかんだ一緒にいるし どうせ またケンカもします 私たちは そんなふうに生きていく この先も」。

悠依の顔は晴れている。今まで通り、いつも通り。それをこの先も続けたい。
そして、うつむく直木のもとへ行き、

「帰ろ」

怒って笑って愛情のつまった一言を投げて前に進んでいく。


「ははっ 自分だけすっきりした顔で言うなよ」と複雑な表情で笑う場面もそうだが、直木は、悠依と魚住のやりとりや悠依を見つめる魚住の様子を気にして見ていたり、何かの言葉が引っかかって複雑な思いを抱えていたりするシーンが多い。佐藤は表情一つでその複雑な余韻をたっぷりと作っている。


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