おわりに

 やはり、自衛隊が憲法で認知されていないことが、今日の自衛隊をもたらしているのではないだろうか。

 もう一つ言えることは、最高学府中の最高とされる東大法学部で憲法を学んだ最優秀と称される学士たちが財務省に配置されることからくる問題がある。

 自衛隊は違憲と学んだ人士が査定官となり、どうして防衛費(増額)に耳を傾けるであろうか。

 おまけに、防衛庁時代からの代々の会計課長は財務省(当時は大蔵省)から出向してきている。

 彼らは予算カットで評価されるわけで、出向先の予算をなるべく抑える
ことが本人の評価につながるという構造的な人員配置の問題がある。

 防衛省に昇格したことにより政策決定の権限を持つことになったと言われるが、高橋洋一氏によるとどうやら防衛省の会計課長は依然として財務省の出向ポストのままのようである。

 その高橋氏は「防衛費水増し・増税」特集の月刊誌『WILL』(2023年1月号)で、「財務省に国を想う心ナシ」の掲題で投稿している。

 内閣法制局は各官庁の局長以上の人事に関与するのであろうが、安保3文書を身のあるものとするためにはトップクラスを防衛省に配置するくらいの卓見が求められる。

 もっと遡り、キャリアを目指す人士が国家の安全こそが最大にして最高の任務と理解するならば、東大法学部卒のトップクラスはまず防衛省を希望するという意識改革が求められているのではないだろうか。