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18歳候補生「弾薬を奪って外へ行きたかった」供述 陸自3人死傷

毎日新聞 / 2023年6月20日 19時51分

3人が死傷した陸上自衛隊日野基本射撃場=岐阜市で2023年6月20日午前10時20分、兵藤公治撮影

 岐阜市の陸上自衛隊射撃場で隊員3人が撃たれ死傷した事件で、殺人容疑で送検された自衛官候補生の男性(18)が「弾薬を奪って外に行きたかった」という趣旨の供述をしていたことが、関係者への取材で判明した。ただ、なぜ射撃場から銃と実弾を持ち出そうとしたかは明らかになっていない。憧れだったという自衛隊に入隊した直後の行動としては不可解な点も多く、詳しい動機の解明が捜査の焦点となる。

 事件は21日で発生から1週間を迎える。14日午前9時すぎ、射撃訓練の開始直後、順番待ちをしていた候補生が自動小銃を隊員3人に向けて発砲した。第35普通科連隊の菊松安親1等陸曹(52)と八代航佑3等陸曹(25)が死亡し、原悠介3等陸曹(25)も全治3カ月の重傷を負った。

 自衛隊の施設内で発生したため、陸自の警務隊が主体となって捜査している。関係者によると、候補生は「銃と一緒に弾薬を持って外へ出たかった」などと供述。3人とは射撃場以外ではほとんど接点がなく、「弾薬を奪い取るために邪魔な人たちを撃った」という趣旨の説明をする一方、殺意は否定したという。

 射撃場には、実際に弾を撃つ「射撃位置」につく前に、次の人が立つ「待機線」や、銃と服装などの点検をする「準備線」がある。候補生は準備線で弾倉に実弾を込める作業中、無断で弾倉を小銃に装塡(そうてん)したという。

 当時、4人が一つのグループで作業をしていたが、周囲にいた指導役の隊員は1人だった。勝手な行動に気付いた八代3曹が止めようとしたところ、候補生は「動くな」と叫び、小銃を発砲。その後、右後方へ向きを変え、弾薬置き場へと近づいていった。置き場に座っていた菊松1曹に向けて発砲。隣にいた原3曹を撃った後、菊松1曹にもう1発発砲したという。

 射撃訓練は4月に入隊してから5回目、実弾を使うのは4回目だった。この日は最後の射撃訓練で、実技試験に当たる「検定」が予定されていた。関係者によると、候補生は「その日に思い立った」とも説明しており、突発的に犯行に及んだ可能性がある。基礎的な訓練を終えた後、6月末には部隊に配属されることになっていた。

 友人らによると、候補生は子どもの頃からしばしば自衛隊への憧れを口にし、サバイバルゲームが好きだったという。警務隊は生い立ちや入隊前の生活状況なども含めて詳しく調べる方針。公判では刑事責任能力が争点となる可能性があり、岐阜地検は精神状態を調べるため、鑑定留置も検討する。【森田采花、田中理知、熊谷佐和子】

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