「ささや」が6月末で閉店へ 上田市中心部のにぎわいの場

6月末に閉店する「ささや」。上田市中心市街地で宴会や企業の会合などの会場として親しまれてきた

 宴会場やパン店経営のささや(上田市)は、宴会や婚礼などで利用されてきた上田市中央2の店舗を6月末で閉じ、直営のパン店やフランチャイズ契約の飲食店の経営に注力する。店舗は同市中心市街地に立地し、冠婚葬祭やさまざまな会合の場として地域に親しまれてきたが、新型コロナウイルスで需要が落ち込んだ。社長の米津仁志さん(56)は「コロナ前と同じ社会には戻らない。今が経営を変える最後のチャンス」と今後を見据える。

 ささやは1925(大正14)年、現在は駐車場となっている場所に食堂として開店。68年に現在の建物を新築し、宴会場や結婚式場を始めた。ピーク時の95年ごろには週末は結婚式や法事、平日は企業の飲み会などでにぎわい、宴会場としての売り上げは近年の2倍以上あった。

 画家としても知られる2代目の米津福一(雅号・福祐)さん(86)の長男で04年に社長に就任した仁志さん。積極的にフランチャイズ契約を結び市内外で外食店の経営数を増やすなど従来の宴会需要だけに頼らない事業展開も模索した。

 新型コロナ下の21年3月、中央2の店舗1階で高級食パンやフルーツサンドを扱う「太郎吉パン」を開業。高級食パンブームで売り上げを伸ばしたが、店舗を閉じるのに先立ち今年4月末に閉店した。

 昨年9月、国の事業再構築補助金を活用して同市踏入にパン店「ベーカリーパンビ」を開いた。今年3月には長野市稲里町にも出店。生地作りから焼き上げまでを店内で行い、100種類以上を販売。「日々の生活に寄り添うパンとして、安定的な需要を見込んだ」と言う。

 仁志さんは「新型コロナによって(自社を含め)人手不足や生産性の低さなど、飲食業が抱えていた問題が表面化した」と指摘。上田の中心でにぎわいをけん引した店舗の閉鎖は心苦しいとしつつ、「ささやは大正時代から常連さんに支えられてきた。今後も上田の人々に繰り返し使ってもらえるような店を経営していきたい」と語った。

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