直木が抱える感情はグチャグチャ。
「どうしようもない」「死は理不尽だけど平等」だと頭では理解しようとしている。「悠依を巻き込んで しがみついて あいつの人生までメチャクチャにするとか ない あり得ない」「でも だからって 悠依が他の誰かと とか 死んでも嫌だし そんなこと言ってる自分も嫌だし」。
「でも」と気持ちを振るい立たせては「でも…」と戸惑い、「とにかく」ともう一度偽りのない感情を言葉にする。
「とにかく悠依には笑っててほしい。それだけ」
刻一刻とその感情は揺らいでいるのだろう。
すると魚住の嗚咽が…。直木も「ちょっ…えっ どうしたの?」と思わず心配になるくらい泣いている。「もしも どうしても 悠依さんに何か伝えたいことがあったら 僕の体 使って」と遠慮せずに自分の体に乗り移っていいと申し出る。「ぼぉくのからだぁ…使ってくださ~い」「あなた達は 最高だ」と大号泣する魚住は、もはやヒロイン?魚住さんの愛くるしさが爆発し、視聴者からも「魚住さんが愛おしい」「魚住さんが可愛すぎる!」「魚住さんが好きすぎる」と、魚住さんへの告白が相次いでいた。
生死の境目で、フィクションだけれど感情移入して、切ないけれど悲しいだけじゃなくて…。そのバランスを取ることは決して容易なことではないはずだが、緩急をつけながら丁寧に描かれる物語と、その複雑で経験したことのないような感情を体現していく佐藤健と松山ケンイチの凄みを感じる。二人が見せる複雑な感情で、視聴者の感情もグチャグチャだ。
さらに、そんな魚住も命の危険が…。幽霊に乗り移られる者は、「すみやかに霊から離れられなければ 命を削られ やがて 命を落とす」らしい。ここにきて、まさか魚住の命の心配まですることになろうとは…!またしても新たな感情の忙しさが加わってしまった。でもだからこそ、まだ見たことのない複雑な感情の芝居が見られるのではないかと、ワクワクもしてしまうのだ。
第6話ラストで、こわ~い笑顔で手招く“ちーちゃん”の車に連れていかれた莉桜(香里奈)と一緒に乗り込んだ直木は何を見るのか。
公開されているロング予告には、ハチドリのオーナー(荒川良々)と直木が対面する場面や、「直木とは会わないでください。うちにももう来ないでください」と悠依に告げられる魚住の姿、「思い残しがあるのは 幽霊だけじゃないですよ」というハヨン(シム・ウンギョン)の言葉も。菊地凛子が演じる謎の幽霊のことも少しずつ明らかに?
そして、第7話では悠依にも命の危険が…!?すでに感情が追い付かない第7話に注目だ。
文:長谷川裕桃