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『100万回 言えばよかった』境界線にある揺れる感情、事件の真相が「ほぼ明らかに」

TV 公開日:2023/03/03 62
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幽霊である直木の言葉は、悠依には聞こえない。生と死の境界線。
襲われた悠依の目の前にいても守れない。駆けつけた魚住(松山ケンイチ)が助ける様子をじっと見つめる直木の表情も、魚住に礼を言う表情も切ない。


魚住に伝えてもらおうとすると、魚住は「乗り移るでもなんでもして 自分で伝えてください そんな魂のこもった言葉は」と言い返す。
“3回幽霊に乗り移られたら命を落とす”と言われている魚住。リーチがかかっているのに迷いなく言う魚住の優しさはあまりにも大きく、強い。「簡単に言うなよ…」直木はそんなことできない。でも悠依は伝えてもらわなくてもわかると言って、「ごめんね、ありがとう」と見えない直木に伝えるのだ。


「死んじゃうって悲しいです」
夫を事故で亡くしたハヨン(シム・ウンギョン)に、幽霊の原田さん(菊地凛子)が謝りにくる。事故の原因は病気で、原田さんも亡くなっている。頭では許してあげなきゃいけないと思う。それでも「私は許してあげないといけないの?」「どうしてあの日に あの時間に どうして あの道を選んだの?…」と涙があふれるハヨン。「あなたのことは…許せない」。生と死の境界線にはどうやったって動かせない感情がある。
そして、これまで「幽霊はいません」「死んだ人と生きている人は住む世界が違います」と言ってきたハヨンも、「幽霊でもいいから会いに来てくれたらいいのに ウジンに会いたい」と願う気持ちがある。境目にある人間の感情は理屈抜きであふれるもの。


人間関係の境界線も。
「大事な人がいる…って よく考えたら残酷ですよね」と悠依が言うと、魚住の姉(平岩紙)は「“他の人より この人”って 順番をつけることだもんね」と同調した。


直木にこれ以上乗り移られると弟が命を落とすかもしれないとなったら、直木に離れるように言うのは当然の感情。それぞれの家族や大事な人という境界線を持ちながら生きているなかで、つらい選択を迫られる。



“幽霊もの”と事件が絡み合って、こんなにも濃厚で本質的な感情に出会うのかと感じる。同時に、これだけのものを説得力をもって伝えるのにはこのキャスト陣が必要だったのだとも思う。


いよいよ佳境。予告映像には「消えてもいいよ」という悠依の言葉も。さまざまな境界線にある感情を浴びながら(時には程よく存在が薄いマーさんに癒されながら)、今夜の第8話に注目だ。


文:長谷川裕桃


【前回のコラム】『100万回 言えばよかった』佐藤健と松山ケンイチが魅せる複雑さ「感情ぐちゃぐちゃ」


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