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『100万回 言えばよかった』秀逸な表情に涙、想像させる奥行きとバランス

TV 公開日:2023/03/09 62
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屋上で口笛を吹く直木。二人の思い出の曲「大きな古時計」もちょっとうまくなった。

「直木 消えてもいいよ」

覚悟を決めて、思いやって、悲しみも混ざった顔で悠依が伝える。


返事をするかのように直木が口笛をまた吹き始めるまでの少しの間、直木の表情はそんなに動きがあるわけではないけれど、悠依の覚悟も優しさも悲しみも全部受け取っていると感じる。
口笛を聞いている悠依の中で静かにあふれる感情。直木の気持ちはわかっている。自分の思いを直木が受け取っているのも分かる。第8話のタイトルロゴが映されたとき、「見えないけど います」と迷いなく言った悠依。二人が“言わなくてもわかる”関係性であることは初回からずっと伝わっている。


見えないけどいる直木に悠依がキス。目を閉じて口笛を吹いていた直木が目を開けると、目を閉じた悠依の顔があって驚いて、今度は直木がもう一度目を閉じる。


触れているのか触れていないのかの距離でそっと口づける二人の気持ちは、しっかり重なっていた。
直木が悠依の髪に手をやったとき、静電気が起こって近くにいることが感じられた悠依。ちょっと笑って見つめ合う二人の表情にギュッと心を掴まれる。二人が愛おしくて、切なかった。


2日後、すっきりした顔で歩くハヨンの姿。実体を伴った原田さんが話しかける。マフラーを手渡すと、
「これ 夫からのプレゼントなんです。ほんとありがとうございました」
「よかったです。じゃあ」


もう一度振り返ってハヨンを見て、素敵な笑顔を残して消えていった原田さん。これで良いのだと思わせる二人の女優の表情に救われる。


一つ一つの表情がこれまで丁寧に描かれてきた心情とつながり、さまざまな想いを想像させる。深く引き込まれた表情の余韻は、また次のシーンにつながっていく。事件の展開とともに、移りゆく心情が丁寧につながっていく感覚を味わえるのも本作の大きな魅力ではないだろうか。


第8話には恐ろしい表情の余韻もあった。

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