現役ドローンパイロットが解説!Airpeak S1をレビュー!【PR】

「ドローンのメーカー」と聞くと、真っ先にDJIが頭に浮かぶ人も多いと思います。しかし、近年では国産ドローンの開発が進んでおり、DJIに匹敵するようなスペックの国産ドローンも販売されています。その中でも、SONYが開発したAirpeak S1はチェックしない理由がないほど高品質な撮影ができる産業用ドローンです。2023年4月18日には点検・測量にも活用できる追加アクセサリも発表され、国産の産業用ドローンとして注目を浴びています。本記事では、Airpeak S1を知らない方でもどんなドローンか分かるよう、Airpeak S1の基本から実際の機体レビューまでをお伝えします。

 

 

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SONY製ドローンAirpeak S1のスペック

一眼レフカメラのような地上で使用するカメラを開発するメーカーの中でも、SONYが開発しているカメラやレンズは非常に高品質なものです。そんなSONYが2021年に販売開始したAirpeak S1は、高画質空撮を実現させるSONYの一眼カメラを搭載できる、高度な飛行性能が特徴的な産業用ドローンとしてリリースされました。まずは、具体的にAirpeak S1がどのような産業用ドローンなのかをご紹介します!

Airpeak S1の基本的な特徴

Airpeak S1の特徴は、その高い飛行性能と撮影性能にあります。Airpeak S1は風速20m/sの強風下でも安定した飛行が可能なため、役者のアクションを追尾するような撮影や、場面の切り替えが早かったり、高速移動したりする対象の撮影に適しています。

また、最大飛行時間が既存バッテリーで約22分飛行可能であり、新しく発表された大容量バッテリーの「LBP-HM1」を使用すれば最大で約29分飛行可能です。産業用ドローンは飛行可能時間が短くなりやすいですが、Airpeak S1は飛行可能時間が比較的長い産業用ドローンであるため、より撮影現場のニーズに沿ったドローンであると言えるでしょう。

Airpeak S1の機体スペック

Airpeak S1は耐久性や安定性にも優れた産業用ドローンです。Airpeak S1は最大風圧抵抗が20m/sと耐風性に優れているため、高速飛行時や突風が引いた時でも風に煽られることなく安定して飛行できます。

また、一般的な産業用ドローンが取得するGNSSはGPSのみであることが多いですが、Airpeak S1はGPS・GLONASS・QZSS(みちびき)の3衛星から情報を取得することで、安定した飛行に拍車を掛けています。なお、Airpeak S1を操縦する際にはUIが優れた専用アプリケーション「Airpeak  Flight」を使用し、アプリ上のアニメーションを含むチュートリアルに従い機体とアプリケーションを接続することで簡単に飛行準備をすることが可能です。

Airpeak S1のカメラスペック

出典:https://www.sony.jp/ichigan/lineup/

Airpeak S1のもっとも優れた特徴と言っても過言ではないのが、Airpeak S1のジンバルにα7C/α7Ⅳ/α7SⅢ/α7RⅤや9Ⅱのような、SONY製フルサイズミラーレス一眼カメラαシリーズを搭載できる点です。

フルサイズセンサーミラーレス一眼カメラと言われても、ピンと来ないという方も多いかも知れません。フルサイズセンサーを搭載したカメラはより広い面積で光を集めることができるため、夜間や日陰などの暗い環境であっても高品質な映像を撮影できます。また、風景や建物のように細部まで撮影したい被写体を撮影する時、フルサイズセンサーを搭載したミラーレス一眼カメラαシリーズであれば最大8Kまでの優れた解像度で撮影可能です。このほか、ミラーレス一眼カメラαシリーズは高速・正確なオートフォーカス機能を搭載しているため、動きのある被写体にも即座にピントを合わせることが出来るため、動きのある映像を撮影するカメラマンからしたら喉から手が出るほど欲しい機能が搭載されています。

搭載可能なカメラはレンズ交換式のカメラであるため、撮影内容に合わせて適切なレンズを選択できるのも特徴の1つです。

これは空撮に特化した産業用ドローンとしてだけではなく、Airpeak S1が点検や測量にも利用できる機体として活躍可能だということにもなりますね。なお、機体とカメラを接続する手法にはTypeCケーブルやマイクロUSBケーブルなどが使用されています。

【2023年4月】Airpeak S1のアップデート・追加アクセサリの発表

出典:https://www.sony.jp/airpeak/about_ARS-S1/industrial/feature_1.html?s_pid=jp_/airpeak/_about_ARS-S1/about_ARS-S1/industrial/feature_1

Airpeak S1は2021年11月に発売開始されたドローンですが、2023年4月18日にはAirpeak S1をさらに幅広い産業用途で活用可能になる追加アクセサリが3つ発表されました。以下では、今回発表されたRTKキット「RTK-1」・大容量バッテリー「LBP-HM1」・軽量ジンバル「GBL-PX1」について解説します。

Airpeak S1 RTKキット「RTK-1」

出典:https://www.sony.jp/airpeak/products/RTK-1/feature_1.html#L1_40

RTK-1はAirpeak S1に取り付けることにより、高精度位置測位を実現する追加アクセサリとして発表されました。取り付けない状態では数m単位でGNSSにより発生する誤差に対し、RTK-1を設置した場合はRTK GNSSによるcm単位単位の誤差まで縮まるため、高精度な情報が必要な点群データの収集や3Dモデリングやマッピングなどに利用可能です。

RTK-1を設置すると複数の衛星から位置情報を取得している状態になるため、飛行動作の制御が容易になるほか、磁気干渉が強い工事現場などでも磁気コンパスが適切に機首方位を認識できるようになるため、飛行における安全性も向上します。

Airpeak S1 大容量バッテリー「LBP-HM1」

出典:https://www.sony.jp/airpeak/products/LBP-HM1/index.html

RTK-1と同時に発表されたのが、Airpeak S1対応の大容量バッテリー「LBP-HM1」です。従来Airpeak S1に使用していたバッテリーLBP-HS1は、最大飛行可能時間がペイロード無しでは最大で約22分の飛行が可能であり、デジタル一眼カメラα7SIIIとレンズFE24mmF14GMを搭載した場合は最大で約12分飛行できるバッテリーでした。しかし、実際の現場ではどれだけ高品質な映像が撮影できても、短時間しか撮影できない機器を導入するのには難色を示す方も少なくありません。

新しく発表されたLBP-HM1は短くなってしまう最大飛行可能時間を大幅に伸ばすことに成功しました。まずペイロード無しの状態では約30分飛行できるようになり、この時点で約8分は飛行可能時間を延ばせています。

気になるカメラ搭載時の飛行可能時間も大幅に伸びており、デジタル一眼カメラα7R IV(ILCE-7RM4)とレンズSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAを搭載している時は最大で約20分飛行可能です。デジタル一眼カメラα7SIIIとレンズFE24mmF14GMを搭載している時とα7R IV(ILCE-7RM4)とレンズSonnar T* FE 35mm F2.8 ZAを搭載している時では総重量が異なり後者の方が軽量ですが、それを差し引いても最大飛行時間が着実に伸びていることが分かります。

例えば測量現場などでドローンを使用する場合は連続撮影した静止画をもとに点群データを作成するため、最大飛行時間が短いバッテリーではバッテリー交換のために短時間で機体を着陸させなければいけません。しかし、LBP-HM1のような長時間飛行が可能なバッテリーを使用すれば、継続して測量業務などを行えるようになります。

Airpeak S1 軽量ジンバル「GBL-PX1」

出典:https://www.sony.jp/airpeak/products/GBL-PX1/

SONYから新発表された商品の3つめは軽量ジンバル「GBL-PX1」です。従来のAirpeak専用ジンバルである「T3 for Airpeak」から約500gほど軽くなっており、バッテリー性能の向上だけではなく、ジンバルが軽量化したことでも最大飛行可能時間を伸ばすことに寄与しています。

GBL-PX1はカメラ・レンズを搭載する際の手間がT3 for Airpeakよりも低減しており、取り付ける際に操作するパーツは1つだけというシンプルな構造です。T3 for AirpeakではカメラのバッテリーやSDカードを交換する際はジンバルからカメラを取り外す必要がありましたが、GBL-PX1は搭載したカメラの各部位に干渉しない設計のため、ジンバルからカメラを取り外さなくてもバッテリーなどを交換できます。

加えて、カメラを取り付ける際にヨー方向が適切な位置に固定されるため、点検や測量のような高精度・高解像度な撮影が必要な業務でも活用しやすい構造です。より精密度を求める場合はRTK-1と併用することで、更に高精度な位置情報を取得できます。

ただしGBL-PX1は搭載できるカメラがα7R Ⅳとα7R Ⅴのみであり、対応レンズも4つのみです。また、GBL-PX1は静止画撮影専用ジンバルとなっているため、映像撮影を主体とする業務には利用できません。

【写真付き】実際にAirpeak S1の詳細をチェック

最後に、筆者がAirpeak S1に実際に触れたり間近で観察したりして感じた、Airpeak S1の特徴をシェアします!

機体全体の収納について

Airpeak S1は専用トランクケースに二段組みで収納できるようになっています。上の段にプロペラやランディングギアを収納し、下段に機体本体や送信機、ジンバルを収納してバッテリー以外を1つのトランクケースで管理可能です。トランクケース内部にはiPad無印がすっぽりと入るスリーブも組み込まれているため、iPadだけ別途持ち運ぶ必要はありません。

全ての機材が収納されたトランクケースは非常に重く、筋肉量が平均的な成人女性1人では持ち運びが難しいように感じたため、持ち運びから組み立てには成人男性が1人は必要と考えてよいでしょう。

バッテリー(LBP-HS1)・バッテリー挿入/取り外し

今回バッテリーは従来型のLBP-HS1を使用しています。バッテリー1個あたりの重量はLBP-HS1が約646gのため、やや重めに感じました。Airpeak S1を飛行させる時はバッテリーを2つ使用するため、機体後方にあるバッテリーパックに差し込みます。画像では中央付近にあるバッテリー取り外しレバーが黄色くなっていますが、これはバッテリーが奥まで入っていないなど、正しく挿入できていない状態を示します。良く「カチッと鳴るまで差し込む」のような説明がありますが、このように明確に色で示されると分かりやすいため、うっかりのトラブル防止にも繋がりそうです。

取り外す際は側面からバッテリーの突起を持ってスライドしますが、バッテリーがしっかりと奥まで入っている分、バッテリーを取り外す際はやや強めにスライドしなければ、取り外すのは難しいように筆者は感じました。

送信機

トランクケースから出した直後の送信機はiPadを設置するモバイルデバイスホルダーが折り畳まれているため、非常にコンパクトな状態です。iPadを設置する際は無印やAirなど、端末のサイズに合わせて固定位置を調整し、Lightningケーブルで送信機とiPadを接続します。今回はiPad無印を送信機に設置しましたが、モニターとしてのサイズ感はちょうど良いように感じました。逆にiPad Airなどでは大きすぎたり、送信機が重くなってしまったりして飛行に影響が生じる可能性もゼロではないため、適度な大きさ・重さのiPad無印がちょうど良さそうです。

設定する際はiPadに専用アプリケーションをインストールするとチュートリアルが開始されるため、指示に従って機体と接続するだけで済みます

アプリケーションを使用するにはソニーアカウントを作成する必要があるため、事前に作成しておくとスムーズに初期設定ができます。

紙媒体の説明書では分かりづらい設定部分や部品の設定も、iPad上でアニメーション付きの説明が表示されるため指示に従って準備すれば設定ミスなどは防げるでしょう。アプリケーション上に表示される説明をすべてこなせば、はじめてDJI以外のドローンを使用する方でも不安なく設定が完了するため、安心して飛行できるサポート体制が整っています。

送信機の裏側にはLightningケーブルなどを接続できるUSB端子のほか、マイクロUSB端子やHDMI端子が用意されていました。HDMI端子が用意されていると、責任者にHDMIケーブルで接続したモバイルモニターを確認してもらいながら業務を進行できるため、実務ベースでは嬉しい機能です。

なお、Airpeak S1の送信機はDJI製DJI Phantom4やInspire2の送信機のようにアンテナが露出しておらず、送信機に内蔵されています。そのため、操縦する際は画像の赤枠で囲った部分を手などで覆わないように送信機を保持しなければいけません。

センサー類

Airpeak S1にはビジョンセンサーとしてステレオカメラが前後左右下方向に設置され、上下方向には赤外線測距センサーが搭載されています。これらの装置によりAirpeak S1は周囲の障害物を認識することができ、フライトコントローラーが自動で飛行を制御することも可能です。

機体前方には前方ステレオカメラとFPVカメラが搭載されています。FPVカメラは一般的な飛行では使用しませんが、例えば操縦者と撮影者が異なるような2名体制で飛行する時などには欠かせない装置です。

プロペラ・モーター

プロペラはクイックリリース可能な形式となっており、プロペラ中央の金属部分の色が黒とシルバーに分かれているためCWとCCWを間違えにくい設計となっています。説明書通りに装着すれば、1分程度で装着可能です。ただし、取り外す際はモーター部分の金属部品を手動で押し下げる必要があるため少し外しにくいかもしれません。

ジンバル(T3 for Airpeak)

今回Airpeak S1に設置したジンバルは従来型のT3 for Airpeakです。GBL-PX1よりもセッティングに少し時間がかかりますが、慣れればサクサクとカメラやレンズを設置できるでしょう。

T3 for Airpeakはカメラのサイズに合わせてジンバルの高さを調整できるため、各種カメラの大きさにピッタリ合った状態でジンバルに設置できます。左右のレバーとチルトフレームを調整するときちんと固定されるため、鮮明な映像を撮影できる準備ができました。

Airpeakがレンタル可能

本記事で使用したAirpeak S1およびその周辺デバイスは、横河レンタ・リース株式会社よりご提供いただいております。

1週間からレンタルすることが可能ですので、Airpeakを一度使ってみたかった方、ミラーレス一眼での空撮を体感したい方は、問い合わせされてみてはいかがでしょうか。
*レンタルは法人のみの対応のため、個人ではご利用いただけません。

▼詳細は、以下ホームページをご覧になってください。
https://www.yrl.com/product/tm_rental/drone/airpeak-s1.html

編集後記

今回はAirpeak S1の基本スペックや2023年4月18日に発表された新商品、筆者目線での実際のAirpeak S1機体レビューをご紹介しました。どうしても「ドローン=DJI」のように考えてしまう方は多いと思いますが、SONYが開発したAirpeak S1を始めとして、国産ドローンはどんどん普及している段階です。今後は「DJIしか知らないから」のように選択肢がない状態で選ぶのではなく、機体スペックやカメラスペックも吟味して国産ドローンも選択肢に入れて考えてみてはいかがでしょうか。