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石破茂氏「防衛力整備の財源は法人税で賄うべき」 「自衛官が国会でもっと議論してこそ文民統制」

東洋経済オンライン / 2023年6月20日 9時0分

塩田:防衛費増額の財源について、増税問題が議論されています。

石破:受益者は誰であり、負担する能力は誰が持っているか、この一致点をどこに見出すかでしょう。戦車でも戦闘機でも護衛艦でも、耐用年数はせいぜい30~40年だから、国債で賄うと、当の装備品の価値は滅失しているのに、借金だけ残る、ということになりかねない。いま、国債60年ルールも取っ払えという話がありますが、これは相当に危ない話だと思います。

国の独立と平和の受益者は国民すべてです。であれば、財源は消費税という議論も成り立ちますが、これだけ格差が開いてきて、消費税で少子化対策も、というところへ、さらに防衛費もお願いできるレベルだとは思えません。消費税には逆進性もあるし、痛税感も強い。そこで応能負担、つまり税の負担力があるところに負担してもらうという考え方を入れるとどうなるでしょう。

防衛費増額の財源は法人税で

防衛産業を担うような国内の大企業には、担税力があるし、日本の独立と平和が維持されて裨益する面も大きい。ですから私は、防衛費は基本的に法人税によって賄うのが国民の理解を得やすいのではないかと思っています。ただし、国内の防衛産業が受注し、そこで雇用と労働者の所得が確保されるのか、そこまで考えなければならない。みんなアメリカの軍需産業に流れていきましたとなったらだめです。

塩田:その方針で、国民の支持と自民党内の賛成を獲得できますか。

石破:それはできると思いますね。借金で、という議論をする人も一部、いますけど、それは応益負担と応能負担の調和点として正しい解答とは思っていません。

塩田:将来的に消費税増税の実現が目標で、防衛費増額を認めることによって、結局、消費税増税が不可避という流れを作るという「財務省の深謀遠慮の増税戦略」が隠されていて、岸田政権はそれに乗せられているのでは、という分析も耳にします。

石破:財務省の防衛予算の担当者とも議論しますが、彼らは「なにがなんでも消費税増税」などとはまったく思っていませんよ。実情をよく知っていますし、それぞれの装備や兵器の性能、コスト、運用についての知識も持っていて、何が日本の防衛に必要かを真剣に考えて議論していると思います。

塩田:もう1点、憲法について、日本の安全保障に役立てるために最も重要だと思う憲法問題はどの点だとお考えですか。

石破:それは文民統制をきちんと確保することではないんでしょうか。

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