政権に飼い慣らされた大手メディアの責任放棄
そして五つ目が、政権にすっかり飼い慣らされてしまった感のある新聞やテレビなどの大手メディアが、国民に伝えるべきことを伝えないことです。政府発表を無批判に垂れ流すことが増え、政府に都合の悪いことはあまり扱わなくなりました。
入管法にしろ、マイナンバーにしろ、徹底的に問題点を洗い出したり、政府の姿勢を追及したりするような報道番組はほとんどありません。統一教会問題にしても、結局、被害者救済法でお茶を濁しただけで、解散命令どころか、自民党内部の浄化などでも何も進展がないままですが、いつの間にかすっかり報道されなくなってしまいました。
冒頭述べた通り、今やこの国の統治の仕組みである議会制民主主義は相当程度壊れてしまっています。今回はマイナンバーを例にしましたが、マイナンバーに限らず、あらゆる重要法案審議に関して、
「まともに説明しない」→「まともに質問に答えない」→「議論や論戦を避ける」→「数の力で押し切る」→「メディアは無批判」→「国民は無関心またはあきらめる」
というようなサイクルがすっかり常態化してしまいました。三権分立もいつの間にか形骸化していて、権力による不正に関しては、検察や司法も及び腰でまるで頼りにはなりません。
この状態を放置する限り、日本の凋落は止まらないでしょう。では、どうしたらいいのか、なかなか良い答えはありませんが、このメルマガでも引き続き多面的に考えていきたいと思います。
* 入管法改正という表記が一般的ですが、改正というよりも改悪と受け止めていますので、ここでは改定という表記を用いました。
※本記事は有料メルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』2023年6月16日号の一部抜粋です。興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
この記事の著者・辻野晃一郎さんのメルマガ
image by: yu_photo / Shutterstock.com