いくつ当てはまる? 「SNS依存症」傾向にある人の行動パターン
PHPオンライン衆知 / 2023年6月19日 7時0分
いまや社会問題にもなっているSNSへの依存。しかし自分がSNSに依存しているのかどうか、はっきり分からないという人も多いはずです。心理士の中島美鈴さんが、SNS依存度尺度を示しながら解説します。
※本稿は、中島美鈴著『脱ダラダラ習慣!1日3分やめるノート』(すばる舎)より内容を一部抜粋・編集したものです。
身近になり過ぎたからSNSにハマるのは当然
SNS全盛期の今、誰もが情報の発信者になっています。SNSとの距離感は、10年前とは比べものにならないほど近くなりました。
そのきっかけはなんといってもスマホの普及でしょう。2012年前後から、スマホは瞬く間にひとりに1台の時代になりました。今や小学生が持っています。
スマホの普及で私たちは、これまでなら帰宅してパソコンをわざわざ開いてから投稿したり閲覧していたのを、電車の中で、海外で、飛行機の中で、デート中にもリアルタイムで情報発信したり、アクセスしたりできるようになりました。
誰しも、布団の中から真夜中にスマホでSNSを見た経験があるのではないでしょうか? このくらい、いつでもどこでも接触してしまうと、誰しもSNSにハマる可能性は高くなります。
スマホ元年とも言える2012年以降に不登校の児童生徒の数が増えていることは何かを示唆しているようです。
たとえば、「目の前の友達を差し置いてもスマホでSNSを優先している光景」はカフェではよく見かけます。
「リアルでうまくいかないけど、SNSでは人気者」という例も見かけます。学生の間では、クラス単位、サークル単位、仲良し単位でSNSのグループが形成され、投稿して交流しなければ仲間はずれにされるという風潮も強いようです。
こうして次第に、SNSの世界と現実世界の境界線はあいまいになってきました。SNSにおける誹謗中傷で心に傷を負った人もたくさんいますし、SNSで注目されたことでテレビや雑誌に取材を受けたりして人生が大きく変わった人もいます。
そうした状況のため、どこまでがSNSとの適切な距離感なのかを定義することはとても難しくなっています。
ただ、目安としていただきたいのは、「リアルの生活に支障をきたしていないかどうか」です。
SNSのせいで睡眠不足になり、仕事や学校に遅刻したり、仕事や家事、学業に集中できなかったり、友人関係など社会的な交流に問題が生じたり、視力低下や腰痛などの健康へ悪影響が見られたり...。
余暇がすべてSNSに乗っ取られてしまったり、SNS投稿で注目を集めるために経済的負担が増えたりしていれば、距離感が間違っているかもしれません。
SNS依存度をチェックしてみよう
とはいえ、自分のSNS利用状況は依存なのかどうかの一定の基準がほしいですね。ここで、SNS依存度尺度をご紹介します。
【SNS依存度尺度】
1. もともと予定していたより長時間SNSを利用してしまう
2. SNSを利用していない時も、SNSのことを考えてしまう
3. SNSを利用していないと、落ち着かなくなったり、憂うつになったり、落ち込んだり、いらいらしたりする
4. SNSの利用時間を減らそうとしても、失敗してしまう
5. ますます長時間SNSを利用しないと満足できなくなっている
6. 落ち込んだり不安やストレスを感じたとき、逃避や気晴らしにSNSを利用している
7. SNSの利用が原因で家族や友人との関係が悪化している
8. SNSを利用している時間や熱中している度合いについて、ごまかしたりウソをついたことがある
この8項目のうち、5項目以上に当てはまる人は河井氏らの研究では「依存症者」と定義されています。あくまで医療機関での診断レベルとは別ですが、ひとつの目安としてご覧ください。
そして、この研究では、依存症者は、そうでないSNS利用者と比較して、SNS上の人間関係を負担に感じていることがわかりました。人とつながることを目指したSNSが、ヘビーユーザーにはつながる負担になっているという皮肉な結果です。
SNSにハマる4つの理由とは?
ここによくあるSNSにハマる4つの理由をご紹介したいと思います。
【よくあるSNSがやめられない4つの理由】
1. 有名人のLive 配信を観ることができる(活動が得られる)
2. 仲間と交流できる(活動が得られる)
3. 注目される(社会的注目)
4. 仲間はずれを避けることができる(逃避)
ひとつずつ解説してきます。
1. 有名人のLive 配信を観ることができる(活動が得られる)
今や芸能人だけでなく、人気のカフェの店員さんでも、美容師さんでも誰もが配信者になって、歌、おしゃべり、ダンスや漫才、How toノウハウなど、実にいろんなコンテンツを配信しています。これらが楽しくてSNSにハマっている人が多いのです。
一緒に今という時間を共有しているという感覚も満足感を高めているようですし、コメントなどで有名人と気軽に相互交流できるのも魅力でしょう。
2. 仲間と交流できる(活動が得られる)
ここでは、有名人対大勢のリスナーという形ではなく、ごく仲間内で投稿に対してコメントし合う場面を想定しています。
遠方に住んでいたり、多忙だったりしてなかなかリアルで交流できない仲間同士が、SNSで交流します。SNSが生まれた当時は、この機能は画期的でしたね。ハマりの理由のひとつです。
3. 注目される(社会的注目)
SNSでは、日常風景を効果的に切り取り、加工して、いわゆる「盛る」ことで自分の見せたいイメージに近づけることができます。
リアルよりも印象が操作しやすいため、SNSでは注目を集めることが比較的簡単です。このリアルよりも「簡単」であることが、ハマりを加速させているようです。
4. 仲間はずれを避けることができる(逃避)
仲間内で投稿し合うSNSで、交流が活性化して仲良くなれるかというと、そうでもないようです。
「あの子って、投稿しないし、コメントも返さないから感じ悪い」と返事が遅れることや、同じような集団規範に沿った投稿をしないことで、批判されるリスクがあるのです。
そのため、気乗りしなくても「仲間はずれにされたくない」「置いていかれたくない」など、「コミュニティからの排除」を避けるためにしかたなくSNS漬けになっている人もいるようです。
一言に"SNSハマり"といってもいろいろ理由がありますね。
SNSハマりから抜け出すための代替行動
それでは、一体SNS依存から脱出するにはどうしたらいいのでしょう。代わりに何をしたらいいというのでしょう。
先ほど挙げたSNSにハマる理由別に対処することをおすすめします。4つの理由のうち、最初の2つ、つまり「1. 有名人のLive 配信を観ることができる(活動が得られる)」、「 2. 仲間と交流できる(活動が得られる)」に関しては、日常生活に大きな支障が出ない限りは健全な理由であると言えますので、深刻に対処策を考えなくてもいいのかもしれません。
しかし、残りの2つのハマりの理由、
3. 注目される(社会的注目)4. 仲間はずれを避けることができる(逃避)は、対策を考えなければちょっと問題が起こりそうです。
「3. 注目される」への対処法
まず、「3. 注目される(社会的注目)」が理由である場合には、盛らない等身大の自分を受け入れてもらえる場を見つける、つくることをおすすめします。
SNSという虚構の世界では「いいね!」が集まるという、わかりやすい承認が目で見て得られます。
これにハマらないわけがありませんし、それをやめられないのもうなずけます。そこを完全にやめる必要はありませんから、少なくとも誰かひとりでもリアルの世界で、あなたのかっこ悪くてダサい一面を受け入れてくれて、それでも「いいね!」と言ってくれる友人、家族、恋人などをつくりましょう。
そんな素晴らしい関係を築くことができれば、SNSの時間よりもその人に会う時間を優先するはずです。やはりリアルは素晴らしいのです。
「4. 仲間はずれを避けることができる」への対処法
「4. 仲間はずれを避けることができる(逃避)」がSNSにハマる理由である場合、私は2つの作戦をおすすめしています。
「そんな同調行動を強いてくる集団にはもういなくていい」がシンプルな答えでしょう。自由につき合う人を選べていくつか世界を持っている大人にはそうすすめます。
しかし、「このクラス以外に居場所がない」「このグループ以外に居場所がない」というような学生さんや、閉鎖的で小さな規模の職場でこうしたことが起こっている場合、その人間関係から脱出するのは容易ではありません。
こうした場合「SNSをするかしないか」という白か黒の2択ではなく、その間のグレーをとるような対応をすすめます。
たとえば、これまで仲間の投稿がアップされれば即座に「いいね!」をつけて、必ずコメントしていた人がいたとします。仲間も競うようにそうしているでしょう。この空気の中で、「いいね!」もコメントも全くしないというのは非現実的です。
そこで、「いいね!」だけにする、コメントはあとで時間のあるときにする、すべての投稿に対してではなく時々コメントをする、こういったグレーな対応はいくらでもできますし、おすすめです。
きっと「そんなことしたら、嫌われてしまう」という懸念もあるでしょう。でも、周りから「あの人には即レスは期待できない」とあきらめてもらって、そうしたキャラづくりをすることも有効です。
人の期待にこたえたい、嫌われたくない、いつもいい子でいたいといった思い込みは、思春期までに捨てましょう。白か黒かの思考に陥らないでください。SNS上では、人との関係を「ブロック」する機能があります。こうした、「すごく仲良くするか」「ブロックして断絶するか」という白か黒かの態度は、リアルの世界に影響が出て非常に危険です。
そんなことをしていたら、ひとりぼっちになってしまいます。自分の気持ちも落ち着きません。そうではなく、ほどよい距離感でつき合えるグレーの選択肢をたくさん自分の持ち札としてつくっていきましょう。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
気づけばスマホに数時間...「やめたくてもやめられない」悪習慣の根本原因4つ
PHPオンライン衆知 / 2023年6月16日 11時45分
-
推しへの「投げ銭」で生活苦に...国民生活センターへの相談増加 依存の背景&自衛策は?専門家に聞く
J-CASTニュース / 2023年6月4日 10時0分
-
酒飲みには耳が痛い…「休肝日」の意味とは? ミニスカ美人女医のアドバイスが的確すぎる
まいどなニュース / 2023年5月29日 20時0分
-
些細な言葉が気にかかる、本当はSNSをやめたい…「対人関係に疲れやすい人」の特徴と対策14選
ananweb / 2023年5月21日 19時30分
-
SNSに現れる「女性に話しかけるのヘタすぎおじさん」の特徴5つ
KOIGAKU / 2023年5月21日 18時37分
トピックスRSS
ランキング
-
1ガソリン価格は4週連続の値上がり - 来週にかけさらに値上がりとなる見通し
マイナビニュース / 2023年6月18日 14時30分
-
2【FPが解説】医療保険、子どもには必要ない? 自治体の医療費助成や低い1〜19歳の入院率を考慮して
まいどなニュース / 2023年6月18日 17時0分
-
3実は布団を干さない人の方が多い!?意外と知らない「正しい布団の干し方」も紹介!
ハルメク365 / 2023年6月17日 19時30分
-
4「地下鉄漫才」春日三球さん死去…「電車はどこから入れたの?」の夫婦漫才で一世風靡
読売新聞 / 2023年6月18日 22時7分
-
5「エアコン」から「扇風機」に変えると、電気代はどれだけ安くなる?
ファイナンシャルフィールド / 2023年6月17日 10時0分
記事ミッション中・・・
記事を最後まで読む