相続で成り行き上賃貸マンションの大家になり10年が経った、約100部屋を自主管理している増田です。
もう消してしまったけど「賃貸マンションに入れてはいけない客」というテーマで色々書いていました。
前回の記事に頂いたoysm95jさんの「ちょっとバズったら舞い上がって何度も出てきて同じ芸披露して救いようがないわ」という図星コメントに俺は赤面した…。なんだ、お見通しだったのかよ。じゃあ、俺がもう一本書いてみたかったテーマがあることもお見通しだよな。
それは俺が入居審査を絶対通さないように徹底的に気をつけている、タトゥーを入れている人についてだ。
●タトゥーを入れてる人の特徴
タトゥーを入れている人の平均像は「底辺校でちょっと目立っていた奴」と考えるとわかりやすい。
つまり性根がヤンキーで、人間関係についても、味方、さもなくば敵、という短絡的な考え方になる。これらの特徴を押さえておくと対策がしやすい。
率直に言って、令和になっても日本でタトゥーはまだまだ反社のイメージだ。
日本の社会で生きていくためには色々な「普通」のレッテルと戦う必要がある。普通は就職する、普通は結婚するとか色々あるが、「普通の人はタトゥーを入れない」もその一つだ。
「普通の人は就職するし、結婚する」というレッテルは、相手あってのことで、自分がいくら「普通」の方に合わせようと努力しても叶わないこともある。しかしタトゥーを入れるか否かは、やるもやらぬも自分次第という点が決定的に異なる。
また、仮にタトゥーに興味を持つことがあっても、ほとんどの人は「日本社会における常識」という圧倒的にぶ厚い壁に跳ね返されてしまう。実際にタトゥーを入れるのは、この壁を突き破ることのできるある種の大胆さを持った人間だけだ。
つまり、タトゥーを入れる行為は「私は社会的規範よりも自分のやりたい事を優先できます」という宣言に等しい。
換言すると、自分勝手な人間であることをわかりやすく示している。
誰からも見えるようにタトゥーを入れている人は「私は自分勝手な人間で、堂々と自分勝手な事をします」と言っていて、パッと見わからないように入れている人は「私は自分勝手な人間で、コソコソと自分勝手な事をします」と言っているのと同じだ。
そして自分勝手な人というのは、賃貸マンションのように決められたルールを守り、大人の距離感を保ちながら、お互い様の精神で他人に配慮して暮らす環境とは、極めて相性が悪い。
俺が誤って入居させてしまったタトゥー男、タトゥー女で、ゴミをルール通りに出せた奴は1人もいない。息を吐くようにルールを破り、似たようなタトゥー男、タトゥー女を連れてきては騒ぎ、廊下でタバコを吸う。夏は最悪で、そいつらがタンクトップ1枚でウロウロし始める。
そして注意すると、すぐ話をすり替える。「他の人にもそれ言ってるんですよね。それやってるのウチだけじゃないと思うんですけど」みたいな。
すぐに話をすり替えようとするのは、タトゥーを入れている人あるあるだと密かに思っている。
早い話が、お子ちゃまなんだな。
お子ちゃまだから自分が大好きで、何でも自分勝手な理屈で行動するし、自分の思い通りにならないとすぐ敵認定して癇癪を起こしてしまう。
したがってタトゥーは、俺たちみたいに信用をベースにビジネスをする業種の人間からすると、強烈なシグナリングになる。もし入居申し込みが来た場合は、職業的良心を賭けて見抜き、入居審査で落とさなればならない。それは大家にとっては身を守る手段でもあるし、既に住んでくれている入居者に対する礼儀でもある。
公共の場でタトゥーを見せている奴と、公共の場で下半身を見せている露出狂は、本質的にやっていることが同じだ。
俺はできない。
基本的にタトゥーを入れている人は、それを誰かに見てほしいという抑えがたい欲求がある。それを簡単に叶えてくれる夢のツールがSNSだ。俺はその虚栄心につけ込む。
まあ、人に見せないと意味ないもんね。
入居申込時は最低でも入居申込書と顔写真付き身分証明書の提出が必要だ。それだけあれば誕生日から年代がわかり、緊急連絡先になっている親の情報や、運転免許証番号の上2ケタの番号などと照らし合わせると地元がわかる。
あとはたとえば、「○年卒 ○○中学」みたいな感じで年代と地域を絞り込んでいくと、昔の同級生とか何らかのつながりがある人で、比較的発信力のある人のSNSが見つかったりする。
タトゥーを入れるようなのは地元で目立っていた人なので、その発信力のあるアカウントを起点に友達関係を丁寧にすり潰していくと、本人とおぼしきアカウントや、みんなで写っている写真など、何かしらのホコリが出てくる。
こちらには顔写真付き身分証明書があるので、ここまで来ればそれが本人かどうかはすぐわかる。
これは出身地からドリルダウンしていく方法で、他にも乗っている車やバイク、勤務先とかから引っ掛ける方法もある。ちょっと職人芸みたいなところがあり、うまく全部やり方を説明することは難しい。
もちろん一番チョロいのは本名でタトゥー丸出しな内容のSNSをやっているパターン。検索一発で仕事が終わる。
ちなみに、入居審査をスンナリ通せてしまうお客さんっていうのは、めちゃくちゃ不思議なんだけど、調べても何にも情報が出てこない。そして入居申し込み者の9割は、そういう何の問題のない人たちなんだよ。
これだけ普及しているのにSNSを全くやってないってことは絶対ないと思うんだ。でも、ちゃんと常識の範囲内でSNSを使っている人だと、俺の検索力では何も見つけられない。
換言するとタトゥーを入れるタイプの人間は、本人も周囲の人間も目立ちたがり屋だから、本人と簡単にヒモ付けできる形で既にSNS上に色々おもらししてしまっているっていうことなんだ。だから本人だけじゃなくて、周囲の人間から攻めることもできる。そしてどこかで1個引っ掛けられれば、あと芋づる式にどんどんこちらの知りたい情報が出てくる。
ただ、距離的に可能な場合、俺は現住所調査を必ずやる。タトゥーを入れるタイプの人間には関西から転勤とかで引っ越してくるみたいな引っ越しパターンの人はおらず、大体そこらへんのすぐ見に行けるところに住んでいる。だからSNSであまり情報が取れなくても現住所調査をすれば、ハズレ客であることはほぼ見抜ける。
タトゥー業界では、タトゥーを彫る人は彫◯という通り名を名乗る慣習があるらしい。たとえば増田だったら「彫増」みたいな。また、通り名が印刷されたステッカーを作ってお客さんに配ることがあるようだ。
お前はもしかしたらそこでもらってきた「彫増」みたいなステッカーをちょっと斜めにして車のリアガラスに貼ったりしていないか?
お前の車に貼ってあるステッカーは、俺みたいな奴に全部見られているぞ。
●同居の女性名義での申し込みはクッソ注意!
カップルや家族で住むのに、なぜか男ではなく、付き合っている彼女や奥さん名義での申し込みになっていることがある。
この場合は同居する男の顔写真付き身分証明書を必ず出させて、納得できるまで徹底的に調べないといけない。
何かと理由をつけて出さなかったら、入居を絶対に断る。あとヤバい男だった場合は、追加で書類を求めるとさっさと向こうから申し込み自体をキャンセルしてくることもある。
タトゥーに限らず「何かやましいところがある奴」は、第一印象の悪さ故に、自分が前面に出てしまうと不利になることを自覚している。そのため同居人がいる場合、審査上有利になる彼女や配偶者の名義を使って申し込んでくることが大変に多い。少し知恵が回る奴は、だいたいこのパターンで入居しようとする。見逃さないように注意が必要だ。
でもさあ、考えてみたら客付けの不動産屋にも言いたいことは山程あるよ…
わかるだろ、俺はいつもこういう奴ら断ってるじゃねえか!
お前さ、「うわーハズレ客来ちゃった。自分のとこの管理物件に入れたくないなー。よーし増田さんに回すか!」ってイチかバチかで俺の物件紹介したろ!わかるぞ!
俺たちババ抜きやってるんじゃねえんだよ!
ババを回すんじゃねえ!!
頼む!!!!!
ちなみにこの、同居人の信用力を足がかりに入居を目論むというパターンは本当に危険で、気をつけないと最悪の場合、タトゥーを入れてイキっているどころの騒ぎではなく、シャレにならない輩だったりすることがあります…。
俺はこのパターンで新聞に載るレベルの傷害事件を起こした奴に入居されそうになったことがあるよ…。入居審査中に気付いたときは血の気がひいた…。
青い顔して断ったら、客付けの不動産屋から「大家さんの入居審査に落ちましたって伝えたら「ですよね」って言ってましたよ~」って報告があったよ…。
怖えよ!!!!
●契約の引き継ぎもクッソ注意!!
入居者が解約時に「友達でこの部屋の契約を名義変更で引き継ぎたいと言ってる人がいる。家具とかそのまま置いていけて自分も引っ越しが楽だから、承諾してくれるとありがたい。どうですか?」という相談をしてくることがある。
これも危険だ。
中にはまともな話もあるかも知れないが、できたら適当な理由をつけて全部断った方が良い。
俺も今までに何件かそういう相談を受けたことがあり、毎回「検討するんで、まずは仲介の不動産業者さんを通じて入居申込書を出してください」と回答し、書類をいちおう出してもらうのだが、調べると揃いも揃って某格闘技団体のオーディション会場にいそうな奴ばかり…。この「契約の引き継ぎ」パターンは危ないという確信を深めた。
ただ、既存入居者の知り合いを具体的に審査した上で断るというのは結構心理的にやりにくい。俺も人間だから「お友だちスーパークソじゃん!この件は断る!やっぱ荷物全部出して普通に引っ越して!」って言いにくいだろ…。まあ言うけどね。
多分、まともに不動産屋に行っても部屋を貸してもらえない人だと、友達を使って、こういうセキュリティホールを突くようなやり方で入居を試みようとするのだと思う。
ちなみに俺は以前、「大家さんのための経営ハンドブック」的な本を読んでいたときに「入居者から解約の連絡を受け取ったら、新しい入居者を友達の中から紹介してもらえないか頼んでみましょう」的なことが、むしろ好意的に推奨されているのを見たことがある。
マジで言ってる?
相当慎重にやらないと取り返しのつかないことになるぞ!
●終わりに
なんかまた長くなった。すまんな。
最後に確認しておきたいが、俺は賃貸マンションの大家という立場で話をしている。賃貸マンションの大家という立場からすると、タトゥー男、タトゥー女を入居させると百害あって一利なしなので、水際で徹底的に排除している。
だが、たとえばタトゥーを彫る仕事をしている人は、そういう奴がいないと飯が食っていけない。だからタトゥーを彫る仕事をしている人にとっては、タトゥーを入れる人が一番いいお客さんで、俺みたいな事を言っている奴はカス野郎だ。
俺の言っていることがわかるか?
だからもしお前の知り合いや友達にタトゥーを入れている人がいても、それはお前の立場から見て判断しろってことだ。
お前にとってはいい奴?
じゃあ、別にそれでいいじゃねえか。
俺は俺の立場と経験から話をしている。俺の考えていることを鵜呑みにしてそのままインストールするな。参考意見の一つに留めて、お前がどう判断するかは自分で考えろ。その結果として、もし俺の言っていることが間違っていると思ったならぜひお前の意見を増田に書いてくれよ。
そうしたら俺は必ず読みに来る。