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【自衛隊発砲事件】18歳が2人を射殺した「89式小銃」の殺傷力「弾丸初速は時速3300キロ以上。至近距離で上体に当たればまず助からない」

NEWSポストセブン / 2023年6月15日 11時45分

訓練中の自衛官ら(ホームページより)

 6月14日、岐阜市にある陸上自衛隊「日野基本射撃場」で、自衛官候補生の18歳の男が付近にいた指導役の男性自衛官3人を銃撃した事件。防衛省や岐阜県警によると、52歳隊員は胸に、25歳隊員は脇腹に銃弾を受けて死亡し、別の25歳隊員も左脚に大けがをした。同県警は男を殺人未遂容疑で現行犯逮捕。容疑を殺人容疑に切り替え、岐阜地検に送検された。

 現場となった「日野基本射撃場」は市街中心部の岐阜駅から車で約20分ほどの場所に位置し、近隣にも閑静な住宅街が立ち並ぶエリアだった。射撃場から100mほどの家に住む60代の女性が語る。

「(事件発生直後の)9時半過ぎには、救急車や消防のサイレンがすごかった。たくさん車両が停まっていましたが、救急車はすぐにまたサイレンを鳴らして(駐屯地から)出ていったね。近所の奥さんとも『なにか事故があったんだろうね』と話していたら、ヘリがどんどん飛んできて、テレビの報道で知ったというかたちです。

 この射撃場は8年ほど前まで屋外射撃場で、当時はドアを閉めていても話もできないくらい、毎日バアンバアンとすごい音が鳴っていました。でも建物ができてからは、音は全くしなくなった。私たちも静かに暮らしていたのですが、まさかこんな事件が起きるとは……」

 この日は朝から自衛官候補生向けの射撃訓練が行なわれていたという。実弾を使用する訓練は4回目で、最終日として「実技試験」に当たる科目があった。

「教官ら約50人が候補生約70人を指導していたところ、射撃レーンで待機していた男が突然横を向いて、発砲した。撃たれた3人は防弾チョッキを着用していなかったそうで、男は付近にいた自衛官らに取り押さえられました。使用していたのは『89式小銃』だったということです。男は警察の調べに対し『52歳の隊員を狙った』『(25歳の隊員は)殺すつもりはなく、足を狙った』などと供述している」(全国紙社会部記者)

 候補生の男はこの小銃で2人を射殺したことになる。18歳の男が入隊2か月半で手にした「89式小銃」の威力は、どれほどのものだったのか。軍事・安全保障に詳しいジャーナリストの井上和彦氏が説明する。

「『89式小銃』は発射後自動的に弾薬の装填などが行なわれる自動小銃です。口径は5.56mmで、300~500mほど離れた標的を撃つことも可能です。

 89式の実弾の初速、つまり銃口初速は秒速920m(時速約3312km)とされています。これだけの威力のあるものを至近距離で撃たれたら、とても無事ではいられません。弾はすごい威力を持ちながら身体を貫通して、内臓がめちゃくちゃになってしまう。25歳隊員は脇腹を銃撃され命を落としたということですが、上体に当たればまず助からないでしょう。現場の様子も、凄惨を極めただろうと推測されます」

 候補生の男は射撃レーンに並んでいるときに発砲したとされるが、井上氏は「強い殺意があったとしか考えられない」という。

「一般的な射撃訓練では、射撃場所についてから、上官の指示のもと実弾を弾倉に入れて射撃をするんです。これは推測ですが、今回のケースは待機レーンにいるときに、候補生の男が自分で勝手に実弾を込め、安全レバーを外して、射撃に至ったのではないか。弾倉に実弾を入れるのも素人には一苦労ですが、今回は4回目の訓練だったから、候補生にもそれができたのでしょう。

 1984年2月に山口の陸上自衛隊で銃の乱射事件がありましたが、訓練中に“偶然”人を撃つことはありえない。試用期間中の候補生のメンタルケアも、今後課題になっていくのではないかと思われます」(井上氏)

 防衛省と警察は候補生の男の詳しい動機などについて、捜査を続けている。

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