劇場公開日 2023年6月9日

「リトルマーメイドでやる必要性」リトル・マーメイド まさんの映画レビュー(感想・評価)

0.5リトルマーメイドでやる必要性

2023年6月15日
スマートフォンから投稿

悲しい

怖い

またまたまた消されました。酷評は暴言も使用せず見たまま思ったまま感想を書いただけで消されるんですね。
一部言葉を伏せて投稿するため読みにくかったらすみません。

話の流れは一部を除いて大方アニメと同じ王道ストーリーなので、アニメのあのアリエルに拘りや思い入れの薄いライト層であればまぁまぁ楽しめるんじゃないかな程度の出来。
CMでもお披露目されているアンダーザシーのシーンと昼間の陸でのシーン以外は基本役者の表情が見えにくいほど真っ暗です。実写版ピーターパンの時と同様に世界はどんよりと仄暗くファンタジー特有のキラキラした鮮やかさは全くありませんでした。リアルと言えばリアルですがディズニー映画を観に行く際は息を呑む美しさのファンタジックな世界を求めているのでとても残念な気持ちになります。
しかもリアルさを重視しておきながら水中の描写は他作品と比べ妙に不自然に見えたのですが泡やゆらめきがないからでしょうか…水中には見えないのに浮遊しているので例えるなら無重力のような感じです。
そして先程も書きましたが全体的に暗いことと目に痛いシーンがあるので特に子どもが大画面で見るにはちょっとどうなんだろうなと思いました。

続いて名曲のシーンについて。
アリエル役のハリーベイリーさんはとんでもない歌唱力の持ち主でしたが、上手すぎるためか力強さが邪魔をしてアリエルの16歳を思わせる初々しさや繊細さ、末っ子の愛らしさが全く感じられません。歌い方もアレンジをきかせすぎて原曲を繰り返し聞いている自分にはくどく感じました。
テレビでも先行公開されていたたアンダーザシーで憧れを卑下されているはずのアリエルが楽しそうにハモッているシーンはアリエルの心情を思えばあまりに矛盾しているため気になって集中できません。
監督はハリーベイリーの歌声に惚れ込んで起用したとのこと。他にも本来は歌える状況にないとある場面でアリエルの歌声を聞くことになるため、なるべくアリエルの歌パートを増やしたい意図が見えます。
ハリーベイリーさんの歌い方はプロの歌手だからこそといいますか、アニメの感情が乗ったものとは大きく異なります。歌を使ってアリエルの心情を表現するというより単純にハリーベイリーさんのライブに近い感覚なのかなと思いました。

キャラのイメージについて。
キャスト発表時からアリエルのキャスティングについては賛否ありましたが、最近の色素の薄いキャラクターに濃い人をあえて起用させる風潮のせいで慣れ親しんだアリエルでないことが気になり物語への没入を阻害されます。
色だけに拘っている訳ではなく、顔の雰囲気があまりにも合っていないんです。アリエルはぱっちりとしたどんぐり型の目に小さい鼻と表情豊かな赤リップでディズニープリンセスの中でも特に甘くきゅるんとしたキャラクターデザインです。対してハリーベイリーさんはキツネ目に厚めの唇でいわゆるカッコイイ系、それか綺麗系です。どちらが優れているかではなく例えるなら作画の違いです。
アリエルは美しく漂う赤い髪も象徴的ですが、ハリーベイリーさんヘアメイクさん監督さん全員が彼女のルーツを重視しドレッドのまま撮影することに拘ったとコメントされています。アニメの実写映画に俳優のルーツは関係あるのでしょうか?
メイクもあえてヌーディーな雰囲気を意識していてアリエルというキャラクターに近付けさせるのではなくあくまでもハリーベイリーさんそのままの姿で撮影することに重点を置いているようにも見えます。
監督は役者のビジュアルがあっていないのを指摘された際に最も相応しい人を探した結果で色は関係ないとコメントしていましたが、それならヘアメなどいくらでも寄せられる部分をあえて寄せずその部分を主張するキャラクターデザインにしたのはなぜでしょうか。実写化という性質上アニメのアリエルからかけ離れたビジュアルがこの映画の評価を下げているのは明らかなので悪手にしか思えません。
演技についても役者が本職ではないため仕方がないのかもしれませんが適したものとは思えず、念願の脚を手に入れてからは喜びも興奮も読み取れないぽやっとした表情が多く年相応の天真爛漫な少女アリエルには見えませんでした。これが演技力の問題なのか強い女性を演出するため幼さを排除したかった監督の指示なのかはわかりません。
ディズニーのリトルマーメイドで『不朽の名作、待望の実写化』と銘打つのならもっとアニメを尊重するか新しいプリンセスで売り出した方が彼女は間違いなく輝けたと思います。

キャラの設定について。
情報解禁時からも議論になっていた姉妹全員の容姿がバラバラで大切な名前さえ変えられた件は本編を見ても重要な流れに繋がったりはせず、納得させられないまま終始モヤモヤを抱えながら画面を見つめていました。
見た目の良い訳として追加された姉妹の設定もエリックの家族構成についてもやたらと蛇足な改変が目立ち「そこ尺を使ってまで改変する必要あった?」と疑問に思うものばかり。物語の盛り上がりに影響しないオリジナル設定のせいで無駄に上映時間が長引いたのも子どもが多いユーザー層的に優しくないなと思いました。

一方でトリトン・アースラ・ヴァネッサはまるでアニメから飛び出して来たかのようなクオリティーの高さでしたが、それが返って主人公の違和感を際立たせてしまっていました。
特にヴァネッサの美しくも悪い笑顔はまさにヴィランズの品格そのもので、この方のためにチケット代を払ったと言っても過言ではありません。
セバスチャンとフランダーはデフォルメされた生き物を実写化する最適な塩梅が難しいため言及しませんが、アリエルの親友であるフランダーがリアルでペラペラフォルムの魚になったことで更に非力になり影が薄く、スカットルは種族を変え性別まで変えられてしまったのはキャラが大切にされていないようで悲しくなりました。

この映画を通して感じたこと
・状況に関係なく歌わせていることから監督はハリーベイリーのMVのような作品を撮りたかったのでは?
・ドレッドのままでいることに拘ったり歌い方もリスペクトしていないことからハリーベイリーはアリエルという役を演じるつもりはなく自分自身の姿で有名なプリンセスになりたかっただけなのでは?
この2点です。あくまで主演ありき、純粋にリトルマーメイドの実写化がしたかった訳じゃないのかなと思わせてしまう邪念の付きまとう作品でした。
見ずに批判するなと言われるので今回は一人で地雷を踏みに行きましたが、今やディズニーは積極的に子どもに見せたくなるものではなくなりました。
ファンタジーの世界に人間世界の汚い部分を大っぴらに持ち込んでほしくないですし、配慮した作品なら過去の名作を塗り替えるのではなく1から生み出して欲しいです。
レビューやSNSが荒れる様を見ても昨今のようなやり方は配慮どころか溝を更に深めたように感じますし、実写化するならアニメを蔑ろにせず不毛な衝突をさせない作品作りをしてほしいなと思いました。

コメントする
ま