超法規的組織シャーレ で 仕事をしたくない サトウカズマ先生 作:奈音
――ゲヘナ学園 秘密の休憩スペースの記憶 イロハ
「「――あぁ、めんどうくさい……」」
今日も今日とてサボるとしましょうかという、イロハからの誘惑に今日も敗北したカズマは、いつもの場所でイロハとともに、堕落の極みを味わっていた…。いまこの瞬間、誰もが外の糞暑いもしくは糞寒い中でなんらかの辛い仕事をしていて、あるいは長時間拘束されるような過酷な労働を強いられている中で、そこから切り離された休憩スペースで、それらがもたらす環境音を聞きながら、本来ならば自分自身が必ずやらなければいけない仕事を他人に押し付けつつ、ジュースを飲み、お菓子を散らかして、自分自身の趣味に没頭しつつ悦に浸るという…、最高の贅沢を味わっているのだ。
「――他人の労働の苦しみから生まれる音を聞きながら…、
その労働の時間の間に払われる金銭が発生している中で、
誰にでも通じる言い訳を行使して公然とサボれる…くくく、さすがだ…」
「……まぁ、そのためには代わりに仕事をこなせる有能な人物が、
側にいないといけないわけですが…、この程度、私たちには造作もないことです…」
――端的に言って最悪であり、ダメな社会人の見本みたいになっているのだが、非常に残念なことに、そこに物申すような無粋な人間は、この空間に存在しなかった…。
「――ふっ、やるな……」
「ふふふっ、先生こそ……」
サボりと怠け者気質が出会った結果、最悪の化学結合を引き起こしてしまっていて、邂逅からそんなに日を跨いでいないにも関わらず、なんかもう十年来の付き合いですみたいな感じで心の底から通じ合ってます的な空気感を出していた。そして、事情を知らない第三者がこの光景を見たら、変に勘繰ってしまうくらいには、二人の距離は近かった…。
「――おいイロハ、のどが渇いたから、そこのジュース取ってくれよ」
「……まったく、先生は私が今何をしているのかが見えないのですか…?
この完璧な姿勢で寝そべり、読書をしているんですよ?
両手がふさがっているんですから、そんなことができるわけないでしょうに…」
「………お前、その寝そべっているところ俺じゃん…。
ソファーで横になった俺に全身預けて動かなくなっちゃったじゃん…。
じゃあいいよ、俺が自分でジュース取りに行くからどいてくれよ」
「許可できませんね」
「いやなんでだよ……」
「ベッドが勝手に喋ってもいけません…、もっと深くソファーに沈み込みつつ、
そろそろ腕が疲れてきた私が本を掴む手を補助する作業に入るべきでしょう?
さぁ、分かったなら早くしてください…」
「お前は王様かなにかかよ…」
どいてくれる気配が一向に訪れないので、カズマは仕方なくイロハの言うとおりにしてやる。この時のイロハの頭頂部は、カズマの顎下にくっつきそうなほどもたれかかっており、というかもう結構な頻度でガンガンと、カズマの顎に抗議でもあるかのような頭突きが発生していて、もしこの時にカズマが起き上がったり視線を向けていたりすれば、両耳が真っ赤になっているイロハを確認できたのだが、イロハにとって幸いなことに、カズマがそれに気が付くことはなかった。
「――ほら、持ってやったぞ。気が済んだらのいてくれよ?」
「おやおや…、誰がこれで終わりだと言ったのですか?
もう文字を追いかけることも面倒くさくなった私の代わりに、先生が朗読するんですよ?」
「声出して読んでたら外にいる連中にバレるんじゃなかったか…?
――というか、これ官能小説とかじゃないだろうな…」
もしこの場にいつものカズマを知っている者がいたら、なぜこうも激甘なのかと疑問に思ったろうが、これは、万魔殿の一員であるイロハによるカズマの取り込み政策が成功したからであるからと言えた。そもそも、こんにちのカズマの状況があるのは、事の発端として、カズマが請け負ってしまったゲヘナ風紀委員会からの依頼にある。
それだけならば、ゲヘナ学園の生徒会である万魔殿が、重視するような出来事にはなりえなかったのだが、連邦捜査部シャーレのサトウカズマは、あっという間に事態を解決に導いてしまった。
誰もに出来ず、また思いもしなかったような手腕を見せつけ、急速にゲヘナ風紀委員会と蜜月の仲になり、それに怒り心頭になった万魔殿生徒会長マコトが、イロハに対してカズマの取り込みを指示した結果、こうなってしまっただけなのだ。
さもあらん。慣れない仕事にカズマがひぃひぃ言っているさなか、誰からも微妙に怒りにくいギリギリのラインで仕事をさぼる方法を伝授したイロハにカズマがいたく感銘を受け、何度か交流を深めた結果、この二人はいつのまにか先輩後輩のような関係になっていたのである。
先輩=イロハであり、後輩=カズマであった…。この場合の関係性は仕事をさぼるマスターの先輩後輩の関係であり、後輩のカズマは、先輩のイロハの言うことを上下関係的に大体素直に聞いてしまっていた。
「――んっ…」
「あっ、すまん。息が当たったか?」
「んんんんんっ――! いっ、いいえ。なんでもありませんよ…?
ほらはやく、続きを読んでください」
「――へいへい…」
付け加えるなら、このダメ二人はウルトラ波長が合ってしまっているのである。それはかつてのアクセルでカズマと駄女神が繰り広げていた寸劇を思い起こすような感情でもあり、それなりに郷愁の念を抱いているカズマにとって、不思議と精神の安寧をもたらすこの時間を、それなりに大事にしていた。
……実は今のこの状況は、カズマが連邦捜査部シャーレに着任して以降、もっとも貞操が危険な状態であるのだが、カズマにとって幸運なことに、イロハが仕掛けようとしたところで、なぜかいつもタイミング良くイブキが遊びに来るので、計画自体は常に立てられていても、実行に移されることはなかった。
「――……はぁ、今日も来たみたいですね。
よいしょ、っと……、カズマ先生、本を返してください」
「やっと気が済んだのかよ…、ほれ、返すぞ」
「――イブキ登場!! おっ待たせーー!(ガチャ…、バタン!」
「いらっしゃい、イブキ。
あなたが好きなお菓子は用意してありますよ…」
「わーい!!
………あれ、カズマ先生だ? 遊んで遊んで―!
ダイビーーング…!!」
「待て待て待て待て待てっ! まっ……グボォ…ッ!」
「えへへーっ……ぐりぐりー、すんすん………、??? あれ?
なんだかカズマ先生の服から、イロハ先輩の――」
「――イブキがこの前言ってたお菓子ですよほら」
「あ、そうだお菓子だわーい!(ピョーン」
「ゴホッーー、くっ、そ、そのうち内臓が破裂するぞ…
――というかイロハも分かったんなら教えてくれてもいいだろ…?」
「さて私には何のことか分かりませんが……、あ」
「もぐもぐもぐもぐもぐ……、ほーひはほー?」
「――なんだこれ……? 扉か?」
イブキの気配を察したイロハがすぐさまカズマから飛び降りて服装を整え、そのすぐ後に飛び込んできたイブキのダイビングアタックによってカズマの内臓が破壊されかけたことによって、先程まで、イロハにベッド扱いされつつカズマがくつろいでいたソファーが結構な勢いでずれ、その下に隠されていた平らな床面に、扉のようなものが現れる。
カズマはそれを見て、うーんなんだろう、たまに田舎の家で見る、ちょっとした深さしかない床下格納かなにかだろうかと思いを馳せるが、その扉を同じように見ているイブキはともかく、イロハの様子が少し変だった。
それは、なんというか、一日二日の付き合い程度なら分からないような不自然さ程度なのだが、それなりに仲を深めていたカズマにとって、イロハがなにかに焦っているような空気を感じた。
「――わーっ! 地下への扉だ! 秘密基地だ!(ピョンピョン」
「流石にイロハ一人でそれを造るのは無理じゃないか…?
元々ここは格納庫の一角みたいなもんだし、下はコンクリと鉄筋だぞ…?」
「ぶーっ…! カズマ先生は夢がないよっ!」
「夢を見れないような目に散々遭わされてきたんだよ……。
まぁでも確かにイブキの言う通り、秘密基地なら面白いが――
そもそも、ここ自体が秘密基地みたいなもんじゃないのか……?」
「――ハッ、そうだった…。イブキは既に夢の中にいたよっ――!」
そうは言いながらも、イブキはうずうずした表情でその床面を視界に収めたままでチラチラとイロハの方を窺うように見ていた。うーんなんというか仲がいい同士の女子というのは、こういう感じなのかとカズマは思いながら、どこか居づらさのようなものを感じていた。
流石にカズマといえど、女子の花園に招かれていて、そこでくつろぐことを許されてるとは言え、明らかに隠されているであろうプライバシーを覗き見ることには抵抗を覚えた。これが普段から迷惑しか掛けられていないような駄女神や爆裂狂にドM騎士なら、なにかの時の腹いせにこっそり暴いてやっても心が痛まないのだが、これはダメだろうと思ってカズマは腰を浮かせた。
「………カズマ先生、どちらに行かれるのですか?」
「イブキがチラチラそこを見たそうにしてるところ悪いが…、
流石に本人の前で、わざわざ手間をかけて隠してるようなプライバシーを、
一緒に覗き込む気にはならねーよ…
イブキに甘いお前はどうせ中を見せるんだろうが、流石に俺はな…」
「――――あっ。イロハ先輩、ごめんなさい……(シュン」
「……いえ、いいんですよイブキ。(ナデナデ
先生も、別にそこを見ていっても構いません…、大したものは入っていませんので」
「いやでもなぁ……」
「――この通り、イブキの好きなお菓子が詰まってるだけです(カパッ」
「お菓子だー!!」
「なんだお菓子か……(ホッ」
「――おや…、期待しましたか?
女の子の秘密が入ってると思って興奮しましたか?」
「そんなわけあるかよ……。
親しき中にも礼儀ありって言うだろ? 普通に気まずかったんだよ……」
「ふーん、そうですか……。
じゃあ、先生は私たち乙女の秘密を覗いたことですし、対価を支払ってもらいましょうか…」
イロハはクスクスと笑いながら、さて今日はカズマ先生から何を取り立てましょうかと楽しそうに微笑む。そこには先程までの焦りのような感情を見つけることが出来ず、さっきまで感じていた嫌な予感は気のせいだったのかとカズマは少し安堵した。
「払え払えーー!!
……でも何を払うの? お菓子?」
「安い対価だな……」
「対価、というか先生に以前から聞いてみたいことがあったんです…
先生が、路地裏の覇者として君臨した時に使っていた、と
まことしやかに、あちこちで囁かれている、笑えない特技について…」
「路地裏の覇者はやめろ、恥ずかしいわ」
「お菓子じゃなかった……
あ、でもでもイブキ分かるよ! だって先生この前やってくれたもん!
マ コ ト 先 輩 の 声 !」
「イブキも聞いたことがあった、と……
やはり真実なのですね…、裏社会を一夜にして混沌に叩き込み、支配した先生の能力……。
たびたび都市伝説のように語られることのある、シャーレのカズマ先生の不思議能力。
圧倒的な演技力、他人に成りすます能力、そしてミレニアム製の機械すら騙せる声」
「………………そんな大袈裟なもんじゃないんだが、
ただの宴会芸の一種だぞ、これ(ダラダラダラ…」
「――なるほど……。
今日はカズマ先生のその表情が見れたからよしとしてあげましょう…。
これ以上突っついて面倒臭いことになるのは面倒臭いですし、
マコト先輩に報告なんかしたら、もっと面倒臭いことになるでしょうから」
「……イロハ先輩、この話は秘密なの…?」
「いいえ、別に秘密ではありません、ただ、そうですね。
……オカルトというか、神秘というか、お化けみたいな話です」
「イブキ、お化けはやだー!」
「私もお化けは嫌いです…。
恐いことを考えると、また夜中にトイレに行けなくなってしまうでしょう?
ですから楽しいことを考えた方がいいです…、
ほらこれも、イブキの好きなお菓子ですよ?」
「わーい!!」
そうしてそのまま話は流れ、三人でわいわいがやがやとお菓子やジュースと会話を楽しんで、そろそろ危ないですねというイロハの言葉によって、その場はお開きとなった。カズマはシャーレに帰り、イロハはイブキを万魔殿まで送っていった。
そしてその後、再びイロハは部屋に帰ってきて、床下倉庫とバレてしまったその底にある、二重三重に隠されたスイッチを押した。カコッ、と音がして、床下倉庫のように見えていたもの自体が、まるで蓋のように外れる。
その中に見えるのは、まぎれもなく地下室への梯子であり、もう一つはダクトであった。まるで意識のなくした人間一人を、そこに滑り込ませて落とすような造りになっており、降りた先の地下室に入ると、ダクトの出口に入念にクッションが敷かれている様子が見える。
ベッド、風呂、トイレ、リビング、キッチン、洗面所、地下でも地上のように見える窓とその造られた外の世界。そしてそこの冷凍庫にはたくさんの保存食や冷凍食が入っていて、数か月くらいは食事には困らないだろう。
ただし、ベッドは一つだけだ。
大の大人が四人は余裕で寝れるような大きなベッドが、ひとつだけ、この空間の中で異様な存在感を放っていた。
「ふぅ……、あぶないあぶない」
イロハは気だるげな表情で、徐々に完成してきたその空間を満足気に見つめると、今日も来るその時に向けて、入念な準備を始める。その姿は余りにも自然体で、この異様な状況であっても、心の中にさざ波ひとつ立たず、なんでもないルーチンワークだとでもいうように淡々と事を進める。
カズマ先生が、自分自身のことを幸運の特殊体質だというだけあって、先生に掛かれば、まるで神にでも愛されているかのように物事がうまく進み、どんなに危険な状況であっても、それを回避したり乗り越える能力は、もはや人のそれかどうかさえ疑わしい…。だが、だから、そうであるならば、それは逆手にとれるはずだと、イロハは考える。
カズマ先生にとって、最高に快適であり、最高に幸運な状況であり、そのカズマ先生自身の心の内に言い訳をした結果、それに納得できるような状況と環境を作り出してしまえば、そこがゴールで、それで、私の勝ちだ。
だからイロハは今日も作り続ける、一刻も早く、自分自身の中に芽生えた、この面倒臭い感情を片付けるために、面倒くさいことをしなければならないのだ。早ければ、早いほど、それは目的に近づけるのだから……。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――現在。百鬼夜行連合学院 陰陽部 ニヤ
「――しくしくしくしくしく……」
唐椅子に縛り付けられ、『私は外交問題を起こしかけました』というプラカードを首から掛けさせられて、悲しそうに泣いている女性がそこにはいた。――というかニヤだった。
「……あ、あのなぁ? カホ…。 これほどいてくれません…?」
「――ダメです」
「それに、その、隣のカズマ先生が手に持ってる花瓶がなんなのか気になって気になって」
「………これは、その、ゲヘナ側から希望された手打ち、だそうで…
あぁ、その前に、先程から泣いてばかりでお疲れでしょう…。
こちらをお飲みください……」
「――んっんっんっ、水か……、ありがとう」
「いえいえ」
「………おい、本気かカホ。
いくらなんでも俺は正直気が引けるんだが」
「………百鬼夜行連合学院の皆が積み上げてきたものが、
このたった一日で全て崩れ去るかもしれなかったんですよ…?
それを秘密裏に、この程度で許してくれるというのです。
映像は公開せず、こちらで保管しておいていいとのことですし、
そもそも選択肢がありません……」
「まぁ俺も、あんなに怒ったイロハを見るのは初めてだったし、
ニヤに対してもちょっとどうかと思ったから、
懲らしめてやろうかぐらいは思ったけど、これはなぁ…」
「あ、あれ? なんか会話の雲行きが怪しいなぁ……」
ニヤはようやく状況がもっと不味い方向に進んでいるのかもしれないと察しはじめ、全身を使って椅子をがたがたと揺らすが、そうこうしているうちに、背後に不動明王のような炎を背負ったように見えるイロハが、感情の読めないフラットな表情のまま入室してくる。
「――終わりましたか? あ、これを宜しくお願いしますね」
「………はい。イロハさん、今しがた仕込みは全て終わりました…」
「――き、気のせいかなぁ?! それ、カテーテルに見えるけれど…???
にゃ、にゃはは…、う、嘘でしょう?」
「――嘘かどうかは、これから貴方が体験することです。
私は面倒臭いのでもう帰りますが、後日、映像は確認させていただきます。
――イブキも楽しめたようですし、それで、この件は終わりです。」
そう言うとさっさと背を向けて帰ってしまうイロハの背を目線で追いかけ、カズマはうーんという顔をしながら。
「あー、じゃあカホ。そこのニヤニヤ教授とやらは任せたぞ…」
「――………はい、大変申し訳ありません」
徐々に余裕が消えていき、次第に悲鳴のようになっていくニヤの声をBGMにして、イロハとカズマはその場を後にした…。
「――ヴァーサタイル・エンターテイナー、ですか」
この後、戦車にイブキとマコト先輩を乗せて、ゲヘナ学園に帰るというイロハを送った後に、シャーレに帰るつもりだったカズマに対し、それは唐突に切り出された…。
「ん”っ、なななななな、なんのことだ…?」
「――戦車長ですから、これでも耳がいい方なので、しっかり聞こえました……
その後、カズマ先生が不思議な発光をしていたことも確認しました。
あれが、たびたび都市伝説のように語られることのある、シャーレのカズマ先生の不思議能力
分かっていたことですが、本当に恐ろしい能力です…
陰陽部部長のニヤさんを捕まえるためには、
その場に和楽チセがいることが必要と言われた時には、何だと思いましたが…」
「………………(ダラダラダラダラ」
「――停電して視界の塞がれたような暗闇の中で、その能力は最も効果を発揮する、と。
あの場の誰もが、聞き間違いかと思ったようですが、私は違います…
数瞬の停電だったのにも関わらず、ニヤさんが既に縛り上げられていたのも不思議ですが…
――……不思議、不思議能力?……なるほど。
もしかして先生は、キヴォス中の誰の声でも、
真似することが出来るのではないのでしょうか?
――だとすれば、あの一夜に全てを手に入れたことにも、ある程度の納得がいきます」
「――おい、いつも面倒面倒言ってるのはどうした……
今日はやけに絡んでくるじゃないか…(ダラダラダラ…」
「ふふふっ、そうですね……、なんででしょうか?
先生は顔に出やすいので、もう私としてもこれ以上聞く必要性を感じないのですが…
仕方ありませんね、この辺りで今回も許して差し上げましょう……
ですが、貸一です」
「ゲヘナの生徒会に貸し一とか怖すぎるんだが……」
「――違いますよ先生、私にです」
「同じことだろ……、はぁ、ったく、しょうがねーなぁー……
イロハ、ちょっとこっち来い」
「………はい? はわっ…?! 先生…!!!ちょっと?!?!?!
ど、どどどど、どこ触って!!! く、くすぐった……!!!!!」
「はい、終わり」
「セッ、セクハラ! セクハラです…!
いきなり乙女の首をまさぐるとかどういうことか『説明を――』
………え?」
「『キキキキキッ!
どうしたイロハ、そんな鳩が豆鉄砲を食らったような顔をして』」
「いった『いこれは』どうい『うこ』と、声が……?」
……そして、連邦捜査部シャーレのカズマ先生に、貸し一を取り付けたすぐ後に、その貸しを使う羽目になったイロハは、これ以降、秘密の休憩室でカズマ先生を練習相手にしながら、いろいろな学生の声を習得していくこととなる…。
カズマにとって幸運なことに、イロハが新しい玩具を手に入れて、万魔殿での活動を更に面倒臭くならないようにするための使い道に夢中になったおかげで、一度落されたら恐らくことが済むまで逃げられない空間に、カズマが陥れられる計画は、しばらく先延ばしになった……。
Q.なにがしたかったんですか。
A.ロリヒロイン枠増やしたくて……。
ブルアカ原作のカルバノグ2章後半でカヤの可愛い残当顔がたくさん見れて嬉しかったです。続きを感じるような終わり方のようなそんなような、因縁と執念の楔が残っているとすれば7囚人くらいなので続きがあれば期待したいところですがどうでしょう…。
それはそれとしてこの二次創作もブルアカ原作もカヤに関してはだいたい同じような結果になったな、よし!(違う
そして、これで百鬼夜行編「不忍ノ心」終了なのです。
忍術研究部の絆に関してはブルアカ原作でしっかり書かれてるので、それよりはあまり描かれなかったニヤの後始末とイロハを優先しました。