「私は自分さえ良ければそれでいい」
CV:白石涼子
概要
蜘蛛鬼である累の「姉」。
一見すると可憐な少女の姿の鬼で、悲しげな表情で「父」に折檻される「母」の姿を見つめていたり、累に痛めつけられて涙を流す様子から、読者からは「彼女もまた累に支配された哀れな犠牲者」だと思われていた。
しかし、見た目に反して蜘蛛一家の中で最も狡猾。「他の馬鹿どもがどうなろうと、自分さえよければいい」という、利己主義者である。累の事も内心では「アイツ」呼ばわりして「下らない家族ごっこに興じている者」として見下している。
今まで累の『家族』を演じさせられてきた鬼のうち、累の命令に従わない者・上手く演じられない者は切り刻まれたり、知性を奪われたり日光で焼き殺されるなどで処分されたが、彼女は累の機嫌を損ねずに上手に『姉』を演じる事で命を長らえ、その代価として与えられた能力により、多くの人間を喰らい続けてその力を増してきたのだった。
その為、「父」に指示を出して操るなど家族内での立場も実力も高い方だった模様。
作中では「母」と「兄」が倒され、動揺して元の顔に戻りかけた事で累に折檻を受け、助命を嘆願したところ鬼殺隊の生き残りを始末するよう命じられる。そこで目についた村田を手始めに血鬼術で捕らえたのだが、蟲柱・胡蝶しのぶによって見咎められる。
しのぶの累と同じかそれ以上のただならぬ圧迫感に身の危険を感じた彼女は、何とか言いくるめて逃れようとするが、小手先の弁明が通用する相手ではなく、「今まで五人しか殺していない」という嘘も、「少なくとも八十人は喰っている、しかも自分が確認できる辺り十四人は確実に殺している」と看破され、その償いとして「苛烈な拷問に耐え抜けば許す」と言われて逆上した彼女はしのぶに襲いかかったが、蟲の呼吸『蝶ノ舞・戯れ』によって次の瞬間には頭から足まで全身に突き技を受けて、藤の花の毒を打ち込まれて絶命した。100人近い人間を喰らってきた彼女ではあるが、如何に非力とは言え現柱にその名を連ねる胡蝶しのぶには敵わず、戦闘らしい戦闘にもならなかった。
血鬼術『溶解の繭』
強靭さとそれでいて柔軟性を持った糸束を操り、相手を繭状に包み込む能力。
糸束は硬さと柔軟性を併せ持っているので破る事は難しく、繭の中は溶解液が分泌されてまず邪魔な服を溶かし、その後人間自身も溶かして姉蜘蛛はそれを食事として摂取できる。
糸束を出す速度も速い上に範囲もかなり広く、捕まればほぼ終わりとかなり凶悪な能力である。しかし、柱のしのぶには到底敵わず、糸束も軽々と回避され村田の繭も突き技一撃で破られた。
アニメ版
アニメ第20話『寄せ集めの家族』にて、アニメオリジナルストーリーとして彼女の鬼になってからの生い立ちが詳しく描かれた。
元々力を持たない弱い鬼だった「姉」は鬼殺隊隊士に追い詰められ、逃げた先で偶然累と出会う。累は助ける条件として、自分の『家族』になるように言い、彼女もその条件を呑んだ。
累は約束通り鬼殺隊隊士を一瞬で皆殺しにした上で、彼女を那田蜘蛛山に招き入れる。そこには「母」「兄」「父」の他にもたくさんの兄弟姉妹がいた。
累の血を飲んだ「姉」は血鬼術を与えられ、その後元の顔を剥がされ現在の顔になる(それでも気を抜くと鬼の再生力で元の顔に戻ってしまう様子)。
他の家族と共に意味のない『家族ごっこ』をしている中、「姉」のさらに上の「姉」を演じていた鬼から、那田蜘蛛山からの脱走の誘いを受ける。
その提案を承諾し一緒に脱走したが、二人が逃げる先には累が待ち受けていた。彼女は累にその計画を告げ口しており、「姉」の「姉」は吊し上げられ日光にあてられて殺される。「姉」は彼女を差し出す事で累への恭順を示し、ひいては保身を図った。
「姉」は山の外で以前のように鬼殺隊から逃げる日々を送るよりも、累の恐怖に怯えながらも少しでも長く生きながらえる事を選んだのだ(また、逃げたところで累が本気を出せば直ぐに発見されるという確信もあったのだろう)。
そして仲間を売ってでも自分だけ生き残ろうとした彼女を待っていたのが、藤の花に苦しみながら殺され、そのまま腐るまで野晒しにされるという、ある意味では頚を斬られるよりも惨たらしい末路だったとは、因果応報とはいえなんという皮肉な結末だろうか。
余談
スピンオフ作品『きめつのあいま!』の16話では伊之助から発生した『ほわほわ』を「母」や、「母」の首なし人形と共に集め、ふかふかのクッションと座る人を堕落させるソファを作っていた(その後、累と「父」に没収されていた)。