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イタリアのベルルスコーニ元首相が死去 現地報道

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吉田徹さん他1名の投稿吉田徹菅野幹雄

【ウィーン=田中孝幸】イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ元首相(86)が12日午前、ミラノ市内の病院で死去した。イタリアメディアが報じた。死因は明らかにされていないが、同氏は長く白血病などを患い、入退院を繰り返していた。戦後最長の計9年間の首相在任中は国際社会で独自の存在感を示したが、後に多くの汚職疑惑で公職追放処分を受けるなど毀誉褒貶(ほうへん)の大きさでも知られた。

ミラノ出身で、建設やメディア業界など実業界で成功した後の1994年に下院議員に当選して政界入り。右派系の新党「フォルツァ・イタリア」を立ち上げて政界再編を主導し、94〜95年、2001〜06年、08〜11年の3度にわたって政権を率いた。

保守系のリーダーとして国内外で大きな存在感を示したが、汚職や脱税などの疑惑が絶えず、マフィアとの癒着も指摘された。ロシアのプーチン大統領と長年、親しい関係を続けたことでも知られ、22年にウクライナに侵攻したロシアへの融和的な姿勢が批判されたこともあった。

メローニ首相は12日、「私たちは彼と多くの戦いで戦い、勝ち、負けた。さようならシルビオ」と述べ、ベルルスコーニ氏の死を悼んだ。レッタ元首相もツイッターに「ベルルスコーニ氏はわが国の歴史をつくった」と投稿した。

メローニ首相が率いる極右「イタリアの同胞」はベルルスコーニ氏の「フォルツァ・イタリア」と連立を組んでいる。同氏の死は当面、イタリア政界の不安定要因になる可能性もある。

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    吉田徹同志社大学政策学部 教授
    分析・考察

    1993年から三度に渡って首相を務め、現在まで伊政界のキングメーカーだったベルルスコーニの逝去は時代的な象徴でもある。政治に「私」と「起業」を持ち込み、私的利益のために法をねじまげ、政策ではなくスキャンダルを含めた個人の話題提供が政治的討論の対象としたことに特徴があった。これは、現在に至るポピュリズム政治の原型となった。実態と雰囲気を知るには村上信一郎『ベルルスコーニの時代』(岩波新書)が参考になる。そして、時代は異なれども、その遺産は、トランプ政治をはじめ、現在の先進国政治の原型となった。果たして彼の政治的遺産はいかなるものなのか。それこそが彼の死の意味を問うことにつながるはずだ。

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    菅野幹雄日本経済新聞社 上級論説委員/編集委員
    分析・考察

    2001年7月のジェノバ・サミットの取材に行ったとき、会場近くに突如、人だかりが。G7議長のベルルスコーニ首相が私の目の前を通り、薄笑いを浮かべて市民に声をかけていました。退陣しては返り咲きを果たし、合計3回・通算9年も首相を務めた異例の政治家。実業家から政治の世界に転じ、岩盤支持層を得てしぶとく立ち回るのは、いまの時代のトランプ米前大統領を思い起こさせます。 2011年夏にイタリア国債が売り浴びせられた南欧通貨危機では、欧州中央銀行のトリシェ総裁からの手紙を受け、経済改革を約束。難局をなんとか乗り切りました。プーチン氏との親しい関係など、一昔前の欧州の現実を体現したリーダーが去りました。

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