第11話 「転んで」



「それじゃ、あまりは羽目を外しすぎないようにな」


 昼。一学期の終業式が終わった。

 いつも日本中の学校で学期末に繰り出されているであろう先生のありがた〜いお言葉は、一体どれだけの生徒に響いているというのだろう。

 そう、例えば目の前に座る中岡彰人。こいつには絶対に届いていない。

 寝てるし。


「おい、起きろ。もう放課後だぞ」


「……うーん……あと五秒」


「なら待つ」


「……、……、……、……、おはよう」


「……いや声だけ起きても意味ないからな?」


 と、オレは首根っこを掴んで猫みたいにつまみ上げてやった。


「あー、何するのさカッケー。服が伸びちゃうだろー」


「お前がそんなん気にするタマか。行くとこあるんじゃなかったのか?」


「はっ、そうだ! エビプリの地下ライブ、チケット取ってたんだ!」


 今までの眠気声が嘘のように覇気を取り戻し、配られたプリント類を雑に鞄へ詰め込み始めた。


「カッケーもエビプリに興味ない? そういえばフレガル4の体験版も今日からだっけ。これはチャンス、チケット二人分あるし、一緒に行かない?」


「……っ、そんなの興味ねえよ。彼女とでも行ってこい」


「言ったなぁ、カッケーだって彼女いないくせに……って、あっ、いるのか」


「馬鹿、声がでけえ」


 まずい寝起きなため理性が薄い。

 思わず辺りを見渡すも、開放感に溢れた教室でいちいちオレたちの会話を聞いている奴はいない。というか、つい調子に乗って煽ったオレも悪い。


「ほら、ややこしいこと言ってないで帰るぞ」


 そのことを指摘される前に、一足早く教室の外へと向かう。時期、追いかけてくるだろう。

 その前にちょっとでも、と教室に時雨の姿を探したが、いない。彼女と親しい、いつメン三人は談笑しているのに、彼女だけがいないのだ。

 なんだ、またジュースでも買わされにいってんのか。ただ机に鞄があるわけではないので、もう帰ってしまったのかもしれない。

 軽く目配せ程度はと思ったが、いないものはしょうがない。

 深く考えずに踵を返すと、代わりにと言ってはなんだが、彰人の方に目を向ける。それは可愛い彼女ではないけれど、オレの灰色の学生生活に彩りを与えてくれた奴だ。

 しかし、これがいけなかった。


「わっすれもの——わぷっ!」


 なんだか非常に聞き覚えのある声とともに、オレの胸で衝撃が弾けた。教室から出ようとした瞬間、誰かが中へ入ろうと突っ込んできたのだ。

 既視感ある状況だが、今のオレは後ろを向いていたためその相手を気遣う余裕はない。交通事故の相手は大胆に尻餅をつくと、持っていたスクールバッグを宙に飛ばした。

 ひゅ————と、思いのほか長い滞空時間を経て、着地に失敗したバッグは、勢いよく中身を吐き出す。

 そうして、オレの彼女は叫んだ。


「いったー!」


 あー、やっちまった。

 それはそれはもう、派手に転んだ。

 衝撃音と独特の悲鳴から、教室に残っていた全ての視線がこの場に集まる。


「だ……大丈夫か」


 いくら気まずいといっても転んだ原因の一端はオレにある。自然と手を差し出してしまったが、これ大丈夫か? ドキドキしながら手を差し出したまま、ほんの数秒の時間が何倍にも引き伸ばされていると。


「あり……、がと」


 時雨が、恐る恐る差し出した手が、オレに触れようとした、その時——。



「なに。あれ」



 あまりにも冷たい声がした。

 クラスメイトの声だ。女だという以外、名前もろくに覚えていない同級生の声など判別できるわけがない。

 けど、それは、確実に。

 「嫌悪」が混じったものだった。

 キリキリとオレは振り返る。

 で、見た。



『フレンド☆ガール』



 チラシ、だろう。

 キラッキラの派手なフォントで描かれたタイトルロゴ。

 そして、そして。

 派手な厚塗りの鮮やかなイラスト。

 それはいい。顔はまだいい。

 問題は下半身。

 確実にR18とされる、真っピンクな裸体が精緻に印刷されていた。

 ………………。

 ……。

 お綺麗な乳首ですこと。

 いや、


 ばっかやろう…………‼︎


 最初に飛び出た感想は、もう馬鹿しかなかった。

 なんであんなもんが時雨の鞄に入っているかについて、オレは驚くほどに冷静だった。そりゃそうだ。オレは元々彼女がああいうのが好きなのは知ってるし、ありがたくも彰人が今となってはそうとしか思えない伏線も貼ってくれていた。

 フレガル(確か4だかの最新版)の体験版が今日から開始されるらしいとさっき聞いたばかりだ。

 体験するにはそのチラシがないと、とかいうやつなのだ。きっとおそらく。

 教科書類と一緒に散らばっているセンスのない着替え類を見るに、学校帰りに直接向かうつもりだったのだろう。誰よりも早く教室からいなくなっていたのも、それで説明がつく。

 ……とまあ、これぐらい状況を分析できるほど、オレは落ち着いていた。

 というより、考えたくなかった!


「……。……?」


 それでも恐る恐る時雨の方に向き直ると、彼女は頭に特大の疑問符を浮かべたような顔をしている。……そうか、オレで見えてねえのか。

 余計に困った。

 同じオタクの彰人にでさえバラしたくないと強く語った時雨に、今こうなってますよと体をどかして現実を突きつけることなんてできやしない。

 どうにか、どうにかこの絶望的な状況を打破できる方法はないか⁉︎

 再び辺りを見渡して、

 唯一頼れる仲間の彰人が、口を大きく開けて間抜けな顔を見かけて——、



「うおっ、なんだあの絵。おっぱい丸見えじゃん」



 刹那、クラスメイトの人垣の中から、太くうるさい声が響く。

 時雨のお仲間——ヨシマサ(本名知らん)だった。

 ゴツい体を存分に有効活用しやがってクラスメイトの生垣に割り込んでいた奴は、ジロジロとチラシを覗き込んでいる。 


「うわっ、マジじゃん。え、てか、時雨ちゃんのバッグから出てきたの? あれ」


 明らかにチャラーい声で、素っ頓狂な声をあげているのは、人垣の向こうから見下ろす、ノッポのケイ(こっちも知らん)とやら。

 クラスの中心人物のストレートな反応に、今まで沈黙を守っていた観衆にざわめきが広がっていく。


「たしかに……なんであんな卑猥なもんを一ノ瀬さんが……」


「あれって……中岡くんとかが好きなやつだよね」


「え、でもあんなエッチな感じじゃなくない? 雰囲気は似てるかもだけど」


「マジか……なんか、びっくりだな……」


 まずい。もう取り返しのつかないところまで来ちまった。


「あ」


 後ろで小さい悲鳴が漏れ出る。

 見やると、時雨が青い顔でバッグを弄っている。


「あ、あ……」


 見えなくても、さすがに自分の立場を理解したのだろう。バックを探る手つきは能動的なようでいて、その実、体の反応で動いているだけだ。

 そこまで長い付き合いではないが、こんな痛々しい顔をしてる時雨を見たことがない。

 あのエロチラシはもちろん、軽く壊れかけている時雨にも、何人かの視線が集まってきた。もう取り返しのつかないところまで来ている……。

 …………クソ。

 なに御託を並べて現実逃避してるんだ、オレは。

 ああ、決まってる。その方が楽だからな。

 二つの台風の狭間でウロウロしているだけじゃ、傍観者でいられる。

 でも、オレは、時雨の彼氏だろ?

 勇気、出せよ。

 と。

 オレは心の中の臆病な自分に向かって吠えた。



「おい、馬鹿彰人! 学校にあんなもん持ってくんじゃねえよ」



 初めて、オレは自分から注目を集めるようなことをした。

 ここで他人を使っちまうのがオレらしいけど。

 それがオレだ。文句あるか。

 使えるもんは使っちまえ。

 改めてぽかんとしてる彰人と目がかち合う。

 そう、こいつに押し付けてしまうのが残酷的で至極当然のアイディアなのだ。

 合わせろ、と強く目配せすると。プッと小さく吹き出した彰人は、「オッケー」と口の動きだけで呟いた。

 さすが相棒、頼りになるぜ!


「ん、あれ? フレガルの予約チラシ杏奈ちゃんバージョン、いつの間に落としたんだろ?」


 バッグを弄るフリして一際大きな声を上げた彰人は、ごめんねー、と、注目の中心に躍り出る。


「危なかったよー。これがないと体験版プレイできないしね。一ノ瀬さんもフレガルのファンだと思ったけど、拾ってくれてたんだねー。ほんと助かったよー、ありがとう!」


 輝く笑みで、チラシを抱いて笑う彰人。その手に持つそれは明らかにアウトな代物なのだが、華やかさというかなんというか、男のオレでさえ見惚れてしまうほどで。


「いやー、みんなも騒がせてごめんねー。これからは気をつけるよ」


 ヘラヘラ笑って、周りにパフォーマンスしている彰人に、「テメェ、そんなもん買う暇があったら金返せ」と、自然に突っ込んでおいた。

 ハッ、って、それどころじゃなくて!

 時雨に向き直ると、彰人の方を呆けた(そう呼ぶがふさわしい)顔で眺めていた。


「な、なんだ……やっぱり、中岡くんのだったんだ」


「だよな……。さすがに一ノ瀬さんの趣味じゃないよな」


「でも、学校であれはやばくない?」


「まあ、中岡のことだし、しょうがないんじゃねえの?」


 すまん彰人。予想通り、お前の株がみんなの中で上下乱舞しているが、あとでメイドカフェでも奢っちゃるから許してほしい。

 さて。

 次はオレが踊る番か。


「た、立てるか。一ノ瀬」


「え……?」


 わざとらしくはっきり声に出したオレは、時雨の手首を掴んで起こしてやる。


「お前さっき、扉の角で頭打ったろ。しばらく立ち上がれなかったみたいだし、一応……保健室で診てもらえよ」


「へ、あ、うん……」


 たぶん今、時雨の頭の中では言葉だけが空回りしてる。

 頷くも、その場で立ち尽くすのみ。

 う、う……仕方ねえ。やるしか。やるしかない。


「あー、ぶつかったのはオレにも責任あるし、ほら……行くぞ」


 時雨の顔すら見ないで、彼女の腕を引っ張って教室を出る。どう見られてるかって? 知らん、考えたくもない。別になんとも思われてないかもしれないし、そうじゃないかもしれない。けど、最悪を回避できた、それだけは褒めていいだろ、自分を!

 オレの頭も熱くなって、無言で廊下を突き進む。

 当然、下校時間、廊下で談笑している生徒等を縫っていくことになるのに気づいたが、もう遅い。顔を下げて、小走りで。


「カ、カケル……」


 小さな声が背後から届くが、反応できない。

 ようやく人通りが少ない保健室前まで来て、オレは彼女の手首から手を離す。


「悪い。強引に連れてきちまって」


 それでもまだまともに顔は見られずに、逸らしたまま。あまりにも大胆なことをしでかしてしまった。後悔が津波の如く押し寄せるだけ押し寄せて、まあいっかというところまでは来ていたのではあるが。

 とにかく。

 心ここに在らずといった時雨を、視線リンチの場から無理やり引きずり下ろすことには成功した。


「その……あたし、その、」


 手をわたわたさせて説明を試みている時雨に、場違いながらも落ち着きを感じた。ようやく彼女の顔を見れる。


「なんであれが、時雨のバッグに入ってたのか、なんとなくわかってる。でも、見ての通り彰人が上手く誤魔化してくれたし、たぶん大丈夫なはずだ」


「ごめん……いっぱい、迷惑かけちゃったね」


「気にすんなってのは無理だろうけど、気にすんな。とりあえず疲れただろ。荷物取ってきてやるから、ちょっと休んでろよ」


 ここまできたら、とちょっと躊躇いつつも肩をポンと叩いて、オレは再び教室へと向かった。

 まだうねりが止まらない胸をさすりつつ、廊下を歩く。

 正直言ってオレも教室に帰りたくなかったが、荷物を取ってくると言った手前、そういうわけにもいかない。そうだ彰人! とも思ったが、あいつは十分に活躍してくれた。


「うぅ……入りずれえなぁ……」 


 とはいえ、教室は徐々に近づく。一才の容赦なく。


「……あれ?」


 しかし。己のメンタルケアに精一杯すぎて気づかなかったが、オレたちの教室の前から、かなり人影が減っている。他のクラスはいつも通りなのに、なぜか。

 ブー、とポケットのスマホが振動する。

 メールバナーを見ると、『急いでるから行くねー』と彰人から連絡が来たところだった(迷惑設定は奴にバレてから、泣く泣く解除している)。 

 はあ……。まあ、あいつもそれこそ体験版に行く予定だったみたいだしな。せめて待っててくれるとでもシクシクとはなったが……これも定め。

 覚悟を決めて教室を覗いてみると……、一人だけ。


「あ、おかえり。時雨は大丈夫だった?」 


「ああ……。しばらく、休んでもらってる」


 あくまでも平静を装ってオレは言葉を返すが、オレの鼓動は盛り返していた。

 なぜならその相手は、時雨の親友にしてクラスのもう片方の華、鈴羅木美香だからだ。

 オレがもっとも与しにくい相手は、教室の机の上に、堂々と君臨していた。


「彰人は……他のみんなはどうしたんだ?」


「帰ってもらった。センセーが放課後使うみたいだから、みんな早く帰ってって」


「……それって、嘘だよな」


「なに当たり前のこと言ってんの。実際、『らしい理由』があれば、なんだっていいでしょ?」


 どうにも小馬鹿されたような気もするが、ありがたいことには変わりない。


「で、……鈴羅木は、一ノ瀬のために待ってたのか?」


 わざわざ人気を払って一人残ってた理由なんて、それしか思いつかないが。

 ふと。


「七〇点」


 開いた手のひらにピースを合わせて言う鈴羅木。


「へ」


「ギリギリ『良』、といったところね」


「なんの……話?」


「さっきの対応。あの子のこと、庇ってくれたんでしょ」


「なっ……」


 庇ってくれたって……やっぱり。


「わかってた……いや、知ってたのか?」


 彼女の、秘密を。


「うん」


 あっさりと頷く鈴羅木。


「ていうか、バレてないと思ってることが驚きなんだけど。こっちは何年付き合ってると思ってんのよ」


「知らねえけど……てか、古い付き合いなのか?」


「いいえ、高一からよ」


 ズコッ。

 まあ……オレと彰人もか。なんだかんだやれてるし、時間じゃねえわな。


「だけど……あいつ、いや、オレも仲良いってわけじゃないけど、たまたま一ノ瀬の秘密を知っちまってな」


 とりあえずどこまでバレてるかわからないが、予防線は最低限張らなければ。


「一ノ瀬……ああいう趣味がバレるのめちゃくちゃ嫌だったみたいで……。親友のあんたにも隠したいくらいにはな」


「まぁ、あたしはまったく気にしてないんだけど、こればっかりはね」


 鈴羅木もしょうがないといった感じでため息をつく。


「だよな。……オレは、一ノ瀬の鞄を取りに来ただけだから……そろそろ行くけど、よかったら鈴羅木が届けるか?」


 うおおおっ。さっきから無理して喋ってるけど、そろそろ限界です。


「いや、いいわよ。君が持っていくって、あの子に言ったんでしょ。なら、君が持ってかないと。……詳しい話は、また今度聞かせてもらうかもしれないけど」

 ついでのように付け足された言葉だったが、どうにもマジトーン。あれ、きっついなぁ。


「じゃあ、とりあえず、持ってくぞ」 


 機械的に鈴羅木の隣を通り過ぎ、おそらく詰め直してくれた一ノ瀬の鞄を左手に持つ。続けて、オレの席に向かい、自分の鞄を背負う。


「じゃあな」


 何も言わないままというのもあれなのでそれだけ告げて、足早に去ろうとすると、



「ねえ、君さ」



 後ろで、透明色な声。

 どうにも、嫌な予感がする、声。


「なんだ?」


 ドク、ドク。



「時雨のこと好きなの?」



 ああ。

 ストレートに来ますかぁ。


「別に、……普通の友達だけど?」


「変な答えね。好きか嫌いか聞いてるだけなのに」


「それは……」


「でも、友達なのよね。じゃあ関係ないのか」


「な、何が」


 つい振り返ったオレに、鈴羅木はわざとらしく目を逸らして、


「最近、時雨に男が近寄ってるらしくてね。告白もされたって」


 …………っ。はい?


「へ、へー。まあ、あいつ、男受け良さそうなタイプだもんな、うん」


 え、時雨にそんな兆しがあったか? 色恋関係だけはめちゃくちゃ顔に出るタイプなのに?


「しかも二人」


「二人⁉︎」


「冗談よ」


「冗談かよ⁉︎ ……って、冗談?」


 あっさりすぎて、一瞬、思わずスルーしてしまった。


「ええ。冗談よ。嘘。告白、されたのはね。男が近づいてきたのだけは、本当」


「鈴羅木、やっぱりどこまで知ってるんだ?」


「さあ? どこまででしょう?」


 そうして意味深に笑う鈴羅木は、妖しく——不覚にも見惚れてしまうほど、美しかった。

 そして同時に、怖い、とも思った


「……一ノ瀬はさ、なんていうか、純粋だろ。良くも悪くも。だから、不安になることもある。前に鈴羅木も言ったよな、あいつを傷つけるなって。今回、オレは動いた。けど、あんたは動かなかった。これから先……オレは……いや、時雨は、あんたを信じていいのか?」


 これはオレの勝手なわがままかもしれないけれど。

 なぜあの時、お前は、時雨のために動いてくれなかったんだ、と。

 一言、言いたかった。


「……君、やっぱりあの子のこと好きじゃん」


「う、うるせえ。そんなことは聞いてねえ……よ」


 柄じゃねえこと、これ以上言わせないでくれ。ほんと。


「ふーん。あたしは男の面を立ててあげようと思っただけだし、逆に君が動かなかったら許さないつもりだったわよ?」


「だ、だからって……」


「……わかったわ」


 と、腰を下ろしていた机から、ぴょこんと飛び降りた鈴羅木は。


「時雨のこと、本当によろしくね。今のあの子と真に笑い合えるのは、君だけだから」


 そう、言って。

 深く頭を下げたのだ。

 それは、とてもとても、高校生がするようなものではない、深いお辞儀だった。


「……悪い。頭を上げてくれ」オレはさすがに思い知って、自分も頭を下げる。「オレ、鈴羅木のこと誤解してたよ。飄々としてるから、もっとドライなタイプかと思ってた。でも、ちゃんと情には熱いタイプなんだな。よくわかった」


 オレの言葉の連なりに、嘘のようにパッと顔を上げた鈴羅木は、再び不敵に笑った。


「人を外面だけで判断しないでよ。誤解があるかもしれないんだから、ね。コワモテさん?」


「あ、ああ」


 オレは、苦笑いするしかなかった。

 まったく、皮肉が効きすぎてるぜ。



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