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続・イタリア紀行 作者:iccchiiiiii/一ノ瀬健太
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μῆνιν ἄειδε θεὰ Πηληϊάδεω Ἀχιλῆος

人類が到達できる文学の最高峰。ジョイス以上にマジックマッシュルームな文体を使いこなす哲学界のヴィトゲンシュタインことみんなのiccchiiiiiiが文学の歴史に終止符を打つ。芸術の終わりにしてはじまり。ミネルヴァの梟がよだかになる瞬間をぜひその目で。

続・イタリア紀行


Tolle, lege

                             一ノ瀬健太

続・イタリア紀行(Danger Zone/Kenny Loggins)

 ぐおおぉおおぉお!!っという地鳴りと同時に経済的座位とかかれた窮屈なシートに身体がめり込んでいく。さっきまでの徐行機体はあたかもマリカーでキノコを使った時のように瞬時に加速した。腹筋と玉筋太郎筋に若干の力を入れないとバランスが保てないことを鑑みても日常生活ではまず感じられないGが身体に大量の真綿を乗せたかのように、ずっしりとラプラスのように重くのしかかってくる。手に汗握る中、頭の先から爪の先まで、ぼくの身体の水分がエンジン音の幽波紋と徐々に重なって、音叉の如く共鳴し、膝前にある中国富裕層向けの車カタログとゴルフ雑誌がカタッカタカタッと小刻み単振動してぼくの志向性に干渉してくる。無事に離陸することを疑うわけではないが、向田邦子の例もあるからと、体面は静かな東山魁夷的な森の湖畔を繕うが、内ではオン・ア・ボキャ・ベイロシャノウ・マカボラマニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン、オン・ア・ボキャ・ベイロシャノウ・マカボラマニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン、念被観音力、念被観音力、念被観音力…と大学の合格発表時に上野の公園改札口を降りてから唱え続けた呪文がぶつぶつぶつぶつと空也上人のように口からと飛び出てくる。ぼくの念仏に、涙は追いつけない。疾走する悲しみは、トリステとか何とか、かんとか、うっすら額に汗滲ませながら祈り、瞑想しては、また祈る。エンジンの重低音の中にもまた軽高音が混じっていることを発見した私はその現象を二つの轟音、琴瑟相和の体を成す、と無理に難しい漢語を使い形容してみる。精神を落ち着かせつつ、分析しつつ、意外に頭は冷静なのだなと、自分をいっそうメタ認知して些細な安らぎを得ては、少しでも自分自身を落ち着かせようと強がらせてみる。メタ認知のメタ認知のメタ認知していてもビビリなのは仕方ない。肝っ玉かあちゃんはこれでも小さい方だと自分でも自負している。身体は大人、頭脳は子ども、の逆名探偵コナンではないが、不意に、頭はクール、心はホットに!と激励のことばをかけてくれた浪人時代の予備校の英語講師が頭を過った。なに?これが、あのいわゆる走馬灯ってやつか?ならせめて母の顔を…、と、あぁ、こうして思考の螺旋をトリップさせる時、自分はたいてい冷静ではないのだと今までの経験上痛いくらいに知り過ぎている。自らの弱さと向き合い、認め、そこから初めて喉に喰らい付いた蛇を噛み砕くことができることも。二本の足で大地に立つことができることも。飛行機の床に立つことができることも。そう、そうなのだ。簡単なことだ。自分は緊張している。緊張リキッドなのだ…だかrあそれがいらないことだと言うのだ。緊張している、それがわかっているだけ儲け物。ここから、ここから。いつもここから、悲しい時~。

 あぁ、はじめての飛行機、はじめての海外、はじめての中国東方航空…、氷のような情熱を携えて、今、ぼくは空を飛立とうとしている―

under constructing...

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