超法規的組織シャーレ で 仕事をしたくない サトウカズマ先生   作:奈音

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さてなにをテーマにして書こうかと思ってたのですが、絆ストーリーを履修した結果、グリッドマンとダイナゼノンのOP聞きながら書きました。


二話 百鬼夜行連合学院 久田イズナ

 

 

    ――――リオはかつて、カズマに対してこう言った。

 

 

 

 「――これから交渉する相手のことを、よく知ることは大切ですわ…

  それにこれは、カズマ先生がやってきたことを真似したにすぎません。  

 

   私がこのキヴォトスで二番目に恐れるものに対し、失敗はしたくない…。

  なぜなら、貴方の逆鱗を踏むことだけは、避けたいからです。

  連邦捜査部S.C.H.A.L.Eの、佐藤和真先生がどういう存在なのか…

  私は、分かっているつもりです…」

 

 

 

 

 カズマの逆鱗の触れることだけは避けたい、と。それはどういうことなのかとリオが誰かに聞かれれば、それはノアに頼んでおいたサトウカズマ先生に関する報告書がすべてを示していると答えるだろう。

 その報告書の中での全ての行動において、カズマが尊重しているものとは何か。それは、誰もが追い求めている、存在意義であったり、夢であったり、目指すべき目標であったりするものだ。そしてその特性がより顕著になったのは、SRT特殊学園とゲーム開発部の件に関わった時であった。

 

 手が届かないであろうと半ば諦めている夢、たとえそれがどれだけ困難であっても果たすべき誓い、生きていくうえで欠かすことが出来ない、己が生きている意味ともいえる存在意義。それらが侵されたと分かった時、嗤われたと認識した時、それが一度でも関わった相手であると分かった瞬間、そこが、おそらくカズマ先生の逆鱗なのだ。

 そうなったらもうお終いだ。ありとあらゆる手段を尽くしたカズマ先生によって、その哀れな敵対者は、思い知ることになるだろう…。かつて、その手腕を発揮して、SRT特殊学園を復活させ、アトラハシースを塵と化した時と同様に。連邦生徒会長の代理である、連邦捜査部シャーレのサトウカズマが、どういう存在であるのかを――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

――百鬼夜行連合学院 路地裏の記憶 イズナ

 

 

 「――はぁーっはっはっはっはっはっは!! ざまぁないな!

  いいかイズナ、いい機会だから、俺が好きなものを教えてやるよ…

 

  ――俺が大好きなことはなぁ…! 

  さっきまで上から目線でふんぞり返ってたやつが、

  地べたに引きずり落されることなんだよぉ…!!!」

 

 

 「お、お前っ、ふっ、ふざけるなぁあああああああ…!!!

  わ、私が誰だか分かっていてこんなことをしているのか!

  商店街会長のニャン天丸に、こんなことをしてタダで済むと…ひぃっ!!!

 

  あっ、うそだっ、や、やめてくれぇえええええっ、あっ、まって、おねがいっ…!」

 

 

 「おいおいさっきまでの威勢はどうしたんだ…?

  怨霊だか魍魎だか知らないが、お前が頼りにしてた連中は軒並み伸びちまってるぞ?

 

   おいおいどんな気持ちだ?

  勝利宣言してすぐにハゲ猫にされてどういう気持ちかって聞いてんだよオラァ!!!!!」

 

 

 そう…、敵対した相手を全力で煽り倒しながら嬲り殺しにするという、最低最悪のアクマのような男だという事を思い知ることになる。この時のカズマは、温泉開発部への対処のために各地の温泉郷開発で動き回っている最中であり、戦力として旧ホームレス四人組、現SRT生徒会のメンツを従えていた。

 つまり、この時点でのカズマを敵に回す、追い詰めるという行為は、ただでさえ無茶ぶりを受けてイライラしている最中のこの男に、容赦という文字を全てかなぐり捨てさせるという自殺行為に等しく…、温泉郷開発の片手間にお祭り運営委員会の騒動に巻き込まれたカズマは、ホームレス四人組に制圧ではなく、可能な限り恐怖を植え付けて上下関係を分からせろという、ホラー映画の演出のようなことをやらせていた。

 

 

 『――こ、こちらRABBIT4。

  あ、あのぅ、先生……』

 

 

 「――はぁーっはっはっはっはっはっは!!!

  ……なんだミユ、後は股間だけだぞ。

  ムダ毛処理に困らないように、綺麗に剃ってやれよ!!」

 

 

 『――RABBIT1より各位へ、作戦終了です、しばらくその場で待機。

 

  先生最低です、やめてください。

  ……もういいでしょう、狙撃でムダ毛処理なんていう曲芸じみたことを、

  いくらミユでも股間までは出来ません…』

 

 

 「――ん? そうか? よかったなぁニャン天丸!!

  俺の仲間は俺と違って優しいから、お前の股間は許してやるってよぉ…!!!

  お前のその情けない姿が百鬼夜行に知れ渡り終えるまでに毛を伸ばしたら、

  同じ目に遭わせてやる!!って凄んでたから、

  しばらくの間はその無様な姿をさらすんだなぁ……!!!!」

 

 

 『――こちらRABBIT2、お祭り運営委員会を発見したから誘導する…。

  うっ、うわぁ……、作戦が終わったからって視覚情報リンクしなきゃよかった…。

  ――先生先生、気持ちよく叫んでいるところ悪いが、

    そいつ泡吹いて白目剥いて失禁してるぞ……』 

 

 

 『――こちらRABBIT3、他の魍魎メンバーは本当にお祭りで遊んでることを確認。

  あっぶな~、やること終わったから、私も視覚情報リンクしようとしてたよ…』

 

 

 「――はぁーっはっはっ……なんだ根性のないやつだな。

  まぁこれで、百鬼夜行でやることは一旦終わりだろ。

  よーしお前ら、約束通り遊んできていいぞー。

  こっちに来る、お祭り運営委員会と修行部の相手がしばらく掛かるだろうからな――」

 

 

 『本当によろしいんですか…?』

 

 

 「こいつらも片付けたし、今から合流する連中だけでも十分だろ。」

 

 

 『ですが……』

 

 

 「――………あ~、そうだな、SRT特殊学園の本来の役割として、

  全学区への介入が認められてるんだろ…? 

  だったら尚の事、緊急事態が起きた時のために、よく知らない場所なら視察が必要だよな?

  それは今後ともやってもらうから、ほら、さっさと行ってこいって…」

 

 

 『……なんでこんな時だけ舌がクルクル回るんだ、先生は…

  ミヤコ、いいんじゃないか…? 先生の言う通り、いい機会ではあると思う。

  先生から、お金もそれなりに支給されてるしな』

 

 

 『おおっ、いいねぇ~。

  さっきから美味しそうなにおいが沢山してて、食べてみたかったんだよ~』

 

 

 『お祭り………!』

 

 

 『………はぁ、分かりました。

  RABBIT小隊は、これ以降起きうる事態に対応するため、現地視察を行います。

  よろしいですか、カズマ先生』

 

 

 「よろしいよろしい…。

  ゆっくり楽しんで――視察して来い」

 

 

 『RABBIT1、了解』『RABBIT2、了解』『RABBIT3、了解』『RABBIT4、了解』

 

 

 「――よし。………おい、イズナ、動けるか…?

  大分手ひどくやられてたが」

 

 

 「………………………」

 

 

 ううん、なんかダメそうだなとカズマは困惑する。イズナに滅茶苦茶言ってた大人げない猫が、そこらで失禁したまま放置されているのが気に入らないのだろうかと思って、カズマは背を向け、その辺の廃ダンボールを猫の体に掛け始めたところで、イズナが語り始める。

 

 

 「――先生は…、いいえ、先生も…、イズナのことを自称忍者だとか、忍者ごっこだとか…、

  幼稚な子供のごっこ遊びで……、

  魔法のような「忍者」なんて、ファンタジーの世界の話だと、思いますか…?」

 

 

 「――思う」

 

 

 ノータイムで背中で返事をするカズマに、ひうっ…!という今にも泣きだしそうな声が響き「そ、そそそそそそ、そうですよねすいません余計なことを聞いてしまって、イ、イズナがやってたことは忍者という意味を取り違えて利用されて、先生にご迷惑を――」ものすごい勢いの早口でガタガタ歯を震わせながら、聞いているだけで大気も泣き出しそうな悲痛な声質で語り始めたので、うーんまぁ自分が今まで散々やらかしてたことを心底反省しているみたいだから、そろそろ許してやるかという気分になってきた。――というかさっさとフォローしないと、この後やってくるであろう部活の連中にゴミでも見るかのような視線で殺されかねない…。

 

 

 「――……はぁ。」

 

 

 「ひうっ…!(ビクビクビクゥ」

 

 

 「ティンダー…(ボボボッ…」

 

 

 「えっ…? な、なにもないところから火が…?!」

 

 

 「クリエイトウォーター(バシャァアァ…」

 

 

 「なにもないところから水がっ…?!?!」

 

 

 カズマは魔法で出した火と水で手持ちのタオルを十分に濡らして絞り、うんざりした顔をしながら煤と涙でぐちゃぐちゃになったイズナの顔を綺麗になるまで拭いてやる。ついでに色々打ち付けて切り傷だらけになった腕やら脚やらも拭いてやり、なにがなんだか分からないという顔をしてこちらの顔を見つめたまま惚けているイズナに手を向けて唱える。

 

 

 「ウィンドブレス(ブォォォォォォオオオオオ…」

 

 

 「か、かぜまでぇぇぇぇぇぇ……」

 

 

 よし十分に乾いたなと思うところまで風を当ててやり、いきなりの事過ぎて今までのことがすべて吹き飛んだような顔をしているイズナに、カズマは問いかけた。

 

 

 「………よし。じゃあ、逆に聞くが、イズナ。

  お前はニャン天丸が語ってた、祭りを乗っ取るだとかどうとかいうのを、どう思った?」

 

 

 「――え? それは…、いかにも最後の大ボスが言いそうな、台詞で…

  イズナはそれに何も言い返せなくて、騙されて……、ううっ」

 

 

 「あぁもうせっかく拭いたのに泣くなって…。

  俺からすれば、ニャン天丸が言ってたことも、

  お前が狂ったように忍者プレイしてることもな、同じなんだよ…」

 

 

 「で、でも…、イズナのやっていたことのほうが、現実味がなくて――」

 

 

 「現実味という点なら、どっちも机上の空論並べてるんだから同じようなもんだろ…。

  あいつの企みは成功しなかったし、お前はお前が思う忍者を果たせなかった…。」

 

 

 「――ううっ…、イ、イズナがやってたのはやっぱり、ただの忍者ごっこだったんです……」

 

 

 「あー、えーっとな…、そうだ。だったら、あの情けない猫を見てみろよ。

  祭りを乗っ取るだとかなんとか御大層なことを語っていたが、今やあの有様だぜ…?

  あれが夢破れた敗北者の倒れた姿ってやつで、俺もお前もまだ立ってる」

 

 

 「で、でもイズナの夢は、誰にも理解されなくて、誰も、そんなこと思ってなくて…」

 

 

 「――なら、ニャン天丸の夢は、誰からも理解されていて、誰もがそう思っていたから

  あんなに部下がいたってか?

 

   ……そんな穏当なものじゃなかったろ?

  その夢を叶えるために、全財産をはたいてまで、

  どんな汚い手段でも使って…、裏路地のゴロツキを雇って扇動し、

  他人の夢を、幸福を踏みにじった結果がこれだ、お前とは違うだろ」

 

 

 「で、でも、それでも、とても大きな夢じゃないですか……、

  イズナなんかじゃとてもかなわなくって――」 

 

 

 「――本当にそう思ってるのか…?」

 

 

 「………………………」

 

 

 「――俺は、掛けた時間の重みが、夢の偉大さの優劣に関わるとは思ってない…

  ……思っていないが、思うところはある。

 

  おまえは会うたびにバカみたいに明るく振舞って、

  忍者の何たるかを俺に語って聞かせてたよな?

  あれは、そうである自分自身が誇らしくてしょうがないから、

  あんなふうに笑えてたんだろうと思うよ。

  お前の今までの念願の夢が叶っていたからこそ、それを誰かに聞いて欲しかったんだろ?」

 

 

 「でも、でもイズナは………」

 

 

 「………さっきも言ったが、あいつは倒れていて、お前はまだ立っている。

  そして、誰かを踏みにじってきたあいつは、踏みにじられてきた奴らが絶対に許さないから、

  もうお前みたいに躓いても立ち上がることもできない。

 

   でもイズナ、お前は違う。

  お前を嗤ったバカはさっき俺が黙らせた。もうバカにしてくる奴はいない。」

 

 

 「………でも、でもでもでも先生がっ――!! 

  言ったじゃないですか、魔法だって、ファンタジーだって!!!」

 

 

 ヤダヤダヤダと、子供が駄々をこねるように首を振り、誰に認められなくともカズマ先生が認めてくれないならそれは違うのだと。本当に一番認めて欲しい人に、私の夢を分かって欲しいのだと、泣き叫ぶように悲鳴を上げるイズナを見て、そういえば即答したなと、ようやくカズマは己の失敗を思い出した。

 

 

 「――なかなか元気にならないなと思ってたら、そこが引っかかってたのかよ……。

  あぁーーもぅ………、しょーがねぇーなぁー………『潜伏』………」

 

 

 イズナが、ええっ!といった顔をしてぶんぶん首を回してカズマを探し回っているが、まぁ見つけられないだろうなと思いつつ、さてどうしたもんかと考える。長い間ダラダラと説教をかましてしまったが、どうやら最初の対応の時点で失敗していたことで、いまだにイズナは立ち直れないようだ。うーん、どうするか。さっきまでの初級魔法は、手品の類だと思われていても仕方ないちゃっちさだったから、一発ド派手な、ド派手な………、ド派手? いやいや何を考えているんだサトウカズマ、落ち着け、俺はあの頭のおかしい爆裂狂とは違う、違うが…、もうなんだか色々と疲れている上に面倒くさくなってきたカズマは、青輝石を砕き、全身に魔力を循環させ始めた。

 

 

 「――わわっ、先生いつの間に後ろに…っ?!

  そ、その光は何ですかっ?!?!」

 

 

 「魔法だのファンタジーだの、そんなもんはなぁ、どこにでもあるんだよ…!!」

 

 

 このとっておきの魔法を、自業自得とはいえ、こんなくそくだらないことに使うとはカズマも全く考えていなかったが、すでに後先考えていないカズマは、たった一人の少女の涙を止めるだけの為に、ヤケクソ状態で詠唱を始めた。

 かつての世界で、頭のおかしい爆裂魔法使いが、その圧倒的な威力の呪文に魅せられてしまった時の再現になっていると全く気が付かぬまま、カズマは朗々と呪文を唱える。

 

 

 「――黒より黒く闇より暗き漆黒に、我が真紅の金光を望みたもう……。

  覚醒の時来たれり!!

  無謬(むびゅう)の境界に堕ちし理!!!

  無暁(むぎょう)の歪みと成りて、現出せよ……っ!!!」

 

 

 七色の星の光がカズマの周囲を取り巻き、大気を震わせる独特の音が響き始める。それは渦巻く星の息吹であり、いまから潰される大気の悲鳴であり、立ち上っていく原初の炎の鼓動である。その奏でられる奇跡の音階が臨界に達した時、カズマの片腕の中には、いまかいまかと発動を待つ光源が、破滅の鐘の合図を待つ状態となった。

 

 

 「――エクスプローーーージョンッ……!!!!」

 

 

 お祭り運営委員会が、ミレニアム製の花火を撃ち上げるよりもいち早く、遥か天高い上空で、百鬼夜行の全天を覆う程の規模の大爆発を起こした爆裂魔法は、その日、イズナの全てを塗り替えた。魔法みたいなファンタジーはこの世界にあるのだと、強く強く、イズナの魂に、刻み付けてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

――現在。百鬼夜行連合学院 忍術研究部

 

 

 「「「――黒より黒く闇より暗き漆黒に、我が真紅の金光を望みたもう……。

    覚醒の時来たれり!!

    無謬(むびゅう)の境界に堕ちし理!!!

    無暁(むぎょう)の歪みと成りて、現出せよ……っ!!!」」」

 

 

 おそらくカズマがこの光景を見たら卒倒するであろう状態が、ここ最近の忍術研究部のトレンドだった。さもあらん。いつも通りのカズマの自業自得の結果が、忍術研究部の純真な三人に浸透してしまったというだけの話ではあるのだが、ことはそれだけで済んでいなかった。

 

 

 「「「――エクスプローーーージョンッ……!!!!」」」

 

 

 なんども詠唱を練習した結果、彼女たちはカンペを読まなくても気持ちよく呪文を唱えられるほどに熟達していた。何かの間違いで、カズマが爆裂魔法を教えてしまい、アクティベートに許可を出してしまえば、覚えられてしまう程度には、彼女たちの熟練度は条件を満たすところまで迫っていたのだ。

 

 

 「これが、あのお祭りの日に起きた真実…。

  先生殿が唱えた、火遁系最強忍術、エクスプロージョン…、

  何度聞いても魔法の詠唱じゃないって、思うのはミチルだけ…?」

 

 

 「――いいえ!イズナはこれを使ったカズマ先生から確かに聞きました。

  世を忍ぶ忍術だからこそ、危険を悟られぬよう、敢えてこうしているのだと…!

  さすが主殿です…、ニンニン!」

 

 

 「部長、イズナちゃんもこう言ってますし…、

  それに、練習すれば、あんな大きな花火を私たちでも撃ち上げられるみたいですから…、

  忍術研究会の成果としても出せそうで、私も楽しみです…」

 

 

 「……確か爆発の規模の割に、残り火で被害が出るでもなく消滅したんだっけ…?

  うーん確かに、忍術としても私たちの使い道としても理想的ね…」

 

 

 あの後、エクスプロージョンをお祭り運営委員会のせいにするしかなかったカズマのせいで、あの日の花火は伝説になってしまい、お祭り運営委員会が対応に追われることになってしまった申し訳なさもあって、百鬼夜行温泉郷はお祭り運営委員会の収入源の一つになった。

 シズコは飛んで跳ねて喜び、カズマに抱き着いて頬擦りするほどだったが、折角の美少女からの心からの感謝と柔らかい体を押し付けられているというのに全く喜べなかったカズマが乗っているバイパス電車の到着地点も、当然温泉郷であり、その知らせは、かつての事件の時にできた縁で、忍術研究部にも来るようになっているのだ。――とはいっても、忍術研究部が許可なく使用している、この使われなくなった部活棟には固定電話がないので、イズナの端末に連絡が来るだけなのだが。

 

 

 「部長! カズマ先生がそろそろ到着するみたいですよ!

  この最強の忍術を教えてもらうためにも、行かないと…!!」

 

 

 「条件として、一人前の忍びになることが必要なんでしょ…?

  うーん忍びとして私はもう完成されてると思うのだけれど、大丈夫かなー…」

 

 

 「――わ、私は、樹に化けるくらいしか、自信がありません…」

 

 

 「――大丈夫です!

  主殿なら、きっといままでの私たちの修練の成果を評価してくれますよ、ニンニン!」

 

 

 忍者オタクの部長、その忍者オタクの人柄に引かれた樹木変身マスター、手裏剣を投げることがキヴォトス一上手い新入部員は、わいわいと騒ぎながら、忍術研究部を正式な部活動にしてもらう協力を得るため、百鬼夜行温泉郷に向かって行く。その日のうちに辿り着き、そして彼女たちはカズマに会えば必ず言うだろう――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ――――エクスプロージョン(爆裂魔法)を教えてください、と…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第一部では使用スキルに滅茶滅茶制限を掛けていたと言ったが、あれは嘘になった…(過去回想)

――という感じで、「~空に徒花 地に忍び~」編でした。
キヴォトス最高峰の科学力、ミレニアム社製のホログラム花火は凄い!なんて美しい徒花なんだという話でした…綺麗な花火だなぁ…。花火詠唱は邪神版ではなく爆裂狂版にしました、認知度の問題かな…。

 百鬼夜行編は一つにまとめようとしたのですが、キャラを動かす量的に無理があると思いこうなりました。これで前編じゃないかな、多分…。

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