超法規的組織シャーレ で 仕事をしたくない サトウカズマ先生   作:奈音

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エデン条約...?
知らない子ですね…()


第三部
プロローグ


 

――シャーレオフィス カズマの執務室 ヒフミ

 

 

 「――授業日数が足りてない…?」

 

 

 「あ、あはは…、実はそうでして。

  しばらくの間は…、その、授業に行かないと留年しちゃうんです…」

 

 

 「……そういえばヒフミって学生だったな」

 

 

 「せ、先生は私をなんだと思ってるんですか…?」

 

 

 「――え、そりゃぁ……」

 

 

 そのヒフミの後ろに付き従う、体がロボットで出来てるからかそれなりに背丈のあるカイザージェネラルの姿に視線を上に向け、またヒフミに視線を戻す。なんだと思ってるかと言われても反応に困る状態である。

 そもそもヒフミをそうした原因はカズマにあるのだが、それ以降もこうして裏社会をまとめる手腕を発揮し続けていられるのは本人の資質も大きい…。なにせ、カイザーからの交渉に関して、ヒフミが困ってると思い、出来るだけの準備をしてから駆け付けたのだが、その時にはもう全部終わっていたのである。

 

 

 「それ、俺が言わないと分からないやつか…?」

 

 

 「がっ、学生! 学生ですっ…!」

 

 

 「そうだな、いつのまにか凄い学生になってたな…。

  ――俺の故郷でさ、学生起業っていうのがあるんだけど…、

  クロノスの取材はいつなんだっけ…?」

 

 

 「取材はお断りしましたっ…!

  こんな平凡で、大した個性もない私を取材しても面白くもなんともないですからっ…!」

 

 

 「平凡で、大した個性もない…? 

  なかなか面白い自己評価だな…。

  そういう、他人にどう評価されてるかに惑わされないところは、ヒフミの強みなんだが…。

  まぁいいか…」

 

 

 「なっ、なんでそこで諦めちゃうんですかっ…!

  平凡! 普通! 地味! それが私ですっ……!!!」

 

 

 「だから褒めてるんだって…、

  お前は、俺が見てきたキヴォトスの生徒の中で、誰よりも自己を確立してる。

  他人にどう思われても、何を言われても、そう言える奴はそういないってことだ…」

 

 

 「………? ええっと…?

  つまりそれは、先生は私のことを、平凡で、普通で、地味な生徒だと

  思ってるってことですか…?」

 

 

 「………もうそれでいいよ」

 

 

 「それでいいってなんですか…?!?!

  お願いします諦めないでくださぁいっ……!!!」

 

 

 最終的にヒフミに詰めよられて肩を優しくつかまれ、これまた優しく揺すられたのだが、正直カズマはこれ以上ヒフミになんと言っていいのか分からなかった。

 ――とはいえ、今まで裏社会の管理を任せきりだったのと、授業日数が足りなくなるほど文句も言わずに頑張ってくれていたことを思い出す。いままでの実績から鑑みるに、あまりにもヒフミを雑に扱ってきた罪悪感がカズマにはあり、仕方がないのでヒフミが理解してくれるまで何度も何度も言い含めたところ、ヒフミはようやく納得した顔をして、帰る段取りを始めた。

 

 

 「もうもうもうもうっ…! そうならそうと早くいってくださいっ…!

  カズマ先生は先生なんですから、もう少しわかりやすくいってくださいっ…!」

 

 

 「悪かった悪かった…。

  ――というか、ヒフミは俺との付き合いが一番長いから、

  言わなくても通じるかと思ってたんだよ…」

 

 

 「むぅ……、先生はそういうところが狡いと思います…。

  とにかくそう言うわけですから、お願いしますね、カズマ先生」

 

 

 「分かった分かった…。

  ヒフミの後任の当てもあるから、その時になったらまた連絡する。

  いまのうちにヒフミの都合のいい日を、いくつか教えておいてくれいないか…?」

 

 

 「分かりました」

 

 

 最近になって、シャーレに棲み着き始めたひきこもり二名のことを思い出しながら、ヒフミの都合のいい日をカレンダーに付け、帰ったことを確認してから地下室に連絡を取っておく。これで裏社会に関しては、トリニティとミレニアムの合同管理となるだろう。

 ゲヘナに関しては、万魔殿はまったく当てにならないので、いまはまだまだ忙しい風紀委員会が落ち着くのを待てばいいかなと少し考えたが、よく考えるとこれ以上の心労が祟ったら、ヒナとアコが疲労で死にかねないと思いなおしたカズマは、温泉開発部はダメ、美食研究会はダメだと考えて、そういえば暇そうなやつらがまだ残ってたなと思いだした。……こういうのは、そういうのが好きそうなやつらに全部ぶんなげようと思いながら、電話を手に取る。

 

 

 「――もしもし」

 

 

 『はい、便利屋68、陸八魔です』

 

 

 「おれおれ、おれだよ、おれおれ」

 

 

 『……さ、詐欺ですか? 俺俺詐欺ですか…?

  残念ですが、当社にはそのような知り合いは――』

 

 

 「サトウカズマです」

 

 

 『………………??? ――――!!!!

  せっ、せんせい…! どこからこの番号を!』

 

 

 「どこからもなにも、お前が名刺置いて行ったんだろうが…」

 

 

 『(あれー?アルちゃん先生から電話ー?)

  ――ごっ、ごほんっ。違います依頼の電話よっ…!!

  そっ、それでこの便利屋68に、どのような御依頼なんですか…?』

 

 

 「……依頼って言うか、報酬の話だな。

  連邦生徒会秘密金庫を襲撃してもらった件で、お前はこれぞアウトロー!とか言って、

  三人引き連れて帰っちゃっただろ…?」

 

 

 『――ふふふっ…。

  弱きを助け、強きを挫く、それもまた私の目指すアウトローだから当然ねっ…!

  (ただいま…、アルは誰と電話してるの…?)(先生からみたいだよー)』

 

 

 「………アウトローにも色々ジャンルがあるが、

  そういう昔堅気系のアウトローが大好きなアルに、最高の報酬があると思ってな…

  これは、BIG Hからの希望であると言ってもいい」

 

 

 『裏社会のドン、BIG Hが…! こここここここ、こ、光栄だわ…っ!

  BIG Hは何をお望みなの、先生ッ……!!

  (ね?やっぱり先生でしょ?)(うん。ヒフミが…?まぁあの子も忙しいから…)』

 

 

 アウトローに憧れ、衣装もメイクもキメキメに決まっているアルが、仲間を前にしているのにも関わらず、我を忘れて、百面相をしながら電話対応をしているだろうという事に対し、カズマはいつも通り呆れながら、おそらくは喜んで引き受けてくれるであろうと確信する。

 

 

 「お前も知っての通り、BIG Hはトリニティ総合学園の生徒だが…、

  生徒であることと、裏社会をまとめることの二足のわらじに限界を感じ始めている…

  加えて、BIG Hは均衡が保たれることを望んでいる――」

 

 

 『――道理ね!

  私たちもアウトローであることと、生徒であることを両立するのは難しい…

  でも、均衡…? バランス?

 

   ………もしかして彼女は、

  トリニティだけが支配者であることを憂いているって言うの?!?!』

 

 

 「さすがアウトローの中のアウトロー、読みが深いな…。

  既にBIG Hの呼びかけに、ミレニアムは応えている…、

  そしてゲヘナに関しては、便利屋陸八魔、彼女は、お前たちを指名した……!!」

 

 

 『………!! ――!!! ――――!!!!!(バタンバタンガタガタガタッ

  (――アッ、アル様アル様しっかりしてください…!)

  (座ってたのに腰抜かして崩れ落ちるのすごーい)(ちょっと大丈夫…?)』

 

 

 喜んで引き受けてくれるかと思ったが、感動が凄すぎて腰が抜けたらしい様子に、カズマはドン引きした。というか電話からの音が凄い…。なんと表現したらいいのか分からないが、鳥がしめ殺される時の合唱みたいな絶叫を上げて、おそらく椅子やら机やらと衝突する音がガンガン鳴り響き、バッターンと大きなものが床に叩きつけられるような音を最後に鳴らした後、便利屋68のメンツが、アルを助けるためにドタバタし始めたような感じがする。

 カズマはしばらくの間、向こうが取り込み中のようなので大人しく待っていたが、どうも終わりそうにないと思って、また掛けなおすと言ったところで、電話口から声がした。

 

 

 『――先生』

 

 

 「カヨコか」

 

 

 『……うん。先生、アルになに言ったの?』

 

 

 「いや、大したことは言ってないんだが――」

 

 

 カズマはカヨコに今までのいきさつを伝えた。カヨコは特に口を挟まずに、うんうんと相槌を打って最後まで事態の把握に努めると、心底疲れたとでもいうように、深い溜息を吐いた。

 

 

 『(なななな、なっ、なんですってーーーーーー!!!???)

  (――あ、復活した)(アル様よかったですぅ……)

  事情は分かったよ…、うちの社長も嬉しそうにしてるし、多分引き受けると思う』

 

 

 「――そりゃよかった、じゃあ細かい打ち合わせとかをしたいから、

  お前らの都合のいい日を教えといてくれるか…?」

 

 

 『ちょっと待って……、社長、日程表どこにあるの?

  (さっき引っ繰り返った時に落としてたよー)(あっ、ありました…)

  ――ありがと。えっとね………』

 

 

 そして、この日を境にして、トリニティ総合学園の阿慈谷ヒフミをトップにした裏社会の支配の体勢は、三組織が率いるものとなった。

 

 ミレニアムからは、セミナー生徒会会長 調月リオ、

          C&C 飛鳥馬トキ、

          ゲーム開発部 天童アリス…、この三名。

 

 ゲヘナ学園からは便利屋68の社長 陸八魔アル、

               室長 浅黄ムツキ、

               課長 鬼方カヨコ、

               平社員 伊草ハルカ…、この四名。

 

 以降この八名が、裏社会で八悪だとか八龍だとかいろんな渾名で呼ばれることになり、渾名に私の八が付いてる凄い!とアルが喜びながら、カズマに報告しに来たりするのだが、まぁどうでもいい話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

――トリニティ総合学園 古書館 ウイ

 

 

 「おーい、ウイ。いるかー…?」

 

 

 「と、図書館ではお静かに……(スススッ」

 

 

 「――うおっ…、そう睨むなって…。

  この前手伝ってくれた件で助かったから、お礼を言いに来たんだよ…」

 

 

 「あぁ、例の…。

  ど、どれもこれも胡乱げな書物ばかりでしたが、お役に立てたならよかったです……」

 

 

 「だから今日も持ってきたぞ、ほら、ミラクル5000だ」

 

 

 「おおお…。ま、まさか本当に定期的に持っていただけるとは、思いませんでした……」

 

 

 「まぁ、今日もウイの知識をあてにしてきたからな…

  なにかと調べ物をしたい時に、一番頼りになるのはウイだしな…」

 

 

 「――――………………。………………ハッ!

  そ、その手にはもう乗りませんよ、

  この前はそれでとてもひどい目に遭ったんですからねっ…!」

 

 

 「……ミラクル5000だけじゃ足りないってことか…?

  うーん、じゃあ店主が新商品試作中ってことでおまけでくれた、

  マジカル6000ってのがあるんだが――」

 

 

 「――お話をお聞きしましょう(スンッ…」

 

 

 なるほど今度からは店主にお願いして両方持ってこようとカズマは決心した。こんなに便利につか……親切に助けてくれる生徒を持てて助かる助かると思いながら、カズマの危機感知センサーが、なんらかの用意しておかないとまずいと不思議と強く訴えかけていること。エデン条約について、詳しく教えてもらうためにここに来たのだ。

 

 

 「――ェ、エデン条約……?

  私なんかよりも、先生の方が詳しいのでは…?」

 

 

 「今の話じゃなくてな…、どうも最近、古代だの遥かいにしえだのに縁があって、

  ひどい目に遭ったばかりなんだよ…。

  だからこれも、なにかそういう所以があるのかと思ってな…」

 

 

 「い、いつも思いますが……、

  そういうところ、先生は本当に、勘がいいですよね……」

 

 

 「――あるのかよ……」

 

 

 少し時間が掛かったが、ウイの口からすらすらと紡がれる情報はカズマにとって値千金の情報ばかりであり、同時に、とある紅魔の里で放置されていた、ろくでもない封印の数々を思い起こす、厄ネタの宝庫のようにも感じられた。

 古聖堂、いにしえの約束、ユスティナ聖徒会、迫害されたアリウス、そしてどこかへ逃がされたと思わしき記述…。もうやめてくれとカズマは思った。だから古代とか遥かいにしえの、とかはやばいのである…。どのくらいヤバいかというと、この前体験したばかりの世界滅亡の危機クラスのヤバさだ。

 それに加えて、この手の話を観光名所の説明文くらいのもんだと感じて放置した結果、痛い目に遭った記憶しかない。魔術師殺しと言い、遥か昔の邪神の封印と言い、傀儡と復讐の女神の封印と言い、全部が全部、結局まわりまわったその果てに、カズマとその仲間に襲い掛かり、なんとかするために死んだりしながら駆けずり回る羽目になったのだ。どうせ今回もそうなるんだろうが、かといってどうしたらいいか分かるわけもない。

 

 

 「――以上が、私が知る限りの事ですが、ど、どうでしょうか…?」

 

 

 「うん…、なんていうか想像以上に助かったわ、ありがとな」

 

 

 「い、いいえ、先生のお役に立てたなら、よかったです……」

 

 

 その後、カズマはウイからその手のことに関する詳しい資料をいくつか見繕ってもらい、またミラクル5000とマジカル6000を持ってくることを約束して、古書館を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――おい」

 

 

 「………………………(ビクビクビクッ」

 

 

 「いや、いまさら取り繕ってもバレバレなんだって…」

 

 

 「………………………」

 

 

 「ここにお前が好きそうな石があるんだが…

  ほーれ(ポイポイポイッ――」

 

 

 「………………………(バババッ コンコンコン」

 

 

 シャーレを出てからというものの、ずっと背後を尾行していたゴミ箱にいい加減声を掛け、様子を窺ってみたが、しらを切り通そうとするので、こいつの好きそうな石を投げてみれば案の定、機敏にゴミ箱が動き回り、その捨て口へと綺麗にダストシュートされていく。

 まるでその様子は、よく躾けられたゴールデンレトリバーのそれであり、楽しくなってきたカズマは、周囲からのひそひそ声や、視線が痛くなってくるまでの間はそうやってゴミ箱と戯れた…。しばらくして周囲の視線にようやく気が付いたごみ箱が、急ぎ足(?)でカズマを陰に引き込み、顔を出したことでようやく会話が成立し始める。

 

 

 「――ひ、ひどいです、先生……」

 

 

 「いや、ひどいのはお前だろ…、せっかく解散したのにまた俺に何の用だよ…?」

 

 

 「あ、あれ…? せ、先生、ご存じないんですか…?」

 

 

 「……なんのことだ?」

 

 

 「七神リンさんから、せ、先生に連絡が来てるはず、なんですけれど…」

 

 

 そうなのかと思って、もう用もないだろうと余り触らなくなっていたシッテムの箱を起動させ、アロナにリンから連絡が来てないかどうか尋ねてみるが、そっぽを向かれてしまった。どうもここ最近、カズマがアロナに構わなかったことに腹を立てているようで、ふんふんっふーんだと三段活用しながら、チラチラとこちらを見ている。仕方ないのであとで遊んでやることを約束して、画面越しではあるが頭をなでてやるとそれだけで機嫌の悪さはいくらか収まったのか、リンからカズマ当ての文章を読み上げてくれた。

 エデン条約までの間に、連邦捜査部シャーレの代表であるカズマ先生に何かあってはいけないということで、各理事からの承認を得て、SRT生徒会から一名、護衛に出すことになった、らしい。今日から担当の生徒である霞沢ミユがそちらに行くので受け入れをお願いします、という言葉で締めくくられており、それはエデン条約後だけでなく、今現在も連邦生徒会は連邦捜査部シャーレと密接な関係にあると周囲に見せつけるための措置のように思えた。

 いったい誰にこんな遠回しな手段を学んだんだかと呆れかえるカズマを、ミユは白い目で見ていたが、カズマが事態を把握したことで自分の役割を思い出したのか、ふんすっ、とでもいうような顔をして気合を入れると、かつての時のように上官に対する敬礼を行った。

 

 

 「――RABBIT4、サトウカズマ先生の警護任務に就きます」

 

 

 「――りょーかい…。

  いやでもさ、あんなに目立ってたら警護も何もなくないか…?」

 

 

 「そ、そうでしょうか…?

  都市部に溶け込むことのできる、完璧な偽装装備、です、よ…?」

 

 

 「かくれんぼで俺に勝てたことないだろ…?」

 

 

 「あ、あんなことできるの、カズマ先生だけですよぉ…」

 

 

 この男、出会ったばかりの頃のホームレス四人組に挑発されて、絶対に勝てると確信したかくれんぼ勝負を行い、大人げなく彼女たちの心をバキバキにした過去を持っていた。最悪である。

 なにせカズマのスキルの中には、”敵感知”というものがあり、このスキルによって感じ取った敵や人の気配や位置を頼りにして、”千里眼”のスキルを発動させ、その場から動かずに望遠鏡以上の精度で対象となるものを探すことが出来るのだから、これで負けるわけもない。彼女たち四人は全力を以て、軍隊式の隠ぺいや囮、デコイ、ギリースーツ等などの現代科学の叡智の全てを尽くして隠れたが、すべてアクマのような顔をしたカズマに見破られてしまった。最終的にリーダーのミヤコが泣いて謝るまでやめなかったのだから本当に最悪である…。

 

 

 「まぁ、あれも俺のスキルってことだ…。

  お前たちにも教えられたら、滅茶滅茶強くなるんだが…。

  こっちには冒険者カードがないからなぁ…」

 

 

 「た、たまに先生が話してくださる、別の世界の話、ですよね……。

  見たことがあって、教えてもらうだけで、超自然的な力が手に入る…」

  

 

 「――こっちに来てからも使えてなかったら、もう死んでたと思うわ…

  ま、たとえばミユに教えるとしたら、狙撃手だし……、

  潜伏、敵感知、千里眼ってところか…、多分これだけで世界最強のスナイパーになれるぞ…」

 

 

 「そうなん、でしょうか……。

  ――………………あれ? せ、先生…、ポケット、光ってませんか?」

 

 

 「――うおおぉぉぉぉおおっ、なんだこわっ…!

  え、なになになんなの…?!?! おれポケットに懐中電灯でも入れて来たっけ…?」

 

 

 ごそごそとカズマがポケットを漁り、そこから出てきたのは財布だった。そういえばポケットには財布を入れていたなと、取り出してから思い出し、懐中電灯のミニストラップでも付けていたかと思えばそう言うわけでもなく、単純にカズマの財布が光り輝いていた。

 おそるおそる財布を開いてみると、以前SRTとの宴会をした後に、財布にしまいっぱなしにしていたクレジットカードが光り輝いており、カズマはおいおいマジかよまた厄ネタなのか勘弁してくれと思いながらもそのカードを取らざるを得なかった。

 カズマは知る由もないことだが、そのカードはただのカードではない…。カズマだけがこの世界に持ち込むことが許された、連邦生徒会長の意図が入った、シッテムの箱と同じオーパーツなのである。そして、それをおそるおそる手に取ったカズマの目に飛び込んできた光景に、カズマは一瞬頭がおかしくなったかと考えた…。

 

 

 なんせ、そこにはこう記されていたのである――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………………………………

| 霞沢ミユ lv.83

| HP :21124

| ATK:3422

| DEF:97

| DEX:948

| EVA:189

 …………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――………は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かつての世界で見慣れた文字列が記されたそれは、見間違えようもなく冒険者カードであり、そこには三つの文字列が、アクティベート可能です、と記されていた。

 

 

 

  ――――潜伏、敵感知、千里眼

 

 

 

 カズマがさきほどミユに冗談交じりで言ったばかりの、最強のスナイパーを誕生させるための全ての要素が、そこには記されていた――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 続いてしまった(悲しみ
エピローグで語られなかった裏社会管理体制の移行終了です…。
ヒフミと68はテンポの問題で書くのが蛇足ぽかったんですよね…

使えるアイテムが増えてますが、カズマさんが楽勝だと(書いてる私が)つまらないので、チートが増えるほど難易度を高くしたい感、あると思います…。

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