渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

東京大空襲

2023年06月11日 | open







広島は世界初の原爆投下都市と
してよく語られる。
だが、広島、長崎の原爆投下だ
けでなく、日本国内の主要都市
は無差別爆撃により大量虐殺が
行なわれた。
1945年3月10日の東京大空襲で
は、被災者350万人、死亡者11
万5000人以上、負傷者15万人
以上だった。

それでも日本は戦争を継続しよ
うとしていた。
一億帝国臣民玉砕を叫んで。
国民を殺したのは米軍なのか。
連合国が日本国民を殺したのか。
違う。
日本人が日本人を殺されるよう
にしたのだ。
その事を忘れている日本人が
多すぎる。

昔、職務で相続人確定をした。
相続発生時に弁護士の職権で戸
籍を辿って取得し、法定相続人
を確定するパラリーガルとして
の職務だ。
東京に古くから住む方のご家庭
の相続だった。
戸籍簿を見て詳細に記載事項欄
を読み解くと、その人の人生の
ようなものが見えて来る。
東京大空襲の直前に婚姻し、そ
してすぐに空襲で夫婦もろとも、
家族もろとも死亡している方が
いた。
また、生まれたばかりの子や
一家丸ごと東京大空襲で亡くな
っていたり。
あまりにも多くの例で1945年
の特定日でパッと人の一生が
消滅する事実が戸籍簿に記載
されていて目を覆った。
だが、それは歴史の現実だ。
特に、結婚したばかりの新婚の
夫婦や新生児たちが母子共に亡
くなっている例を見ると、涙が
出て来た。結婚の軌跡も具に
辿るからだ。
職務なので淡々と無機的に相続
人確定だけをすべきで、特別な
感情移入をしてはならないのだ
が、辿れば辿る程、あまりにも
都民の死亡者が多すぎて、悲痛
な思いになった。
東京大空襲は私が生まれる15年
前の事だが、戸籍簿を通して、
まるで火炎地獄の惨劇が目の前
に浮かんで来るかのようだった。

「良い戦争」などは人の社会に
一つも無い。
それは、侵略戦争はもとより、
たとえ独立戦争だろうと、祖
国防衛戦争だろうと、「正義」
などは戦争には無い。
戦争とは、人を殺す事だ。
こういう事をやったなら、英雄
して勲章を貰って称えられる
事だ。それが戦争だ。


だが、未曾有の第二次世界大戦
が集結したのちもなお、日本で
は戦争を再準備しようとする勢
力を支持する日本人たちがとて
多い。
そうして、戦後の日本は現在ま
で続いている。
そして、今は「戦後」ではなく、
「戦前」の時代となってしまっ
た。

誰が戦争で百万人以上の日本人
殺したのか。
それは、「敵国」ではない。
日本人が日本人を殺したのだ。
忘れてはならない。

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