超法規的組織シャーレ で 仕事をしたくない サトウカズマ先生 作:奈音
――それでは、役者と舞台は揃いました。
ムリゲー第二部後半戦、いよいよ決戦の幕が開きます。
――爆裂魔法、という呪文がある。
習得するのに50スキルポイントという莫大なスキルポイントを要求し、使役するのにこれまた莫大な魔力を要求する。もしも人間族がこれを習得しようとすれば、その生涯の殆どを費やす必要があるほどの呪文であり、よしんば習得できたとしても発動に要する莫大な魔力が足らずに何もできずに終わる。余りにもハードルの高い、全ての呪文の上に君臨する、最高位のネタ呪文である。
……ネタ呪文とは言うものの、習熟度にもよるが、山一つを吹き飛ばし、湖を干上がらせ、海を割るのも比喩ではなく実現できる魔法である。
アクセルで冒険者をしていたころに、これを使えたのは敵味方含めて3人ほどしかカズマは知らないが、そのうちの二人は人ならざるものであり、久遠の時の流れを生きた長命種で、それでもさすがに使い終わった後は疲れた様子を見せていた。
そして最後の一人、人間なのにそんなところを目指してしまった頭のおかしい爆裂狂は、爆裂魔法を撃ち終わった後、文字通り力尽きて何もできなくなってしまっていた。まぁ、最終決戦にあたっては、後先考えなくなっていたカズマにより、小国の年間予算にあたる程の全財産をはたいて買ってやったリュックサック一杯のマナタイトを使わせて、爆裂魔法を雨あられのごとく魔王城に降らせていたが……、さすがに最高位呪文の連続使用というのは身体への負担が大きかったのか、魔力も尽きてないのに鼻血を流して倒れそうになっていた。
そして、カズマが最終的に魔王を倒す決め手になったのも、この爆裂魔法だった。
最後の最後の詰めのその時、必要だったのはそういった突き抜けた何かであり、カズマは幸運にも(???)恵まれた(???)パーティを手に入れていたため、何度も何度も死にながらではあるが、走り抜けることができた…。
そして、カズマは今回の戦いにおいても、この事態を何とか出来るかもしれない切り札足りえる人材と、武器を手に入れることに成功していた。
一つ、未来観測機関「讖(しん)MkII」
一つ、第二防衛都市「ウル」
一つ、それらを活かすことのできる、頼りになる、仲間を――
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――ミレニアムサイエンススクール 第二防衛都市ウル
第一作戦攻撃ライン 光の剣:対アトラ・ハシース スーパーノヴァ 発射管制室
セミナーコユキ、C&Cアスナ
「「――名前が長い」」
その管制室に詰めた三名の内の二人は声を揃えて早速文句を言っていた。――というかカズマとコユキだった。残りの一人であるアスナはニコニコしながら、ぇー格好よくていいじゃん!と無邪気に喜んでいる。
『――超長射程特殊砲撃砲台コードRGなどという無粋極まる名前より、
よほどいいとは思いませんか…?
先生も最初は私のネーミングセンスに感銘を受けて、
砲撃の際のトリガーキーを設定してたではありませんか…』
「ま、まぁ発射だけじゃ、味気ないしな…」
「にははっ、私もあれを大声で唱えるのは少し恥ずかしいですが、
先生たってのご希望なので、しっかり唱えますよ!」
「魔王にジョブチェンジさせられた、勇者アリスの呪縛を解くんだもんね!
私も元気よく唱えちゃうぞー!!」
「………は、ははは。よろしく頼むわ」
中央管制室からの遠隔通信で聞こえてくるヒマリの愚痴を流しつつ…、
自重のスイッチを完全に外したカズマは、今回の件でやれることはすべてやると決めていた。……あの魔法を使う、と。
それを成功させるために、シッテムの箱を媒介にして未来観測機関「讖(しん)MkII」を、今一番、運命力が高い三名であるカズマ、コユキ、アスナに接続。物理法則どころか、この世の法則がすべて通らなくなった、アトラハシースの障壁を観測できる未来を確定させ続けた上で、第二防衛都市ウルの電力を全て込めたスーパーノヴァを、その電力が持つ限り撃ち込み続ける。
そうやって、神秘の力を奪い、超科学の壁すら破壊した後でも、アトラ・ハシースはガシャガシャ動き続けるため、その脚部をすべて破壊しなければならない。地上からの砲撃では限界があり、近づいてどうこうしようものなら、あっというまに地上が黒い沁みだらけになることだろう。
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――ミレニアムサイエンススクール 第二防衛都市ウル
第二作戦攻撃ライン 温泉開発部カスミ、エンジニア部
――どうせこれに負ければすべて終わりなのだ……だから、カズマはもう、全財産を投げ捨てることにした。
「――おおおおおおおおおおお!!!!先生、これはなんだ?!!」
「クラフトチェンバーで量産した、廉価版:光の剣なんだが…
どうだ、カスミ。一人で持てそうか…?」
「無理、だな! 二人一組なら何とか…。
――発射時の衝撃が200kg超えだと?!
もうこれは固定砲台にした方がいいんじゃないか、先生…?」
そう、肝心の第一撃目が成功したとしても、その後が続かないのだ。だからこそ、第二撃目たる砲台の群れとしての役割を果たしてもらうために、温泉開発部を連れて来たはいいものの、このままではどうもうまくいきそうにない…。どうしたものかと二人して途方に暮れていると、ウルの各所の装備増強を行っていたエンジニア部が、大きな声を響かせながらやってきた。
「――面白そうなことを、やっていますね!!!!」
「私たち抜きで、そんな面白そうなものをどうこうしようなんて…
水臭いじゃないか、先生……」
「すごいすごい。予算の70%を使った、光の剣が、こんなに――」
「ちょうどいいところに来たなエンジニア部……、
こいつが作戦第二段階の、予算度外視、光の剣での一斉飽和砲撃なんだが…
このままだと一発撃ったら壊れる、しかも大した出力もなく」
――必要なのは圧倒的な面制圧の出来る、圧倒的な火力。
圧倒的な火力という点で、アリスが所持している光の剣に勝るものはないが、それでもまだまだ、圧倒的に火力が、とにかく火力が足りない。だから数でそれを補う。温泉開発部総出での一斉飽和砲撃にて全脚部の破壊を狙う。……最低でも歩行が出来なくなる程度に破壊してくれれば、対空対地兵器に関しても同様の飽和攻撃で沈黙させることが出来るはずだ。
「なるほどなるほど!! 分かりますよ、先生!!!
あのクモがここに来るまでに、これを全て改修すればいいんですね?!?!」
「……少し骨が折れそうだが、クライアントの条件通りの納期で
仕事を収めることができてこその、エンジニア部さ…。
先生が全体を造ってくれるんだろう? なら後は簡単だ」
「まかせて……。
この大量の勇者の剣の煌めきを、きっとアリスちゃんに届けて見せる、から…」
「んー……それはいいんだが。
出来高制で、光の剣の改修費用を適正額払うって言ったら、全員分用意できるか…?」
その言葉を聞いてからエンジニア部三人娘の身にまとうオーラが明らかに変化し、三人の作業速度は光を超え――、結果は言うまでもなく、カズマの全財産は消え失せることになった…。
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――ミレニアムサイエンススクール 第二防衛都市ウル
第三作戦攻撃ライン 美食研究会、ゲーム開発部、C&C
「――という段取りで作戦が第二段階まで進んだら、お前たちの出番だ」
「おまかせください…
えぇ、鉄火場への突撃は慣れたもの――、そうですわよね、フウカさん…?」
「そんな状況に慣れさせられた原因はあんたたちでしょうが…!」
「――結局そういうことですね★」
「ここ機械ばっかりで、美味しいものが見当たらないよー
お腹がすいて力が出ないよー」
「さっき車内で貰った携帯食を全部食べちゃうからでしょ!
ほらイズミ! 私の分を分けてあげるから、我慢しなさいよね!」
「わーい!(パクパク」
「――ああっ…! どうして今食べるのよバカイズミ!」
揚陸突撃班のところへ顔出ししに来たカズマだが、今回の作戦の為に連れて来た美食研究会以外のメンツの返事がない。――というか、まぁそれはそうだろうなという感じである。少なくともC&Cのメンツは戦闘できる状態にない。
エリドゥ決戦において、一番激しく戦いを繰り広げたネルとトキは言わずもがな…、主戦力として死力を尽くした他のメンバーも満身創痍であり、意識不明の重態か、意識があっても指一本動かせないほどの重篤である…。
じゃあなんでアスナだけ平気そうな顔してピンピンしてるのかというと…、あの天性のパッパラパーはいつも通りに不思議な運命に護られてるのでアスナがアスナだからとしか言いようがない。船上での騒動でも、一番厄介なのはトリッキーさで仕掛けてくるアスナだったが、最後の最期の詰めで急にアスナの短期的記憶喪失が発生したため、拘束した後はアスナだけ病院送りにしたことで、どうにか勝ちを拾うことが出来たほどの業運の持ち主だ。
その後、脳梗塞の初期症状が出ていたとかで直ぐに治療された上、見舞いに行ったら、幸運の女神が宿ってるからだよ♪と言われてしまって、カズマは本物の幸運の女神を知っていたのもあり、そのまま信じてしまったので、アスナは狭苦しい第一作戦の管制室で待機中なのである。
よって、C&Cはまぁいい。起き上がることが出来るようになれば、どうとでもなると、カズマは考える。ヒマリを完治させた時と同じように、”セイクリッド・ハイネスヒール”を唱えつつ、ゲーム開発部の面々の顔を見てみるが、どいつもこいつもひどい顔だ。こいつらよりも、もっとひどい顔をして中央管制室で指揮を執っているリオからも、彼女たちをフォローしてあげて欲しいと言われたから様子を見に来たが、さてどうしたもんかと考えながら、いつも通り”ヴァーサタイル・エンターテイナー”を唱える。
「――おい、クソゲー開発部」
「………………」
「………………」
「………………」
ダメだそろいもそろって目が死んでる。いつもならこれだけですぐさま突っかかってくる面々が、顔をこちらに向けるだけで喋りもしない。さてこういう場合はどうするかと頭を捻り、仕方がないので、言いたくもないことを滔々と語ってやることにした。
「………いいか、俺は普段なら絶対こんなことを言わないが、
お前らがその様じゃ困るから、今回は特別の特別だ、最後まで黙って聞けよ」
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――シャーレオフィス ゲーム開発部とのハジマリ カズマとユウカ
………度重なる無茶ぶりの依頼を受け、この頃のカズマは精神的にだいぶやられてきており、執務を行いながらゲームでもして気分転換したいと溢していたら、面倒見のいいユウカがミレニアムにゲーム開発部があると提案してきたのだ。もう潰れそうだけども。とも言って。
動く気力もなかったカズマは、言われるがままにゲーム開発部の公式サイトから公開されているフリーゲームをダウンロードし、遊んでみた。
あぁはいはい理不尽系クソゲーを楽しむやつねといいながら、次々クリアしていくカズマの姿にユウカは呆れ返る。お仕事もそのくらい熱心にしてください!とカズマの手元に置かれたトライアンドエラーのメモ用紙を見て、手に取ると、うわぁ…という顔をした。
「カズマ先生、よくこんな理不尽ゲームを楽しめますね…」
「んー…、いやこんなもんだろ?
それに初心者が作ったにしては、芸が細かいし、
レトロゲームをやり込んでたやつ向けかな…?
まぁ、よくあることだって…。
作ってる側が面白いものが、遊んでる側にとって面白くないなんてことはよくある」
「え、じゃあ。カズマ先生にとってこのゲームは面白いんですか?」
「いやぜんぜん」
「そんなに楽しそうな顔してやってるのに?」
「違う違う、これはな…。
こんなクソゲー作ったやつに、一から十までしっかりしゃぶり尽くして遊んでやった後に
クソ長レビューを書いていやがらせしてやるためなんだよ…」
「最悪すぎます、やめてください…」
「なんだよ、ユウカ。
じゃあお前は、このサイトに書かれた感想が、全部プレイしたやつのだと思うか…?」
「それは、まぁ思いませんけど…、程々にしてくださいよ…?」
わかったわかったと言いながら、おざなりに頷くカズマ先生をジト目で睨みつけたユウカは、しょうがない人ですねと言いつつお茶の給仕をしながら、テンポよくクリアされていくゲーム画面を一緒に見つめていた。
「……thank you for playing、っと。
クソゲーなのは間違いないが、いろいろと反応に困るゲームだったな…」
「よくこんな短時間であっさりと…
まぁ、確かにちょっと、キャラ相関図を考えると困惑するような話でしたね…
何を考えてこんなもの作ったんでしょう…??」
「そりゃ、面白いと思ったから作ったんじゃないか?」
「どういう感性なんですか、それは……」
「ま、ちょっと懐古主義過ぎて受けは悪いかもな…。
だけど、ひと昔前のゲームなんて全部こんなもんだったんだよ。
取扱説明書無し、チュートリアルなし、意味不明の選択肢…
一度でも間違えると最初からやり直し、理解させる気のない世界観…
俺も小さい頃は、こういうゲームをワクワクしながらやったのを思い出したわ」
「私は頼まれてもこんなゲーム絶対やりたくないです…」
「……だから受けは悪いって言ったろ?
これはテレビゲーム黎明期のダメなところの全てが詰まってる、
まごうことなきクソゲーだが…、
多分だけど、これを作った奴は、ゲームが好きで好きで仕方ないんだろうな…」
「先生さっきその口で、クソゲーって言いませんでしたか…?
私には矛盾しているように聞こえるんですけれども…」
「……このゲームがクソゲーなのと、
このゲームを作った奴がゲームが好きで好きで仕方がないのは矛盾しないんだよ、
…この場合に限ってはな。
うーん、なんて言うかな、このゲームは歴史なんだよ…」
「歴史、ですか…?」
「――ゲームを愛してきた奴だけが分かる、歴史がこのゲームには詰まってるってことだよ…。
……えーとなになに、ミレニアムサイエンススクール、ゲーム開発部部長、花岡ユズ。
――こいつは紛れもなくクソゲーだが、俺はこいつにちょっと興味が沸いた。
ユウカ、ちょっと気分転換したいから、案内してくれよ!」
「――……はぁ。まだお仕事途中じゃないですか…。
ダメです、終わってからにしてください…!」
「――その仕事をもう見たくもないから出かけたいんだよ……
ちょっとだけ、ちょっとだけだから………」
「あのですねぇ――」
そしてその日、ゲーム開発部の、もう誰も見向きもしなくなって、製作者すらその存在を忘れていた感想掲示板に、ネチネチとした長文が投稿された。それは、いつものように一言だけしかないような罵詈雑言ではなく、ゲームの試行錯誤を文句を言いつつも楽しんで、最後までプレイした
人間だけが語れるような、そんな内容だった。
それを外界の全てから身を隠すようにロッカーの中で暮らしていたユズは読んでしまい、一層暗い気持ちになってしまって途中で読むのをやめてしまった。しかし、現実逃避に磨きをかけたカズマの猛攻はここからだった。
「――ユズ、ユズ、この人凄いよ!」
「うん……。開発者の私たちでさえも、こんなタイム出したことない…。」
クソゲーRTAと題されたそれは、いま話題沸騰中の連邦捜査部シャーレの先生が行うゲーム実況動画だった。解説を交えながら、このクソゲーのどのあたりがクソゲーなのかをゲームの歴史を語っていくたびに、懐古ゲームが動画の商品の宣伝枠に並んでいき、この製作者がいかにゲームを愛しているのかという赤裸々な推測事情が、全て言い当てられてしまった本人の血流を上昇させていく。
増えていくホームページへのアクセス数、うなぎ登りになっていくゲームがダウンロードされた回数、めぐるましく変わっていく事態に目を回したユズだが、その言葉だけははっきりと聞こえた。
『――いいか、ここまで解説しといてなんだが。
このゲームは間違いなくクソゲーだからな、クソゲーハンター以外立入禁止だ。
それがちゃんと伝わるように、感想欄に長々とした長文を書いてやったぜ…!』
ハッとして、いそいそとさきほど目を逸らしてしまった感想を読み始まるユズ。長文な上に、辛辣かつ正確にボディを殴りつけてくるような鈍い痛みのある、しっかり最後まで楽しんだ人だけが書ける、こちら側の人間の文章だった。そして、最初から最後まで、作者に対する辛辣で埋め尽くされたそれは、最後にこう締めくくられていた。
”――キヴォトスに来てからこの製作者ほど、ゲームを愛してる人間を感じたことがない。
そのゲームに対する愛が、より多くの人に伝わるように作れるようになった時、
間違いなくキヴォトスを席巻するような、そんなゲームになるだろう…”
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――ミレニアムサイエンススクール 第二防衛都市ウル
第三作戦攻撃ライン 美食研究会、ゲーム開発部、C&C
「――だから俺は、憎まれ口ばっか叩いてたけど、嬉しかったよ…、
何も知らないアリスが、お前たちが作ったクソゲーを楽しんでくれたことがな」
「………………」
「………………」
「………………」
「お前たちのゲームに対する愛が、絆が、アリスを勇者にしたんだ…。
最後まで、魔王なんかじゃなくて、勇者になりたいって、アリスが言ってたんなら…、
――まだ終わってない、そうじゃないのか、クソゲー開発部!!」
……モモイ、ミドリ、ユズは何も言わなかった。
ただ、両手を強く握りしめて、カズマを睨みつけるようにしながら、声もなくポロポロと涙を流していた。その瞳には、轟轟と燃え盛るような光が宿り、その激情の吐き出しどころを求めて荒れ狂う嵐のようだった。
「く、悔しい…、悔しい悔しい悔しい悔しい…!!!!
アリスが、私たちがいたのに…!
先生くらいのことで引き止められなかった私たちが、不甲斐なくて悔しい…っ!!」
「――せっ、先生なんか所詮、ゲーム途中でしか使えない、ちょっと強い位のくせにっ…!
私たちが正式な勇者パーティのメンバーなんだから、アリスちゃんは私たちを選ぶべき…!
こんなの絶対おかしい、間違ってる……!!」
「うん…っ! うんっ…!」
モモイとミドリが立ち上がって気炎を上げ、ユズは言葉もないのか、座り込んだまま、ポロポロと涙を流しながらひたすら頷いている。よしよし釣れた釣れた、まったくどうしようもないほどしょうがない奴らだと感じながらも、ゲーム開発部の燃え上がるテンションに合わせてカズマも気炎を上げる。
「――なーに言ってんだ…、当たり前だろうが…。
我が名は佐藤和真、今代勇者アリスも認めた先代勇者にして
かつての世界で、魔王の脅威より世界を救いし者……。
魔王討伐の勇者パーティーのリーダーとして、世界中から称えられし者…。
だからな…。
闇落ちした勇者を助けに行くなんて、ありきたりの展開、とっとと片付けに行くぞ!!」
「――言われなくても!!」
「今度こそ、私たちが、助ける…!!」
「また一緒に、アリスちゃんと一緒に、ゲームをするためにっ…!」
もうそこには、勇者を奪われて生きる気力を無くしたかのようにうずくまる、そんなパーティメンバーはいなかった。先代勇者に率いられ、魔王に連れ去られた勇者を助けに行く、そんなありきたりの展開の為に、彼女たちは、準備を始めた…。
未来観測機関「讖(しん)MkII」は、無事なアリスが見れて喜んだユズが持ってきました。そのこともあって、一番落ち込んでいたのはユズです…。なので、ユズよりの回想になっています。
書きたいことがどんどん増えてしまって…、一体いつになったら、決戦に行けるんだ…。
あんまり関係ないですが、パヴァーヌ編スペシャルPVすごい、すごくない…?