超法規的組織シャーレ で 仕事をしたくない サトウカズマ先生   作:奈音

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 バーが赤く染まっていたので四日目の連続投稿です、もう本当にない。
誰か供給して…供給して…


四話 スパイ養成組織シャーレ

 ―ーカズマにとって誤算だったのは、不良共を集めた組織的な社会奉仕活動が想像以上にうまくいってしまった事だった。

 

 カズマのキヴォトスの治安レベルについての認識は、

中東やメキシコレベルのマフィアやギャングが跳梁跋扈して、それに各学区を束ねる国家的政治的意味を持つ学園が裏でズブズブに繋がっており、そこらの権力者にとって都合のいい状況を作り出すために、使い捨ての手足としてこき使ったり、WinWinになるように裏取引をしたり、銃器を横流ししたり、危ない薬が横行して高値で取引されているような、修復しようのない世紀末世界のような場所だと思っていたのだ。

 

 さもあらん。

着任初日に同時多発テロに遭遇し、それが日常的なことだと聞かされ、

未成年の見目麗しい少女たちがバカスカ銃器を撃ちまくっている姿を見せつけられてしまったのだから、仕方のないことではある。

 

 だからこそ、カズマは自分の身の安全を守るため、魔王と戦った時よりもキヴォトスという世界全ての方が恐ろしいと強く感じ、その全力、いや全力以上を以て極真面目に取り組んだ。取り組んでしまった。

 

 ――カズマが持つ生来の【運】と、

   幸運の女神であるエリス様が、目の前で消えて行ってしまうカズマの為に最大火力の

  【祝福を!(ブレッシング)】を幾重にも幾層にも重ねがけしたことを知らぬまま。

 

だから、物語は幸運にも転がり続ける…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「――そこに温泉があるからだよ!それ以外に理由なんてない!」

 

 「――そうだ! とにかく掘るんだ!そこに温泉の可能性がある限り!!」

 

 「――今すぐブルドーザーで撤去だ!すべては開発から始まる!!!!」

 

 「――周辺の木々は全部燃やせ!ここら一帯を今すぐ温泉にするぞ!」

 

 

 よし帰ろう。すぐ帰ろう。何も見なかったことにして部屋の中でワカモに給仕でもさせて惰眠を貪ろう。最近はユウカも頼んでもいないのにご飯作ってくれたり、お菓子とお茶を用意してくれたりするからそっちでもいい。チナツはダメだ。あいつは、なんというか・・・真面目に身の危険を感じる。取って食われそうというか、いつの間にか外堀を埋められてそうな感じがする…。

 ――ヒフミ? 裏社会のフリーパスを得て、水を得た魚みたいに、泳ぎ回るのに忙しくて大変です!といいながら新しいモモフレンズくれたよこの前。

 

 「……先生、どうします?」

 

 「あんなのどうしろってんだよ」

 

 「ですよね…」

 

 RABBIT小隊の他のメンバーも通信越しに現地の状況を聞きながら、うわぁ、とか、ひぇぇぇえええ…、とか、噂には聞いてたけど実物はもっとすごいわね知りたくなかった、とか溢している。そうだな、俺もお前らと同じ気持ちだよ。まさか頭のおかしい爆裂狂が100人単位で存在していて、ゲヘナの治安維持組織と正面から殴り合ってるとは思ってもみなかったわ。

 いや本当にどうしよう、こいつらをなんとかするの? ゲヘナ最強の治安維持組織が総がかりで掛かってるのに、鎮圧じゃなくて戦争みたいになってるし。カズマはうんうん唸りながらミヤコたちに意見を募るが、やはり結論としてはこの場での鎮圧はできても、再発は防げないという結論になる。

 そんな無駄足は踏みたくないからじゃあ帰るかと、もう今日の事は忘れていいから帰って飯でも食おうぜというカズマの号令で、退路を確保していたRABBIT小隊の先導によって帰路に就くも――

 

 「――風紀委員会と温泉開発部の格好をした生徒が手をつないで道を塞いでいる?」

 

 ≪は、はぃぃぃいい、なんでか分かりませんけど所々に、不審な生徒が陣取っています。

  なんでか分からなくて、すいませんごめんなさいぃいいいぃ…。≫

 

 ≪口の動きが サトウ先生 カズマ先生 って言ってるように見えるけど、

  先生また何かしたの?≫

 

 ≪とりあえず怪しいから爆撃していい?≫

 

 「…ぇえ? うーーーん。 逃げ…いやちょっと待て。

  なぁミヤコ、俺のこと護りながら安全にそいつらと話って出来そうか?」

 

 「――保証しかねます」

 

 「……んーーーー。サキ、モエ、ミユ。

  これから俺がいう特徴を持ってるやつをピックアップしてくれ――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ミヤコはシャーレの先生という存在をひどく侮っていた。ついさきほどまでは。せいぜいが、変なお人好しで、困ってる生徒に手を差し伸べるくらいのことくらいはする、雨の日に捨てられた仔猫に傘をさすくらいの存在だと認識していた。

 それがどうだ。ミヤコは今まさに見せつけられていた。シャーレの先生が、本気になった大人が、どこまでやれるのかという結果を、見せつけられていた。

 

 「・・・おー、お前らもう入学できてたのかよ、よく頑張ったな」

 

 「――先生!」「お疲れ様であります!」

 

 聞けば彼女たちは、路地裏で喘いでいた、かつての不良学生だというではないか。明日の当てもなく、金も住処もなければ、食料にも貧するような、略奪と簒奪、暴力と血みどろの裏社会で、水面に浮きあがれないまま、永遠に溺れ続けるような存在だったと。

 そんな彼女たちが目をキラキラさせながら感謝を述べるのだ。入学が認められた、部活動に入れた、毎日が楽しいと。しばらくの間は、事情を聞き出すためにも一緒に話を聞いていたミヤコだったが、とうとう耐え切れなくなって「周辺の安全は確保しましたお花を摘みに行ってきます」と言い捨てて、先生からトランシーバーを取り上げて逃げてしまった。

 

 泣いた。兎に角泣いた。なんだか分からないけど急激に泣けてきて泣いた。なんで泣いてるのか分からないまま泣いた。仲間も通信を切り忘れたのか、みんなが啜り泣く声が聞こえた。それは悲しみの声ではなかった。なにかに安堵した、そんな泣き声だった。ミヤコも心の底から押し寄せてくる激情の奔流に勝てず、そのまま泣いた。そして――

 

 「――RABBIT小隊、総員傾注。 我々は、先生に付きます。どんなことがあっても」

 

 ≪――RABBIT2、了解≫ ≪――RABBIT3、了解≫ ≪――RABBIT4、了解≫

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「――おーい、ミヤコー! 話は終わったぞー! 

  ……えらく長いけど大きい方か? だとしたらデカイ声で呼びかけるのは不味いか…。

  この辺トイレとかなさそうだしな。

  ――ということはもしかして野グ」

 

 「――撃ち殺しますよ、先生?(ガシャンコ」

 

 「おわっ…?! だからお前らがそう言うこと言うと冗談に聞こえないから止めろって…。

  普通に恐いわ」

 

 ≪いつでも撃てるぞ≫ ≪し、照準合わせました≫ ≪爆撃していいよね?爆撃するわ≫

 

 「…お前らこの短い間に俺に対する殺意がめちゃめちゃ上がってない…?

  なんだよ飯の催促かよ、特上牛ステーキ丼弁当じゃ足りないってか…? 

  しょうーがねぇなぁ、付け合わせのサラダも買ってやるから機嫌直せって」

 

 「…い」

 

 「い?(嫌なのか? 意外と肉食派なんだな)」

 

 「…い、一緒にご飯を食べてください。そうしたら、許してあげます」

 

 「付け合わせのサラダも?」

 

 「買ってください」

 

 「欲深…いや全然欲深くないわ…、その程度でいいとか、おまえらほんとストイックだよな…」

 

 「先生には負けます」

 

 「俺のどこを見たらストイックなんだよ、早く家に帰って寝たいわ…いやそれはいい。

  ――ともかく朗報だ」

 

 現在ゲヘナに入学を認められた生徒で、カズマの息が掛かっている元不良生徒たちの情報ネットワークにより、多くのことが分かったという。エデン条約、は、今は関係ないからいいとして。万魔殿、風紀委員会、給食部、帰宅部、温泉開発部、救急医学部への入部に成功。

 便利屋68、美食研究会は組織自体が小規模かつ神出鬼没の上、常に風紀委員会等と戦争状態なので手を出せなかったとか。

 

 こちらが欲しかった情報としては、給食部部長の愛清フウカが、頻繁に美食研究会によって拉致されて行くので経過観察中という話や、先生が望むなら温泉開発部の部長と顔をつなげることが出来ます、というところまで話がまとまり、今日は本当にやることがなくなった。

 

 「――だから今日は本当にやることがなくなったから、帰って飯でも食おうぜ。

  万魔殿や風紀委員とかのまっとうなところに入部した生徒の言い分は分かるんだが、

  温泉開発部に入った生徒の話を聞いて、

  もう聞いてるだけで異様に疲れたわ、もう今すぐ帰って寝たい」

 

 「………………」

 

 「――ん? いやお前らと飯食ってから帰るぞ、

  流石に報酬も渡さないまま帰ったりしないって」

 

 「そうですか」

 

 そうですか、そうですか。と、淡々と答えを返すわりに上機嫌そうなミヤコを不審に思うカズマであったが、ここでカズマが女心を察してねんごろになれるようなら、とっくにハーレムを築いていてもおかしくはない。

 既に複数の生徒からターゲッティングされていて、積極的なアピール攻勢を受けていることに気付いてないので、お察しである。

 

 こうして、温泉開発部との繋ぎを作り、美食研究会への足がかりを作って、ようやくカズマの忙しい一日は終わった。




ほぼすべての学園、学校等に対し、カズマの息が掛かった生徒が入学に成功しました。

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