C言語とは?開発できる製品や活かせる職種、学習方法を一挙紹介
さまざまな現場で製品開発に活用されてきたC言語は、誕生から50年以上が経過した今も、多くのエンジニアによって使われ続けています。これから新しくプログラミング言語を学ぶにあたって、C言語に興味をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、本記事ではC言語の特徴や需要、開発できる製品・サービスの例について分かりやすく解説します。これからC言語を学ぶことを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
C言語の特徴
C言語は1972年にアメリカで生まれた言語です。数あるプログラミング言語の中でも歴史が古い言語で、現在に至るまでさまざまな現場で活用されており、多くの製品やサービスが開発されてきました。
C言語は汎用性の高さや高速な処理速度が特徴ですが、他のプログラミング言語に比べるとやや習得の難易度は高くなっています。ここでは、C言語の3つの特徴について解説します。
汎用性が高い
C言語は汎用性が高く、さまざまな現場で活用することができます。ソフトウェアだけでなく、アプリケーションを動作させるためのOSや、ロボット分野での開発など、幅広い分野に導入できる汎用性の高さが、これまでの長い年月の中で、多くの製品やサービスを生み出してきました。
C言語は誕生から50年以上経っている言語で、歴史が長いことから、過去に開発された製品やサービスにはさまざまな事例があります。そのため、これから新しくC言語を学ぶ上で、どのように活用すべきか迷ったときは、過去の膨大な他社の開発事例を参考にすることもできます。
処理速度が高速
C言語は処理速度が高速であり、大量のデータ処理にも適しています。
一般的に、コンピューターがなんらかの動作を指示する際は、コンピューターが理解できる言葉へと変換する「コンパイル」という作業を行う必要があります。
しかし、C言語は元々コンピューターが理解できる形式の言語となっているため、他のプログラミング言語のようにコードを記述した後にコンパイルを行う必要がなく、処理速度が高速です。コンパイルにかかる時間を短縮できることで、プロジェクト全体の開発効率を高めやすくなり、工期の短縮にもつながりやすくなります。
習得の難易度はやや高め
C言語は汎用性の高さや処理速度の速さが魅力ではありますが、他のプログラミング言語と比較すると、習得の難易度はやや高めです。C言語の習得が難しいと感じる人が多い理由は、C言語そのものだけでなく、メモリやCPUなどのハードウェアに関する知識も必要になるためです。
C言語は、プログラムを制作する際にメモリやCPUなどのハードウェアを制御する必要があるため、これらの知識が必要になるのです。これまでほとんどITに触れたことがなく、これから初めてプログラミング言語を学び始める人は、C言語の知識だけでなく、ITの基礎知識も併せて学ぶことをおすすめします。
C++やC#との違い
C言語に似ているプログラミング言語として、「C++」や「C#」などがあります。C++はC言語の機能拡張版ですが、C#はC言語と似て非なる言語です。ここでは、2つの言語がC言語とどのように異なっているのかを解説します。
C++
前述のように、C++はC言語の機能拡張版ともいえるプログラミング言語です。人気のプログラミング言語のひとつであるJavaなどでも採用されている「オブジェクト指向」を取り入れており、効率性の高いプログラミングが可能です。
オブジェクト指向だけでなく、開発効率を高めるための多様な拡張機能がC言語に追加されており、プログラミングの効率を高めてくれます。C言語とも互換性があるため、C++と並行して使用することができます。
C#
C#はC言語と異なる構造を持っており、名前や文法、構文などは似ていますが、実体は異なる言語です。C#の元になっている言語はJavaやC++で、オブジェクト指向を採用しており、C言語と直接の互換性はありません。
C#は主にゲーム開発などに使われるケースが多く、ゲーム関連企業の現場で数多く活用されています。また、Webアプリ開発や、複数プラットフォームに対応するためのクロスプラットフォーム開発などにも適しています。
C言語の需要
C言語は誕生から50年以上が経過している歴史の古いプログラミング言語ですが、今も最前線で活用され続けています。C言語を扱えるエンジニアを募集している企業は多く、転職やフリーランスの案件獲得など、さまざまな分野で役立ちます。
転職サイトでC言語のエンジニアを募集している求人も多くあり、これから新しくプログラミング言語を学ぶのであれば、C言語はおすすめの言語といえるでしょう。
前述のように、C言語は開発に活用できる範囲が広いため、アプリケーション開発やOS、ロボット開発など、さまざまな分野での活躍が期待できます。そのため、C言語を習得しておけば、業務範囲が広い企業に入社するときや、同業他社に転職するときなどにも役立ちます。
C言語で開発できる製品やサービスの例
C言語で開発できる製品やサービスの例として、ハードウェア(OS)やソフトウェア・アプリケーション、基幹系システム、AI(人工知能)などが挙げられます。ここでは、それぞれの製品・サービスの特徴について解説します。
ハードウェア(OS)
C言語は、メモリやCPUなどのハードウェアを制御することに長けているプログラミング言語です。そのため、ハードウェア(OS)開発には、C言語が適しています。実際に、ハードウェアの細かい制御が不可欠なOS(オペレーティングシステム)開発には、C言語が採用されている例が多々あります。
一般に広く流通しているOSの中では、UNIXやLinuxなどがC言語によって制作されています。そもそもC言語は「UNIX」というOSを開発するために考案された言語であり、このことからも、C言語はOS開発に向いていることが分かります。
ソフトウェア・アプリケーション
ハードウェアだけでなく、ソフトウェアやアプリケーション開発にも、C言語はよく用いられています。特に大企業が導入するシステムなど、規模の大きなシステムに活用される例が多いでしょう。
基幹系システム
基幹システムは大量のデータを処理しなければならない場面があるため、コンパイルが不要で処理速度が高速なC言語を用いた開発が適しています。
大量のデータを処理する際に、ひとつひとつのデータ処理に時間がかかってしまうと、処理が追いつかずにシステムダウンしてしまい、業務の進行に著しい影響を及ぼすおそれがあります。高速で処理することによって予期しないシステムダウンを回避し、安定稼働を実現できます。
企業の根幹となる基幹系システムの開発に携わりたいと考えている人にとって、C言語はぜひ押さえておきたい言語のひとつです。
AI(人工知能)
AI(人工知能)の開発にも、C言語がよく用いられます。
AIは人間の代わりに最適なスケジュールを作成したり、数値を予測したりと、高速な処理速度が求められます。そのため、緻密なハードウェア制御が可能で、さらに高速な処理を可能にするC言語が活用される場面がたびたびあります。
また、AI開発においては、CPUやメモリなどのハードウェアを制御しなければならない場面も多いため、ハードウェアの理解が必要なC言語を学んでおくと、スムーズにAI開発に移行しやすいというメリットもあります。
組み込み系ソフト
家電や産業機械、IoT機器など、いわゆる「組み込み系ソフト」の開発にも、C言語が活用されています。近年では、さまざまな家電にセンサーが組み込まれています。
例えば、部屋が暑くなるとエアコンをつけて室温を下げようとしますが、エアコンについている「自動」というモードは、温度センサーが自動的に現在の現在の室温を感知して、最適な室温にまで調整します。このようなセンサーに組み込まれているプログラムのことを、「組み込み系ソフト」と呼んでいます。
他にも、カーナビの目的地までの距離を計算する仕組みや、扉の開け閉めを感知するエレベーターのセンサーなど、さまざまな場所に組み込み系ソフトが使われています。
C言語を活かせる主な職種
C言語を活かせる主な職種としては、AIエンジニアやアプリケーションエンジニア、組み込み系エンジニア、ゲーム開発エンジニア、ネットワークエンジニアなどが挙げられます。ここではそれぞれの職種でどのようにC言語を活かせるのかについて解説します。
AIエンジニア
近年、発展が著しいAI領域においても、C言語は開発によく利用されています。そのため、AIエンジニアとして活躍したいと考えている人は、C言語を身につけておくと、転職や案件獲得に有利に働く可能性があります。
AIエンジニアとして働く場合は、拡張性の高いC++を扱うことを求められるケースもよくあります。そのため、これからC言語を学ぶ人は、オブジェクト指向の基本的な考え方も併せて押さえておくと良いでしょう。
C++にはオブジェクト指向の考え方が取り入れられているため、オブジェクト指向について知っておくと、よりスムーズに理解しやすくなります。
アプリケーションエンジニア
アプリケーションエンジニアの現場でも、C言語はよく用いられています。WindowsやMac OSなど、一般的なパソコンにインストールして動作させるソフトウェアだけでなく、企業に導入される業務用システムなどのアプリケーション開発を中心に活躍したい人も、C言語を学んでおくことをおすすめします。
例えば銀行系のシステムや、事務処理系のシステムなど、いわゆる「業務系」と呼ばれるシステムも、C言語を使って開発される例は数多くあります。
C言語を学ぶことで、コンピューターの構造やハードウェアの制御などの多くの知識を身につけることになるため、C言語について詳しくなれば、他のプログラミング言語を学ぶ際にも応用が利きやすくなります。
組み込み系エンジニア
ロボット開発や家電製品・産業機械に組み込むセンサーなどの開発には、C言語が良く使われています。家電メーカーや自動車メーカーなどで組み込み系エンジニアとして働くなら、C言語を学んでおくのがおすすめです。
最近では、インターネットとあらゆるモノを接続する「IoT」に注目が集まっていますが、このIoTの最前線を支えているのが組み込み系エンジニアです。例えば冷蔵庫の開閉を判断するセンサーや、工場の温度センサーなどを開発することで、人々の生活や企業の経済活動をより便利で豊かにすることに貢献できます。
ゲーム開発エンジニア
ゲーム開発エンジニアにも、C言語は馴染み深い言語のひとつです。C言語はテレビゲームやパソコンゲーム、スマホのアプリゲーム開発など、さまざまな媒体のゲーム開発に用いられています。そのため、ゲーム開発に携わりたい人は、C言語を学んでおくと良いでしょう。
ゲーム開発エンジニアは、C言語以外にC++やC#を活用して開発を行うこともあります。そのため、ゲーム開発エンジニアとして活躍したいと考えているのであれば、オブジェクト指向の考え方も併せて身につけておくことをおすすめします。
ネットワークエンジニア
ネットワーク関連のシステム開発や、ネットワーク機器の開発にも、C言語が数多く使われています。
近年では、インターネットは企業や個人の経済活動にとって不可欠なインフラとなっています。将来的にネットワーク開発の分野で活躍したいと考えている人にとっても、C言語の学習は有効です。
C言語を身につけたエンジニアは、ネットワーク開発全般に関わるネットワークエンジニアとして活躍が期待できます。その分、ハードウェアに関する知識なども必要になるため、C言語の知識と並行して、ネットワーク機器の知識も身につけておくと良いでしょう。
C言語を学ぶ上でおすすめの資格
C言語を学ぶ上でおすすめの資格として、C言語プログラミング能力認定試験や、基本情報技術者試験、応用情報技術者試験などがあります。どれもC言語やITの初学者でも取得を目指せる資格です。ここでは、3つのおすすめの資格について解説します。
C言語プログラミング能力認定試験
C言語プログラミング能力認定試験は、ビジネス能力検定サーティファイが実施する民間資格です。
プログラミング言語を学んでいると、「今、自分がどのくらいのスキルを持っているのか?」が気になる場面もあるでしょう。プログラミングのスキルを実践以外で測るなら、C言語プログラミング能力認定試験の受験がおすすめです。
試験には1級~3級までの3種類が用意されており、初学者から現場で働くスキルの高い人まで、幅広く対応しています。これからプログラミングを学ぶのであれば、3級からの挑戦がおすすめです。2級と3級はコンピューターを使った多肢選択式問題ですが、1級では実際にC言語でプログラミングを行う実技試験が課されます。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、情報処理推進機構(IPA)が主催する国家試験です。IT技術者として活躍できる人材を養成することを目的としており、ITに関するさまざまな知識を問われます。これまでITにほとんど触れたことがなく、これからC言語を学びたい人が、ITの知識を身につける場合に最初の一歩としておすすめです。
試験は午前試験と午後試験があり、出題形式は多肢選択式となっています。令和4年度までは春季・秋季の年2回開催でしたが、令和5年度からはCBT方式に変更となったため、以前に比べると受験機会が増えています。
CBT方式に変更となったことで、最寄りの会場を指定して受験できるため、より気軽に受験できるようになった点もメリットです。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、情報処理推進機構(IPA)が主催する国家試験で、前述の基本情報技術者試験の上位資格です。
基本情報処理技術者試験に比べると難易度が高く、取得するとエンジニアとしてある程度応用的な開発ができる人材であることを証明できるため、転職や新規案件の獲得に有利に働くことがあります。
試験は午前試験と午後試験に分かれていますが、基本情報技術者試験とは異なり、午後試験では記述式問題が出題されます。
ITを活用してさまざまな製品やサービス、ソフトウェアを開発できるだけの知識を持つ人を対象としているため、初めてITに触れる人にとっては難易度が高く感じられるでしょう。これからC言語を学ぶのであれば、先に基本情報技術者試験に挑戦することをおすすめします。
C言語を学ぶ方法
C言語を学ぶ方法にはいくつかありますが、特によく用いられるのは、書籍を購入する、Webサイトの情報を参照する、オンライン講座を受講するといった方法です。ここでは、3つの方法の特徴やメリットについて解説します。
書籍を購入する
C言語を学ぶ方法の1つ目は、C言語に関する書籍を購入することです。書籍や参考書などを購入することで、体系的にC言語に関する知識を学ぶことができます。
書籍には初心者向けのものも数多くあり、必要な情報が1冊にまとまっているため、初心者でも取り組みやすい点がメリットです。これからC言語を初めて学ぶ人は、「初心者向け」と書かれている本を1~2冊程度購入して勉強すると良いでしょう。
ただし、分からないことが出てきたときに誰かに質問することができないため、途中でつまずきやすい点はデメリットといえます。
Webサイトの情報を参照する
C言語を学ぶ方法の2つ目は、C言語の学び方や基礎知識についてまとめられているWebサイトの情報を参考にすることです。
近年では、さまざまなWebサイトでC言語の知識や学び方が解説されています。これらのWebサイトを参考にすることで、自宅にいながら、コストを抑えてC言語を学ぶことが可能になります。
しかし、Webサイト上に掲載されている情報は信頼性が低い場合もよくあるため、Webサイトを利用してC言語を勉強する場合は、正しい情報を見極める力が重要になります。正しい情報を選べるかどうか不安な人は、書籍の購入やオンライン講座の受講を検討すると、より安心です。
オンライン講座を受講する
C言語を学ぶ方法の3つ目は、C言語を学べるオンライン講座を受講する方法です。C言語は多くの開発現場で採用されていることから、今でも新しく学ぼうとする人が多いプログラミング言語です。そのため、初学者向けのオンライン講座も数多く開催されています。
オンライン講座はWebサイトや参考書を利用するよりも費用はかかりますが、現場でプロのエンジニアとして活躍してきた講師から直接知識やスキルを学べる点がメリットです。
また、学んでいく中で不明点が出てきたときは、その場で疑問を解決できるため、書籍やWebサイトを参考にする場合よりもつまずきにくいというメリットもあります。
まとめ
C言語は、アプリケーション開発やOS開発だけでなく、ゲーム開発、AI開発、組み込み系ソフト開発など、さまざまな分野で幅広く活用されている言語です。活用できる分野が幅広いことから需要も多く、現在でもさまざまな企業がC言語を扱えるエンジニアを求めています。
これからC言語を学ぶのであれば、資格試験などを通して、プログラミングの知識とハードウェアなどの基礎的なIT知識を並行して身につけることをおすすめします。書籍やWebサイト、オンライン講座などの中から、自分に合った方法を検討してC言語を学びましょう。
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