マンション管理士とは?役に立たない?やめとけと言われる理由も解説
- 2021.04.19
マンション管理士の資格は「役に立たない」「意味ない」などの声を聞いたことがあるのではないでしょうか。
マンション管理士の資格取得を検討している方にとっては、このような意見をきくと不安になってしまうかと思います。
本コラムでは、そんなマンション管理士が「役に立たない」「意味ない」と言われてしまう理由と、マンション管理士の具体的な仕事内容や年収、就職先などを分かりやすく紹介します。
マンション管理士になるための案内も載せていますので、是非参考にしてください。
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目次
マンション管理士とは?
マンション管理士とは、専門知識を活かし、マンションの維持管理に関するコンサルティングを行う仕事です。
マンション管理組合の管理者や、区分所有者(分譲マンションの購入者)の相談に対応し、助言や指導を行います。
マンション管理士は国家資格。
マンション管理士試験に合格し、マンション管理士として登録を受けることで、はじめてマンション管理士を名乗ることができます。
マンション管理士の仕事内容は?
マンション管理士の業務は大きく分けて4つ。
ひとつずつ詳しく紹介します。
相談業務
マンション管理組合の役員などからの相談に対応する業務です。
自治体主催のセミナーや相談会などで、アドバイザーとして相談を受けることもあります。
相談内容は幅広く、具体的には以下のようなことが挙げられます。
- 会計処理の方法
- 組織運営の方法(運営コストの削減など)
マンションの修繕工事の計画
マンションの修繕工事を計画する業務です。
マンションは年月とともに劣化し、安全を脅かすリスクが出てくるため、定期的な大規模修繕が欠かせません。
マンション管理士は、外壁の張替えや防水工事など、大規模な修繕工事に備えるための積立金の取り扱い。
さらには、工事を依頼するための工事会社の選定、手続きなどを行います。
管理規約や使用細則に関する業務
マンションの住民が快適に暮らせるように、区分所有法という法律に基づいて使用細則(ルール)が決められています。
これは管理規約と呼ばれ、マンションの共有部分や使用方法など、マンション管理組合の運営に必要なことが書かれています。
この管理規約の見直しや内容の精査を行うことも、マンション管理士の仕事となります。
区分所有者間のトラブル解決
マンションで一番多く発生する問題と言えば、やはり住民同士のトラブル。
下記のように、様々なトラブルが発生します。
- 隣人住民の騒音
- 共有スペースの使用
- 駐車場の使用
- 喫煙マナー
- ゴミ出し
マンション管理士には、このような住民同士のトラブルを解決に導き、マンション運営をスムーズに行うことも求められます。
関連記事:マンション管理士試験・管理業務主任者試験の試験日・概要
マンション管理士は仕事がないと言われる理由
マンション管理士は仕事がないと言われている理由として、「稼げない」「独立しても仕事がない」などの噂があるからと考えられます。
事実とは関係ない噂などが広まることにより、このようなイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。
稼げないと言われているのは、マンション管理士の難易度と比べると、はじめは年収が高くないと言う点が考えられます。
ただ、マンション管理士の需要は今後高齢化や発展途上の影響で上がってくると考えられるため、年収を上げていくこともできると言えるでしょう。
マンション管理士はやめとけと言われる理由
マンション管理士の仕事がきついと言われる理由は住民からの・要望クレーム対応です。
マンション自体に対するクレームや住民同士の揉め事などの対応を行わなければなりません。
また、住み込みの管理員では、「隣の人が騒いでいるから注意してほしい」といった要望があれば、勤務時間外でも対応しないといけない場合があります。
マンションでは幅広い年代の方が住んでいるため、様々なクレームや要望が来るということを認識しておきましょう。
マンション管理士資格が役に立たない・意味ないと言われる3つの理由
マンション管理士資格が役に立たない・意味ないと言われる3つの理由
- 独占業務がない
- 実務経験が欠かせない
- マンション管理士を求める企業が少ない
➀独占業務がない
1つ目の理由は、マンション管理士には独占業務がないという点です。
独占業務を有する国家資格だと、安定した需要が見込めます。
しかし、マンション管理士には独占業務がありません。
マンション管理士の資格がなくてもマンション管理士と同じ仕事ができてしまいます。
※ただし、資格がなければ「マンション管理士」を名乗る事は出来ません
独占業務がなく、いわゆる名称独占資格である点が、「役に立たない」「意味ない」などと言われる要因となっています。
②実務経験が欠かせない
2つ目の理由は、マンション管理士の仕事は実務経験が欠かせないため。
マンション管理士の仕事は、専門知識を活かし、マンションの維持管理に関するコンサルティングを行います。
管理組合の人からの相談にのったり、トラブル解決のためのアドバイスを行ったりするため、マンション管理の仕事について精通していなければなりません。
資格を取得していても、未経験だとマンション管理のノウハウがないため、試験で得た知識だけでコンサルティング業務を行うのは難しいでしょう。
また、マンション管理のアドバイスを未経験の人間に依頼するケースは少ないでしょうから、顧客開拓も一筋縄ではいきません。
マンション管理士の資格は、未経験で取得しても活かすのが難しい傾向にあります。
③マンション管理士を求める企業が少ない
3つ目の理由は、マンション管理士を求める企業が少ないというもの。
公益財団法人マンション管理センターの「マンション管理業務についてのアンケート」によると、「マンション管理士として就業」と回答した人はわずか4.6%でした。
マンション管理士取得者が就業している職業 | |
会社員 | 54.7% |
自営業 | 9.9% |
公務員・団体職員 | 6.0% |
マンション管理士として就業 | 4.6% |
主婦・主夫 | 1.0% |
学生 | 0.1% |
無職 | 14.4% |
その他 | 9.4% |
※参考:公益財団法人マンション管理センター「マンション管理業務についてのアンケート」
会社に就職してマンション管理士としての経験を積もうにも、そもそもの需要が少ないのです。
その要因として、まだ2001年に出来たばかりの資格であり、世間的に認知されていないことが考えられます。
そのため、これからマンション管理士の認知度が上昇していけば、需要増加も十分に見込めるでしょう。
現状の需要は多くありませんが、マンション管理士の資格を持っていることで、マンション管理業や不動産会社の就職に有利になることはあります。
専門知識を持っている人材として、かつ高難易度の資格を取得した向上心のある人材として評価され、採用につながりやすくなるでしょう。
マンション管理士の年収はいくら?
マンション管理士の平均年収は400~500万円前後といわれていますが、会社員や独立開業など、勤務形態によって変わります。
※不動産業全体における平均年収は423万円:令和3年分 民間給与実態統計調査より
公益財団法人マンション管理センターのアンケート調査結果によると、マンション管理士を本業として活動している人の年間の売上高は、以下のようになっています。
年間売上高 | 比率 |
100万円未満 | 37.3% |
100万円以上400万円未満 | 30.4% |
400万円以上 | 18.8% |
収入を得たことはない | 10.6% |
無回答 | 3% |
※参考:公益財団法人マンション管理センター.「マンション管理業務についてのアンケート」.平成30年6月1日,
マンション管理士は独立開業がしやすいと言われており、独立開業した場合、企業に勤めるよりも年収が高くなるケースも。
年収1000万円以上を狙うことも十分に可能な職業です。
マンション管理士と管理業務主任者は何が違う?
マンション管理士とよく比較されるのが管理業務主任者。
どちらもマンション管理に関する業務ではありますが、いくつかの違いがあります。
管理業務主任者の仕事
管理業務主任者は、マンション管理組合でカバーできない部分について、専門知識を活かしてサポートする仕事です。
管理業務主任者の資格をもつ人でないと関わる事の出来ない独占業務もあります。
具体的には次のような業務が挙げられます。
- 管理組合に対して行う管理事務の報告(独占業務)
- 管理委託業務に関する重要事項の説明(独占業務)
- マンションの設備や組合運営に関するマネジメント
管理業務主任者とマンション管理士の違い
管理業務主任者とマンション管理士は立ち位置が異なります。
管理業務主任者は管理会社に所属し、管理業者の立場から説明やチェックを行います。
一方、マンション管理士は管理組合側の立場から、マンションの保全や管理運営のアドバイスを行います。
両者とも似た資格ではありますが、立ち位置としては正反対と言えるでしょう。
設置義務や独占業務がない名称独占資格
マンション管理士には、管理業務主任者のように設置義務や独占業務がありません。
管理業務主任者は、「管理組合30組合につき1名の設置義務」や前述した「独占業務」がありますが、マンション管理士にはありません。
マンション管理士資格を持っていなくても、マンション管理士と同じ仕事をすることが可能です。
ただし、名称独占資格ではあるため、無断でマンション管理士と名乗ると罰則の対象となります。
マンション管理士の試験概要
マンション管理士の試験概要は以下となります。
申請期間 | 例年9月が申請期間となります。 申込方法はゆうちょ銀行・郵便局の振替払込又は銀行の振込により納付し、 「公益財団法人マンション管理センター」へ郵送 |
試験方法 | 50問4肢択一のマークシート方式 ※管理業務主任者試験の合格者は5問免除 |
受験案内 | 例年8月からとなり、入手方法は「公益財団法人マンション管理センター」にからダウンロードできます。 |
試験地 | 札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、福岡市、那覇市及びこれらの周辺地域 |
受験手数料 | 9,400円 |
試験日 | 例年11月最終の日曜となります。(時間は午後1時~午後3時) |
合格発表日 | 例年翌年の1月上旬に合格発表があります。 |
試験実施期間 | 公益財団法人 マンション管理センター 住所:〒101-0003 東京都千代田区一ツ橋2-5-5 岩波書店一ツ橋ビル7階 電話:03-3222-1611 |
マンション管理士の合格率について
直近5年の受験者数・合格者数・合格率は以下となります。
また、令和4年の合格率は11.5%となりました。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
令和4年 | 12,209 | 1,402 | 11.5% |
令和3年 | 12,520 | 1,238 | 9.9% |
令和2年 | 12,198 | 1,045 | 8.6% |
令和元年 | 12,021 | 991 | 8.2% |
平成30年 | 12,389 | 975 | 7.9% |
マンション管理士の将来性は?
結論、マンション管理士としての将来性はあると言えるでしょう。
現在マンションの需要に伴いマンション管理士の活躍の場が拡大しています。
若者の未婚化などの影響で一人暮らしの数が増加傾向にあり、一件やの持ち家よりも賃貸マンションの方が需要が高まっています。
そのため、今後マンションが増加し、マンション管理組合数の増加も予想されるため、マンション管理士の活躍の場が増えることが予想できますね。
また、マンション管理士の業務は人だからできるという職業であり、現在AIが発展し、より高度な処理が可能となってきています。
しかし、マンション管理士の業務は事務作業だけではなく、住民から相談を受けたり、修繕等の為に催す説明会での質疑応答など、人を相手にする業務が多くあるため、AIが代わりを務めることはできないと言えるでしょう。
マンション管理士の主な就職先とは?
マンション管理士は、マンション管理業を営んでいる企業に就職するのが一般的です。
公益財団法人マンション管理センターのアンケート調査結果によると、約55%が会社員として就職。
そのうち19.9%がマンション管理業を営んでいる企業に属しています。
※参考:公益財団法人マンション管理センター.「マンション管理業務についてのアンケート」.平成30年6月1日
マンション管理業だけでなく、不動産業や建設業、製造業などの業種で働く人も少なくありません。
また、会社員としてだけでなく、公務員や団体職員に就職している人や自営業で仕事を行うなど、マンション管理士の勤務形態は幅広いのが実情と言えます。
マンションが多い首都圏や大都市では求人が多くなることから、マンション管理士として就職を考える場合、収入はもちろん、勤務場所などの条件を確認することが大切です。
就職に役立てたいなら管理業務主任者の方がおすすめ
マンション・不動産業界への就職に役立つ資格を取得したいと考えている場合は、マンション管理士よりも管理業務主任者資格がおすすめです。
理由は、前述したように管理業務主任者には設置義務があるため。
事務所ごとに管理組合数30組合につき1名の管理業務主任者を設置する義務があることから、マンション管理会会社の中で必要とされる資格となっています。
また、管理業務主任者には独占業務もあるため、仕事のニーズも安定しています。
マンション管理士試験より管理業務主任者試験の方が合格率が高く、取得しやすいのも魅力です。
就職を視野にいれるのであれば、管理業務主任者資格を優先して取得するといいでしょう。
関連記事:管理業務主任者とは?仕事はきつい?平均年収は?意味ない資格って本当?
マンション管理士になるにはどうすれば良い?
マンション管理士はマンション管理士試験に合格し、マンション管理士として登録することでなることが出来ます。
関連記事「マンション管理士試験・管理業務主任者試験の概要」
マンション管理士の資格は2001年に新しくできたばかりの資格であり、まだまだ未開拓な資格です。
現状はまだ需要と供給が結びつかず、マンション管理士の仕事は浸透していません。
とは言え、マンションに住む人は増加傾向であり、また築年数を経過したマンションはこれからどんどん増えていくでしょう。
そのため、マンション管理士の需要増加を期待できます。
マンション管理士は国家資格であり取得難易度が高いため、就職の際に有利に働くことも。
企業によっては資格手当や昇給の対象になっています。
マンション管理士の市場はまだまだ未開拓な分、開拓していくことが出来れば非常に大きなリターンを見込めます。
マンション管理士の将来性に魅力を感じているなら、ぜひ取得を検討してみてはいかがでしょうか。
関連コラム:マンション管理士の難易度や合格率は?偏差値で例えると?難しすぎるって本当?
令和4年度マンション管理士試験のアガルート受講生の合格率は44.86%(全国平均の3.9倍)
令和4年度管理業務主任者試験のアガルート受講生の合格率は70.05%(全国平均の3.71倍)
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