【続報】なぜM出版の民事再生は頓挫し、破産することになったのか
M出版の民事再生手続き廃止、破産へ
「健康情報誌で有名なM出版が民事再生、経営破綻の裏側に労使対立があった」[2023.5.28]の続報です。M出版は、3月2日に東京地裁に民事再生法適用を申請し、7日に再生手続き開始決定を受けて、事業再生計画案をつくり、再建を目指していました。スポンサー候補に複数の会社が名乗りをあげましたが折り合いがつかず、昨日5月29日、同地裁より再生手続き廃止決定および保全管理命令を受けました。今後、破産手続きに移行することになります。
再生への道筋はつけたが、最後まで労使協調に至らず
報道では、主要雑誌3誌とムック・書籍27点の版権を別の出版社に譲渡し、「残る事業についてのスポンサー企業は現れず」とされていますが、実際は、スポンサーを申し出た会社はあったのです。しかし、すでに深刻だった労使の対立は和らぐどころかますます激しくなり、スポンサー候補が示した条件に労働組合が歩み寄ることはありませんでした。そして、5月18日に開かれた社員総会で、全社員に解雇が言い渡されました。
会社の存続が危ぶまれるような局面では、経営陣も従業員も一致団結して事に当たらねば船そのものが沈んでしまいます。M出版は、もとより組合の力が強く、いきなり呉越同舟、手のひらを返して労使協調しろと言われても、なかなか容易なことではなかったでしょう。残念ながら、再生の道のりは一歩踏み出したところで行き詰まってしまいました。最後まで経営陣と社員が同じ方向を見ることはなく、対立の果てに全社員が職を失い、会社も消滅することになったのです。
経営者と社員、あるいは、社員同士が日常的に対話をし、会社の方向性・目的地を共有しておく努力は、単なる理想論のお題目ではなく、いざという時に功を奏するものなのです。
[2023.5.30]
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