第51話 「変人たちの根城を歩む 前編《Weirdo's Nest -First part-》」


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第51話 「変人たちの根城を歩む 前編Weirdo's Nest -First part-




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 目に焼きついた、と思う。それだけインパクトある光景だったのだ。変な話、ロマンってやつ? それがレインだというのが素直に喜べない最大の理由ってやつなのだが。

 見慣れてる? ノンノン。

 実際には痛々しい。

 経年により薄くなっているとはいえ、目に見える「傷」が彼女には刻まれている。限りなく、薄く、過去を感じさせるのだけど、故に、消せない。そんな傷。

 加えるとするなら、そんなことにさえレインが鈍感だというところか。


「思ったより早くガタがきた」


「うおおおーーおーし。レインちゃん、ちょいと隠そうか」


 アッシュがすかさず軍服の上着を彼女の体に重ねてくれる(オレがしようにも病衣一枚ではミイラ取りがミイラだ)。レインもさすがに「ありがとう」と大人しく受け取っていた。


「ううん、さすがにこの格好で歩き回るのは忍びない。一度着替えたほうがいいんだろうか」


「っても、着替えとかないんだよね? 全部燃えたとかで。オレのやつでよければ全然貸すんだけどさすがにサイズがなぁ。……いや待て、胸回りは大きいからなんとかなるか?」


「おいコラ。なにどさくさに紛れてわけのわからんこと言ってんだ」


 と、会話が明後日の方向へずれかけていたのだが、


「……着替えがないわけでは、ない。あくまでヒロのものがなくなっただけだから」


「そうなのかよ」


 しゃあないんだけど、なんか複雑。


「そっか……、了解。じゃ、俺たち出てるから着替え終わったら呼んでね」


 女子の着替える部屋にしては薄すぎるセキュリティの部屋と化しているが、それこそ仕方がない。自然と、無言の連携で先ほどの門番のように二手に分かれて待つことに。

 と……、


「おーう、テメェらなに幸薄そうな顔して突っ立ってんだ!」


 忙しない音とともに、通路の角からドスの効いた声が聞こえてくる。

 右も左もわからないうちに始まった軍隊生活(仮)だが、それでもその人物には見覚えがあった。

 くすんだ金髪に強烈な悪人顔、煙が充満しやすい通路内で遠慮なく煙草をふかしている等、普段のオレならわかりやすく近づきたくないお人。

 ただ、風貌に合わないニカニカとした笑顔は、ほとんどが蔑むような目線しか向けてこなかった幹部連中の中で、好印象であった。

 ……ただ、ただ、ある意味でまた、印象が変わろうとしている。


「クラウス師匠! また『仕入れ』ですか」


「おうよグラハム! そして喜べ、今回のはノールエスト産だ。テメェ好みの女が勢揃いだぞ」


 あの集会に呼ばれていたのだから間違いなく幹部、であろうはずの彼。その彼が両手に抱え込む小箱には……、


 明らかにピンク色の雑誌が、所狭しと詰め込まれていた——。


「なん、ですか、それ」


「「なにって、エロ本」」


 当たり前だろとばかりに声を重ねる二人。いやそのピンクで肌色成分しかない雑誌は男なら見りゃ一発でわかる。でもその量はなんだよ。業者か?

 男は大して大柄でもないしむしろアッシュより小さいくらいだが、鍛えられた肉体をフル活用してエロ本を抱えている。


「コレクションナンバー4は、ノールエストやらオリエントやら北東の国の代物を集めた。テメェはオリエント出身だろ?」男はばっちり目を合わせてきて、「ちょうどいい、仲間になった記念に一冊進呈しよう」


「は、はぁ」


 選べ! といきなり通路に叩きつけられたエロ本の山。衝撃でずり落ちた雑誌がはらり。表紙こそギリギリ大事な部分は隠されていたものの、中身は破廉恥が丸裸だった(ついでにどうでもいい話だが、着色した「写真」とやらは一枚取るだけでもかなりの金が飛ぶと聞く。つまりフルカラーの本ってだけでかなりの高級品)。


「オレも選んでいいですか⁉︎」


「アホか、ダメだ! テメェにはとっくに一冊くれてやったろうが。初回サービスだよ、プレゼントってのは」


「ぶーっ、相変わらずケチな師匠だなぁ」


「うるせえ! 貸してやるだけありがたく思えっ!」アッシュをぴしゃりと叱りつけた師匠?は、「さあ、テメェは遠慮するなよ。キサラ……なんとか! オレ的オススメは……これだな」


 及び腰になっているオレに、ニヤニヤしながらとある一冊を押し付けてくる。

 おもむろに視線を向けた表紙には『圧倒的美巨乳! スレンダーボディの魅力!』『めちゃくちゃにしてください』などと扇状的な文字が踊っており、胸を強調するように両手を前についた下着姿の女性が、上目遣いの表情で写し込まれている。

 …………おい。どこか、似てるんだよな……。

 彼がオススメと言った理由は、パッと見ただけでわかった。

 ノールエスト産だの謳っていただけあって、撮られている女の子の顔貌もそっちよりだ。そして何よりことに、その本の表紙の女の子は、金髪で、巨乳で、ジト目気味の美少女だった。

 待て。あくまでも特徴的なだけだし、オレ的には彼女にこの色は似合わない。もっと、暗い色の方が、やっぱり似合ってる。そんな気がする、うん。

 頭ではなく心に残っているのは、鮮烈な黒。

 そして落ち着け。こんなものを持っていると知られてみろ。レインはどういう反応に出る? …………わからねえな。

 蔑まれた目で見られることだけは確実だと思う。けど、その後は?

 ……まあ、なってみないとわからないような推測は置いておいて。


「本当にいいんですか?」


 こっそりともらっておこう。


「おう、気にすんな!」


 いやだってなに、オレだってさすがに年頃ですし? あれだけの女の子と一緒に四六時中過ごしてたら、恋愛感情以前に


「俺、なんか安心したぜ。お前、まだ若えのにてっきり枯れちまったもんだと思ってたからよ」


「さらっと失礼だな、お前。……てか、どうしよ。もらったのはいいけど、どこに置いとくべきか……」


 ほぼ着の身着のままの状態で余計な荷物を増やしてしまったわけだ。けど手放すには余りにも惜しい。


「……お、そんじゃ俺が一旦預かっててやろうか…………って思ったけどまず相方に聞くのが先かもしれませんね、はい」


 無駄に早口になったアッシュに嫌な予感なんてもんじゃない悪寒を感じて、後ろに目をやると。

 冷めた様子で通路に転がる「宝物」を見下ろすレインがいた。

 オレたちを隔てるドア=ぶち壊れている。

 つまり、丸聞こえ。

 ——ちくしょう。張り切りすぎた。


「ヒロもやっぱり、そういうものが好きなんだ」


 見覚えのある寝巻き姿にすっかり様変わりしたレイン(つーかなんでバスローブなの?)は、平坦な口調でぼやく。


「時間、かかりそう?」


「……その、なんていうか。もらって、な。なんだったら、一緒に、見るか?」


 実際にこういう時、何を言えば正解なのだろう。

 少なくとも共読みのお誘いじゃないことは確かだが。


「遠慮しておく。……別に気にしなくていい。男の子ならしょうがないとは教わった」


 聞こえるか聞こえないかくらいのため息とともに部屋へと戻ろうとするレイン。


「(一緒に見るかって、お前それはちっとハードなご所望だぞ)」


「(うるせえ……体のいい言い訳があるんだったら教えてみやがれ)」


 やらかしすぎて、まともに訂正する気力もなかった。

 と、


「よう、さっきぶりだな、美少女」


 クラウス師匠が、オレたちを見かけた時とはまるで違うレインへと声をかける。


「……。先ほどの部屋にいた方ですね。何かご用でしょうか」


「んな、堅くならなくっていいって。プライベートプライベート!」ぽんぽんと軽く肩を叩いたクラウスは(すげえ距離感だ)、「オレはジークヴァルト・クラウス。せっかく仲間になったんだ。よろしく頼むぜ、いろいろと」


「よろしくお願いいたします」


「……、やっぱり堅いな、美少女。いーや、レイン。その綺麗なお顔が台無しだぜ」


「お褒めの言葉をどうも、クラウス様。鼻血が出ておられるようですが大丈夫でしょうか?」


 ふと覗き見ると、彼の伸び切った鼻からは濁った血が滴っていた。ついでに言ってしまうと視線はおそらくただ一点に注がれている。


 ただ、レインのこぼれ落ちんばかりの乳房に。


「いーんだよ、ちっと熱くなっただけだから」


 クラウスはガバッと男らしく、腕で鼻血を拭う。

 もっとも気持ちだけはわかる。共に暮らすことによって最近は耐性がついてきたものの、男の性というべきか、それこそ間近で見るといろんなものに悪い。あ、また垂れた。


「よろしければ破れた服を持ってきますが」


 のわかりづらい提案が飛ぶ。


「だからいいって。いやー、むしろありがとう、だな」彼は満足げにうんうん頷いてから、ふと、オレの方に首を傾ける。「あ、取りゃしねーから心配するなよ」

「……してませんよ」


 オレが自信を持って言うのもなんだけど、絶対にあなたはレインのタイプじゃないです。


「そうか? イケメンは嫉妬深いってのがオレの持論なんだが……、まあ、いいや」


 ……何気に褒められたってことで納得していいのか、これ?


「どっちにしろ前祝いだ。こいつもそいつも、大事にしろよ」


 レインと、オレの右手のブツを交互に指差して、男のロマンが詰まった大箱を抱えるクラウス。じゃあなー、と脇に逸れた道を戻っていった。


「嵐のような人だったな……」


「その喩え正解。でも上官とは思えないくらい気軽に話せるのが良い」


「確かにな」


「ま、気を取り直して、二人とも。ようやくお待ちかね、飯の時間だぜ!」


 レインから不自然なくらい目を逸らしながら、アッシュは宣言した。



 迷宮のような艦内をアッシュの案内のもとあれよあれよと練り歩きいた先、巨大なガラス扉の前に到着した。

 昼飯時というのもあってか、艦内の人間を全て詰め込んだんじゃないかというくらいの人がいる。


「この舟、こんなに人が乗ってたんだな」


「そりゃそうよ。四方八方敵だらけの世界でやってくなら、相応の数がいる」


 そう言うアッシュが扉を開けると、鼻腔に染み込んでくる焼き物の香り。すっかり空いてしまった腹が、すかさず合図を鳴らしてきやがる。


「ふむふむ、今日は焼き鮭プレートの日みたいだな。俺は鱈の方が好きだけど……、贅沢言ってられねー。レインちゃんって焼き魚好き?」


「嫌いじゃない……が、魚の味はよくわからないというのが本音。鮭と鱈の味の区別もつかない」


「あー、なるほどね……」アッシュは軽々に頷いてから、「(レインちゃんが料理下手なのって、ただ単に味音痴だからじゃねえの)」


「(急に振ってくるなよ。……でも確かに、レインはなんでも美味いって食うタイプだな)」


 かといってレインの出自には深く突っ込めないし、突っ込む気もない。明るいものでないことは確定だからこそ、余計に。だけど。


「ただ、すごくお腹は空いた」と、レイン。


「間違いねえ」


 そう、それでもただ、腹は減る。人間だから。


「バトラーさーん。三人前追加で!」


 それにしてもどこでどう頼むんだと辺りを見渡していたオレとレインの横を離れて、親しげな声を厨房へと届ける。

「なんだい、相変わらず元気いっぱいだねぇ」

 ひょっこりと。物憂げそうな顔の青年が厨房の角窓から顔を覗かせた。

「元気だけが取り柄なもんで」


「結構結構。しかし、見慣れない顔がいるね。新入りの子かい?」


「そうですっ。これからバリバリ働いてもらわないといけないんで、ちょっとサービスお願いしますよ?」


「はは、毎度ながら口がうまいね。僕らみたいな裏方、有事の際には役立たないし、取り入っても良いことないよ?」


「ご冗談を。この空の海での第二の燃料を蔑ろにする奴ぁ、搭乗資格なんてありませんって」


「またまたうまいこと言うね。なかなかいないよ、君みたいな若い子」青年は朗らかに微笑んでから、オレとレインを見る。「君たちも、若いのに偉いね。わざわざこんな……こんな、血塗られた世界に来るなんて。すごいよ」


「……そう、なんですかね。覚悟は一応決めたつもりなんですけど、まだこの組織の一員だって実感は湧かないです……」


 戦いの中に身を置かなければ、わからないこともきっとある。


「その一歩に、特に勇気がいるのさ。君たちは自分のことを誇っていい」


 こうまでおだてられるとむず痒いものがあったけれど。悪い気はしない。


「さて。三人前お待ち」


 そうこう言っているうちにカウンターキッチンからプレート料理が差し出された。


「アッシュくんに免じて、ちょーっとサービスしといたから。みんなには秘密だよ」


「やりー、ありがとうございますっ!」


 人の良さそうなはにかみを見せて、青年は厨房の奥へと戻っていった。

 それから席を探そうとするが、


「クソ混んでやがる。これお持ち帰りとかできない感じなのか?」


「できない感じ。でも心配すんな。


 アッシュの案内で、食堂の端へと案内される。混雑している店内の中で、不思議にぽつんと空いている長座席があった。


「ほら、空いてる」


「……だからって、いいのかよ。明らかVIP席みたいなもんだろ、ここ」


「実質そうだろ。お前はともかく、レインちゃんは間違いなくね。ま、文句は言われねーから、座った座った」


 どうにも落ち着かないが、そうまで言われてはと腰を下ろす。

 ただやっぱり、興味の視線が集まるのを感じていた。繊細なオレのこと(能天気なアッシュや鈍感なレインに比べたら、ってやつだが)、こうまでジロジロ見られると説明を求めたくはなる。


「なあ、アッシュお前、この組織でいったいどういう立場なんだ?」


 注目の視線については、見慣れない顔だからでまだ納得がいく。

 しかし、いささかアッシュは自由に動き回りすぎているように思えてならない。


「そりゃあまだまだ下っ端の二等兵……だったんだが、最近、伍長に昇格しました。外で動く都合上、最低限の階級がないとってことでな」


「オレ、あんまり他国家軍隊の階級構造に明るくないんだけど、伍長ってどれくらいの地位だ?」


「うーんと、まず根っからの話を大まかにすると、階級は兵・下士官・尉官・佐官・将官・トップ、ってな感じに分かれてる」アッシュは指折り数えていって、「一番下が、さっき言った二等兵。そっから一等兵、上等兵、繰り上がって下士官の伍長。下士官まで来ると、自分の意思で部下も動かせる」


「ふーん、じゃ、オレとレインは二等兵からスタートってことか」


「いんや、二等兵は入隊したらの階級だぜ。ヒロとレインちゃんはまだ「訓練兵」。ってか、訓練校にすら行ってないんだから予備兵ってところだな。特例でノアに招かれてるけど、本来は各訓練地で訓練過程を修了しなきゃ、すらできねえ」


 あー、思い出した。そういや団長のお付きの人に「訓練兵の分際で」とか言われたな。そりゃ当たり前っちゃ当たり前だが、最下級の人間がタメ口なんて許されるわけがねえわな。


「つーわけで簡単にまとめるとオレが何に動いてるかとか立場のない奴には言えねーってこと。そして何より、俺はヒロの上官! ふはは、ひれ伏せ!」


「こいつ……」


 オレ、こいつの命令で「突撃〜!」しなくちゃなんねーのか。


「…………では、グラハム伍長とお呼びした方がよろしいのでしょうか」


 と、今まで静かに食事をしていたレインが、フォークを止めてアッシュに問いかけた。


「へ」とアッシュ。


「上官に対して同じ視線で会話するのは憚られます。非礼をお許しください」


 平に頭を下げるレインにアッシュは焦った様子で、


「いやいやいやいや、レインちゃんはいいって——というか、公議の場じゃない限り上下関係とかあってないようなもんだから! ぶっちゃけ、気まずいし」


「……そう。わかった」


 すん、と。

 口調を戻して、食事を再開するレイン。

 アッシュは、一瞬だけ顔を固めた後、ガバッとオレの肩を抱いてくる。


「(ずっと思ってるけど、レインちゃんって異常に切り替え早えよな。お前の前でもあんなんなんの?)」


「(今のところはない……けど、なんか関係あんのかよ)」


「(別に。ただキレた時はどんなふうになんのかなって思って)」


「知るかよ」実は知ってるけど(てかさっき見たけど)、オレはいい加減にしろとアッシュを振り払って、「それはそれとして、この舟がどこに向かってるかくらいは教えてもらっても?」


「統合機士団本部、だな。訓練地諸々もそこにある」


「日程は?」


「今夜、一度補給地点に向かう。そっから海を越えてくから……、概ねあと二日。それまではくつろいどけよ」

「了解」


 この先どうなるか不安でしかないが、束の間の平穏は享受しておこう。


「……そういや、美味えな、この飯」


「だろ? バトラーさんに感謝しとけよ。あの人のおかげで食事のたびに憂鬱にならずに済むんだから」


「あのバトラーさんが食堂を仕切ってるのか?」


「おう。ほら、あれ見ろ」言って、アッシュは厨房カウンターの上部を指差す。「あそこの写真。昔、夫婦で、アドベントにレストラン開いてたんだってよ」


 無駄に大きく、でかでかと飾られている写真の中では、バトラーさんが輝く笑顔でピースサインを繰り出しており、その妻であろう燃える髪の女性が気恥ずかしそうに顔を逸らしていた。

 店看板には『ファイアーワークス』と書かれており、それはこの食堂に掲げられている『ファイアーワークス2』という名前にも通じる。


「結局トラブって、店は畳んじまったみたいだけど、今はここで飯を作ってくれてる。聞いて驚け。当初はこの舟の食事、コストカットを追求しすぎて合成食料だったらしいぜ?」


「マジかよ」


 合成食料。

 今でこそ異形ヴァリアの肉が食用に流通しているが、それが発覚するほんの数十年前は、味も見た目も悪いの食事が一般的だったらしい。

 現在でも各国軍隊の携帯食料としては利用されているため、オレも「味」だけは覚えがある。


「で、その現状を知ったバトラーさんが、『命をかける兵士にその仕打ちはなんだ』って、自らの資産を使ってわざわざ艦内食堂を立ち上げてくれたんだ」


「すげえ人なんだな……」


 オレたちに勇気があるなんて、とんでもない。

 赤の他人を憂いて自らの人生を捧げることが、命をかけることと何が変わらないというのか。

 この飯は美味い。

 ただ、それだけではなく、想いで重い。


「なあ、アッシュ。ここに訓練施設的なとこってあるか?」


「当然。……なんだ? きたのか?」


「変な言い方すんじゃねえ。でもまあ、じっとはしてられなくなったかな」


 オレができることは。

 剣だ。



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