【解説】なぜ、証券なのか。
この2日、SECはBinanceとCoinbaseを告訴し、多くの通貨を証券と主張しました。
訴状を読み「SECの証券判定基準」を考察したので、以下の通り解説します。
PoSは全て証券?
投資家の利益をアピール
運営の努力をアピール
イーサリアムは大丈夫?
PoSは全て証券?
SOL,ADA,MATIC等のPoS通貨がアウト判定だったことから「PoSは全て証券」という声も聞こえてきます。
しかし固ツイの動画でも解説しましたが、それは論理的にあり得ません。
現に今回の訴状でも、取引所のステーキングサービス(Staking-as-a-service)は証券販売として指摘されてますが、ステーキング自体には何の指摘もありません。
また過去にSECは「(取引所等の)ステーキングサービスは証券だけど、ステーキング(PoS)という技術には中立だよ」とも発言してます。
なのでPoS通貨だからといって、即証券扱いになるわけがないのです。
現にETH,DOT,AVAX等のPoS通貨は触れられてません。
では一体、何が明暗を分けたのでしょうか?
投資家の利益をアピールしたか
証券判定の基準となる4要件(Howey Test)の中に、「投資家が利益を期待して買っているか」という項目があります。
そして最近の判例(LBTY)で、「投資家が利益を期待してるか=販売者が投資家の利益を煽って宣伝してるか」だということが示されました。
つまり、「投資家が利益を期待してるかどうか」は証明できないことであり、投資家の解釈次第なのでそこは重要ではなく、「運営(販売者)が利益を期待させるような言動をしているか」が判定基準になるということですね。
今回の訴状でも、この基準を意識した書き方が多く散見されます。
例えばSOLは「バーンによってデフレし、トークン価値を上がることがSolanaのWebサイトによって言及されている」ことが問題点として指摘されているし、
MATICでは「ステーキングによってユーザーが経済的なインセンティブを得ることをホワイトペーパーで記載されてる」ことを指摘されてます。
つまりPoSでステーキングできることは問題ないけど、「そのステーキングとかの利益を運営が投資家にアピールして販売してたらアウト」ってことですね。
運営の努力をアピール
このような「直接的に投資家に利益を期待させる言動」がなかったとしても、SECはアウト判定してる通貨もあります。
ADAやATOMなどがそうです。
直接的に、投資家に利益をもたらすことを宣伝文句としてトークンセールを行ってるわけではなく、あくまでガストークン(Dappsの手数料支払い手段)としてセールされた通貨ですね。
これらはなぜ訴えられているのか。
訴状を読むと、「運営が自分達の努力を投資家にアピールした上でトークンセールを行っている」ことが問題視されています。
つまり、「自分達の努力をアピールしてる時点で、トークンの値上がりを期待させてるに等しいやろ」ということです。
少し暴論にも思えますが、確かに、「そうじゃなかったら、何のためのアピールなのか」とも思えるので、.一理あるかも知れません。
ここは裁判でどのように判定されるか微妙だとは思いますが、
結局、運営の存在感が大きいほど、「投資家が他者の努力による利益を期待してる」とみなされ証券リスクが大きくなるということですね。
イーサリアムは大丈夫なのか?
上記2項目について、イーサリアムはどうなのか考えてみましょう。
「投資家の利益をアピールしたか」
イーサリアムはステーキングを導入してるし、バーンによるデフレも導入しています。
しかしながら、販売主体であるイーサリアム財団がこれらについて投資家に話すことはまずありません。
バーンに関して、開発コミュニティがジョークで「ウルトラサウンドマネー」とか言ってますが、イーサリアム財団が直接言うことはないですし、バーンはあくまで、「ガス代の安定化と処理速度のため」と説明されてます。
ギリギリ、ICOの時に、ホワイトペーパーにて「将来PoSに移行する」と書いてますから、ここが「投資家の利益に言及してる」とみなされる可能性はあります。
しかしながら、ETHのICOは「ガストークン目的の購入であって、利益目的ではないよね?」という同意書にチェックさせての販売としていたため、「投資家に利益を期待させてる」とはならないです。チェックした時点で「利益に期待するのは自己責任」となるため、投資家保護の観点で証券保護をする必要はないとなります。
なので、「投資家の利益をアピールしてる」には該当しないでしょう。
「運営の努力をアピールしてるか」
この観点ではどうでしょうか?
イーサリアムは当初から開発ロードマップが作成されており、アップデートされていくことが決まってました。
ただし、それはイーサリアム財団によるものではなく、オープンで自律的な開発コミュニティによるものです。
イーサリアム財団は助成金をほぼ無言で開発者に配ってるのみであり、自身の努力を投資家にアピールすることはありません。
少なくとも今や、イーサリアム財団がなくともイーサリアムの開発は進捗するまで開発コミュニティは分散してると考えられます。
こうした点を評価されて、2018年のSECディレクター、ヒンマンは「イーサリアムは証券ではない」とスピーチしてるのです。
(PoSになったからといって、それは変わる理屈はないです。)
なので、2つの観点どちらをみても、基本的にイーサリアムはセーフではないかと考えます。
少なくも、SECは今のところ、イーサリアムが証券に該当するような可能性を見つけられてないのだと思います。(流石に真っ先に調べてるはずだし、見つけてるなら絶対リストに入れてる。)
この先見つからない保証はないし、SECは保険のため、明言は避けてあいまいなままにするとは思いますが、イーサリアの証券問題に関してはかなりポジティブに考えて良くなったのではないでしょうか?
#BTC
#ETH
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まあ、結局のところ、
「真摯に分散して開発してるプロジェクト」はセーフで、
「運営がお金儲けに血走ってるプロジェクト」アウトってことですね。
SOLとかATOMは少しかわいそうな気がしますが・・。
まとめお疲れさまでした。
実に分かりやすいです
ETHのICOの件でちょっとお聞かせください
以前に「ETHのICOはスイス(?)で行われ、米国民は購入不可の規約があった」
なので米国証券法には抵触しない
と見聞きしました。
全財産さんの事実認識もそれであってますか?
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証券取引を提供するためには登録が必要なので、仮想通貨取引所がその登録を得ることができなければ、証券会社とかに変わったり買収されたりすると思います。
また発行主体は決算とかいろいろ開示しなくちゃいけなくなるし、何かとコストが膨大にかかるのでプロジェクトにはすごくマイナスです。
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見事な解説ありがとうございます。全イーさんは、お話途中にでていました、dotとavax をeth 同様の将来性を見込んでいますか?
最初のセールは割とマーケティングしてましたけどね。
その後は、「あくまでコミュニティの一員」の立場を貫いていたと思います。
証券対策の徹底もあっただろうし、何より「公共財」「オープンソース」という方針を徹底したかったんだと思います。
無価値とは言ってなかったかと笑
ATOMは何故証券認定されたんだろう、と考えていましたが理解できました。ちょっと判定が厳しすぎる気がしますが。
解説、ありがとうございます
わかりやすい解説、とても参考になります!
DOTは以前、
“証券ではなくソフトウェアになりました” と呟いていました。
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SECのバイナンス訴訟において有価証券認定の疑い
BNB、BUSD、SOL、ADAMATIC、ATOM、ALGO、AXS、SAND、MANA、FIL、COTI
コインベース訴訟において有価証券の疑い
SOL、ADA、MATIC、SAND、CHZ、ICP、NEAR、DASH
CoinMarketcapのベスト20の暗号資産で該当なしは
BTC、ETH、DOT、TORN、AVAX、SHIBA、LEO
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Watcher.Guru
@WatcherGuru
JUST IN:
Gary Gensler applied to serve as an advisor for #Binance
in 2019 before becoming SEC Chair, court filing says.
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