北海道のアイヌ、10年余で4割減 実態反映せず
北海道の調査で把握できたアイヌ民族の人数が2017年までの10年余りで4割以上減った。アイヌを名乗り調査に協力する人が減ったことが主な理由で、実際の人数とは合致しない。専門家らは「アイヌが減ったと誤解され、支援も先細りになる恐れがある」と懸念する。
主に道アイヌ協会の会員を対象に調査を行い、アイヌと自認する人の数を市町村ごとに集計。06年まで2万4千人前後で推移していたが、13年に約1万7千人に急減。17年調査では約1万3千人にとどまった。
協会の会員自体が06年の約3800人から千人以上減り、道が把握する人数に大きく影響している。阿部一司副理事長は「把握できなかったアイヌは、存在しないことにされてしまう」と危惧する。道アイヌ政策課は、協会の会員減少に加えて「個人情報保護の意識が高まり、調査に協力する人が減った」とみる。
道は「アイヌ生活実態調査」を1972年から数年ごとに実施。同化政策と差別にさらされたアイヌの生活を改善するため所得や進学率、必要とする施策などを調べている。「アイヌの血を受け継いでいるとみられるか、結婚などでアイヌと同一の生計を営んでいる人」を対象とし、条件に当てはまっても自分をアイヌとするかどうかは本人の判断に委ねられる。〔共同〕