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　戦傷により記憶を失ったキサラギ・ヒロ少年は、大国アドベントの端の山小屋で、命がけで救った少女とともに過ごしていた。

　入院費用とマイホームローンによって高額の借金を背負った彼ら。ヒロは国の花形・冒険者として、親友のアッシュとパーティーを組んで都市外へ。レインは街の酒場であくせくと働きつつ、ありふれた日常を楽しむ、と。充実した日々を送っていた。

　そんなある日、ヒロは、レインと顔がそっくりの「少年」と出くわす。

　傲岸不遜で上から目線な彼はニアと名乗り、国の最高位冒険者（ランク５）であった。彼はヒロに、「おれの奴隷になれ」、もといパーティーを組むことを要求してくる。

　驚きはしたものの悪い人間ではないことから暫定的に仲間となり、都市外に蔓延る異形（ヴァリア）の討伐する依頼（クエスト）をこなしていた。

　しかし突如、ニアが依頼（クエスト）に参加することがめっきりと減り、同時に幼い子供が謎の男女に誘拐されるなど不審な事件が目立ち始める。それはやがて、ニアが親しくしている家族の娘・アイネにまで及んだ。

　ブーストマン計画という教科人間を作り出すという陰謀に巻き込まれたアイネを救うと引き換えに、実験体になることを了承したニアは、ヒロが引き留めるのを振り払い、敵の元へ降る。

　その最大の理由は、絶級冒険者（ランク５）序列七位のニアでは、その敵である第四位のフェイリスに敵わないからであった。

　ニアにさえ力及ばない自分では彼を助けることはできないと、一度心が折れたヒロだったが、彼が助け出したアイネの一言で気概を取り戻す。

　アッシュとレインに自分の意志を伝え、協力を要請。情報の入手、フェイリスを開いて取る対策を一週間で入念に準備し、調べ上げたアジトへと潜入する。

　潜入自体はアッシュの変身魔法等を駆使して上手くいったものの、結局、ヒロはフェイリスと接敵。

　圧倒的手数の遠距離攻撃に苦しめられるも、地形や実験中のニア自体を人質に取る形で、戦況を有利に進める。

　最終局面では仕込まれたトラップに殺されかけるも、変身魔法を利用したアッシュの不意打ちにより致命打を与え、倒すことに成功。

　そうして、実験室で拷問に近い仕打ちを受けていたニアを救い出すが、拘束を解いたその先には女の子の体が。

　疑問をさておき屋敷を脱出した直後、ニアのあるはずの少年は、「ニアの双子の妹、メアだ」といきなり名乗り出した。

　ヒロは真相を問うことをあえてせず、ニア改め、メアをアイネたちの家まで送り届けた後、戦闘の影響で力尽き、ぶっ倒れた。

　やがて行きつけになってしまったジェーンの治療院で目が覚めて、お見舞いに来たニアとメアから、それぞれのお礼とともに、「奴隷失格」という言葉をもらう。

　そして、ヒロはありふれた日常に戻っていく……はずだったのだが——。

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