そして昨年3月には、地方創生をコンセプトにした自前のテレビ局『BSよしもと』を開局した。地域の活性化や課題解決のヒントとなる番組をBSの全国ネットで放送すると共に、スマホやパソコンでも同時配信している。
「どうしよう、今更テレビといっても70年間お世話になった地上波の放送局さんに『なんで吉本がそんなんすんねん』と言われてもいかんし、(地上波の放送局は)株主さんやし、ご迷惑をかけてもいかんし、止めといた方がいいよな。
基本はなあ、無理したってしょうがないしと言いつつ、地方の明るいニュースを日本国中にと考えたらどこもしてないので、そこは僕らのやる役目にして。
地上波に使ってもらえないその手前の若い芸人の子たちとか、地上波にも使ってもらえない年配の歳いった芸人さんとかも出してあげたら、ちょうどいいんじゃないかなみたいな発想ですかね。
やっぱり地方のローカル局さんとか、ローカルメディアがすごく頑張っておられるし、ドキュメンタリーやニュース番組で、きちんと人脈を作られているので。
ただそのことが全国放送ではないので、そこをなんとか、地方のニュースとか地方の楽しい情報を日本中に広めることができたらなって思っています。そういう意味ではBSといえども全国放送で、ましてスマホで無料で観られるっていうのは、凄いことだなと思ったので」
『BSよしもと』は「一番組一起業」
BSよしもとの放送局としてのビジネスモデルはユニークだ。平日の23時以降と土曜日、日曜日以外は基本的に、民放の主な収益源となるCMを入れていないのだ。
ではどの様にしてお金を稼ぐのか。BSよしもとの公式HPには『番組が新たなビジネスや雇用を生み、ひとつの事業となる「一番組一起業」を目的としたチャンネル作りを目指します』と書かれている。
「一番組一起業」というのは、1つの番組から1つの事業を起こして、そこから新しい形で収益を生み出していくという考え方だ。例えばその事業の株式を上場して上場益を得る形などを想定しているという。
『今日のニュース、こんな情報はこうです』だけで終わっていて、それをどう事業化して行くかという視点がほとんどないので。そこは普通の放送局さんの情報番組とは違うんやから、それをどう転がしていくか。
『番組作りで違う目で、どう事業化するかということを全員が見なあかんと思うねんけどな』ということをこの1年弱言うて来て、100回ぐらい言うたつもりやけど。2週間ぐらい前(今年1月中旬ごろ)にやっと何となく理解してもらえたかなというぐらいの感じで。
稲垣(BSよしもと社長)以下みな楽しそうにやってるんで、まあ数字的にはねいろんなことが大変でワチャーという感じなんですけど。楽しそうにやってるからまあエエかと思ってるんですけどね。それ以上ああやこうや言うてもしゃあないしね。現場が一番分かってるはずやし」