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製造業DX推進のカギは、作業者にもAIにも優しいウェアラブルデバイス(前編)

この記事では…

「コネクテッドワーカー事業」を展開するFairy Devices(フェアリーデバイセズ)の製品開発について紹介する。(前編)

(執筆:小林由美)

現在の国内製造業では、これまでの成長期を支えてきた熟練者たちの引退ラッシュや、今後ますます加速する少子高齢化問題を背景とし、人手不足への対応や後継者育成が喫緊の課題となっている。

これまで「俺の背を見て育てよ」とOJT中心の教育文化が広まっていた製造業では、作業のマニュアル化が進んでいない領域が多く存在する。画像やテキストのマニュアルで完全に表現することが難しく、数値化も困難である技能や業務が多いことが大きな理由だ。長く経験を積んだ熟練者の頭の中だけにあるような技能、文章や言葉などで伝えづらい技能を、どう後世に伝えていくか、その手段がネックとなっている現場が多い。

そうした課題感から動画マニュアルの活用にも注目が集まるが、技能についてうまく伝えるにはやはり工夫が必要である。またその際は、そもそも「誰が動画を作るのか」といった問題や、外注費用などのコストの問題もある。

そうした現場の課題に着目したのが、「コネクテッドワーカー事業」を展開するFairy
Devices(フェアリーデバイセズ)だ。コネクテッドワーカーは、「現場の作業員が、負荷なく、いつでもインターネットにつながる」という考え方であり、現場作業のリアルタイム遠隔支援、熟練工スキルのデジタル化による技能伝承に加え、現場移動や事務作業などの非コア業務削減による効率化を目指す、DX(デジタルトランスフォーメーション)の在り方の1つであるという。

同社が、その事業の一環で開発したウェアラブルデバイス「THINKLET」は、5つのマイク(マイクアレー)、スピーカー、デジタル広角カメラの他、第4世代LTE通信とWi-Fi通信(2.4GHzおよび5GHz)など豊富な機能を有する。

「THINKLET」

THINKLETは、同社のAPI/システムを活用することで、ユーザーの首元から音声や映像を記録できる。

さらに遠隔にいる人たちと記録している状況をリアルタイムに共有しながら会話もできる。資料などを参照しての会話になる場合は、THINKLETを身に付けている本人は、別途用意しておくスマートフォンやタブレット端末の画面を利用することになる。

収集したデータはAIによる業務支援やデータ分析にも利用可能だ。同社の「mimi」などの音声AIと連携することで、リアルタイムで取得している話し声のデータから文字起こしデータを画面に表示でき、映像と共にテキストデータも保存可能だ。

フェアリーデバイセズ 取締役CSOの竹崎雄一郎氏:首元のデバイスがTHINKLET。

フェアリーデバイセズ 取締役CSOの竹崎雄一郎氏は、「言葉が文字で見えることは非常に大事です。後から、テキストをベースに動画も検索できるようになり、振り返りがしやすくなるためです」と文字起こし機能の有効性について述べている。文字起こし機能については、フェアリーデバイセズのサポートを活用すれば業界や現場ごとの用語や独自の言い回しのカスタムも行える。

こうした機能をシステム化すれば、作業担当者がTHINKLETを付けて作業をしながらその場で指導を受けたり、打ち合わせをしたり、作業マニュアルを作ったりといったことが、業務を邪魔することなく簡単に行えるようになる。

更に熟練工にTHINKLETを装着したまま作業をしてもらうことで、遠隔の拠点などにいる人にも作業指導が行える他、モーションキャプチャーと映像のデータから作業分析を行って熟練担当者による効率の良い作業を可視化するような仕組みを構築することも可能となる。

デバイスの形式として、グラスやヘッドマウントディスプレイ(HMD)タイプを選ばなかった理由について、竹崎氏はこのように語る。「人の頭は30~40g程度でも負担感のある重さを感じます。また、グラスやHMDを頭部に装着すること自体をユーザーが邪魔に感じることも多々あります。一方、THINKLETは首にかけることで、170g程度の重量をほとんどユーザーに感じさせることなく利用できるようになっています」

業務時間中にずっと付けていても疲れないよう、首掛け型デバイスになっているという。「つけたままで休憩に行ったり、退社したりしてしまいそうになったという声も実際に聞こえてきます」(竹崎氏)

THINKLETを用いたコネクテッドワーカー事業は、2019年からダイキン工業との共同プロジェクトを第一弾として開始。ダイキン工業における空調機器の保守点検やメンテナンスなどのサービス業務での、作業効率向上と品質向上を目指し展開している。

またTHINKLETを誰もが購入翌日からより簡易に扱えるように、Web会議システムである「Zoom」「Microsoft Teams」と連携したライブストリーミングが行える「LINKLET」サービスを搭載し、2022年1月に米国ラスベガスで開催された家電の国際展示会「CES
2022」で披露。CES 2022 Innovation Awardsを「Wearable Technologies」「Streaming」「Digital Imaging/Photography」の3部門で獲得している。その後、2022年4月よりLINKLETサービスも一般提供を開始した。

(後編へ続く)

フェアリーデバイセズ株式会社

フェアリーデバイセズ株式会社は、「使う人の心を温かくする一助となる技術開発」を目指し、VUI・VPA b関連技術や音声認識/音声翻訳関連技術とクラウド基盤、それらの性能を活かすエッジデバイスの開発を通して、音声技術を中心とした機械学習技術の実業務現場への適用を推進。さらに、現場の人から生まれる各種のデータ解析や、それらに関わる最先端の応用研究を実装した業務ソリューションを、デバイスからクラウドまで一気通貫で提供することによって、さまざまな業界のデジタルトランスフォーメーションを支援しています。
⁠URL:
https://fairydevices.jp/

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