走って撮って 僕ら「撮りバス」 大好きな車体追いかける長野の26歳【フォトジェニック~わたしのリアル~】【動画付き】
新緑がまぶしい5月中旬、長野市の戸隠中社から長野駅へ向かうバスを途中で待ち構えていた宮沢和輝さん(26)=長野市浅川=はカメラを手に気持ちを高ぶらせていた。バスの姿が後方に見えると「来たぞ!」。バスの写真撮影が好きな「撮りバス」の仲間と一斉にレンズを向けた。
春先、長野駅前を走るバスに向けてカメラを構える若者の集団に会った。全員が10代後半から20代半ば。彼らをまとめるのが宮沢さんだった。
「917きたよ」「あれ激アツのやつだわ」。アルピコ交通(松本市)や長電バス(長野市)のバスがみんな大好きだ。ナンバーで車体を呼び、それぞれお気に入りがある。宮沢さんが「嫁ちゃん」と呼ぶのは長野市を走るアルピコ交通の車体。彼と同じ1997年生まれという。横浜市で活躍後、長野市で10年以上走り続ける車体は年季が入っており、「雨の日も雪の日もたくさんの人を運んできた証し」と温かいまなざしを送る。
小学1年の頃に栃木県から移り住み、自宅前を走るバスに見とれた。小中学校時代は集団行動が苦手で教室に通わず別室で自習した。塾や買い物で乗っていたバスの運転手が親身になって身の上話を聞いてくれたこともあり、居心地の良さを覚えてさらにバスが好きになった。
「撮りバス」仲間はイベントや知人の紹介で出会った人が多い。声をかけ合って行動を共にし、県外にも遠征。車で先回りし、バスを撮っては追いかける。
進路妨害やストロボをたくのは厳禁だ。長電バスの運転手、宮尾暁俊(あきとし)さん(40)は「写真を撮るときは運転手に断りを入れたり、なるべく視界に入らないような位置で撮影したりとマナーの悪さがない。バスに情熱を持っている」とほほ笑む。
運転手の顔なじみがたくさんいる宮沢さんは「バスは家族みたいなもの」。季節感に合わせた一枚を撮るか、それともレアものを狙うか―。さあ、あすはどこに行こう
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