高1の時、よくバイクで荒川
土手の階段を駆け下りたり、
土手の斜面を駆け上がったり
して遊んだ。
高1の時の彼女と電車に乗って
いる時、鉄橋上から外を指して
「あの階段よくバイクで下りる
んだぁ」と言ったら、中学の
時にバスケ部で一緒だった仲が
良かった大学附属に通う彼女は
「ええっ?」
と驚いていた。(オートバイの
後ろに初めて乗せた女性はその
彼女だった。16才の時、二人で
栃木県のほうまで日帰りツーリ
ングにも行った)
だが、オフ車で階段を下りるの
などは造作ない事だ。
ロードモデルでは苦しい。
なので、仮面ライダーもロード
シーンではロードモデル改造車
だが、オフロードシーンでは
いきなりサイクロンがオフ車
になっていた(笑
今グーグルマップで確認すると、
短いほうと長いほうの両方の階
段がまだ残っていて、なんだか
懐かしくなった。短い階段の
ほうが急斜面で難しかったり
する。
ただ下りるのではない。自分が
思い描いたようなライディング
で下りるのだ。でないと練習の
意味がない。
荒川土手は私のバイクの練習
場だった。
いろんなことを徹底的にやって
オートバイのコントロールを覚
えた。
誰かに教わったのではない。
自分で考えながら乗った。
乗っては考え、下りては考え。
ウイリーやアクセルターンを覚
えたのもこの河川敷だったし、
何よりも「タイヤを滑らす事」
の感覚が身に着いたのがこの
土手っぷちだった。
その後間もなく1970年代後半期
からロードモデルで峠を走り出
すのだが、この河川敷での学習
が非常に役に立った。
ここで操縦を楽しんで私にオー
トバイの魅力を教えてくれた
マシンはモトクロッサーのよう
な完全なオフロード車ではなく、
ミニタイプのカワサキMS90
だった。
ヤマハでいうとミニトレのよう
なカワサキのMS90。とてもよく
走るキビキビとした元気の良い
バイクだった。
これ。
この90ccのバイクはホントに
可愛かった。
これでオートバイの操縦方法を
覚えたし、いろいろな土地に出
かけるオートバイのプチ旅行の
醍醐味を覚えた。
見知らぬよその土地に自分の足
で赴くことは、16才の少年に
とっては画期的なことだったのだ。
多くの土地で多くの出会いがあり、
多くの物事を知ることができた。
すべてオートバイに乗って外に
走り出したからだった。
MSは同排気量クラスでは最高の
速度と加速性を持ったオートバイ
だったが、最高速よりも出足の
瞬発力の良さが楽しかった。
このカワサキは大好きだった。
カブを除けば、初めて自分で運転
したギア付車はヤマハミニトレ
だったが、二輪の本当の楽しさ
はカワサキが教えてくれた。