国際協力活動について考える講演会が4日、佐賀市の佐賀商工ビルで開かれ、認定NPO法人あおぞらの理事長で医師の葉田甲太氏(東京)が講師を務めた。カンボジアで病院を建設して新生児を救う活動を取り上げ、「笑顔を見たいという自分の原点を忘れないよう行動している」と語った。
葉田氏は、カンボジアで貧困のため病院に行くのが遅れた新生児が亡くなったり、タンザニアで病院が少なくて母親が出産時に命を落としたりしたケースに立ち会ったことを振り返り、「救えた命だったとずっと心に残っている」と吐露。政府や現地の人たちと連携して両国に病院を建設し、新生児の治療や蘇生法を講習したことも説明した。
新型コロナウイルスの影響で現地に行けなくなったが、「行動しないと誰かが亡くなってしまう」と考え、京都大などと連携して新生児蘇生法を訓練するシステムを開発したことも紹介。ブータンで遠隔講習を実施している状況を示し、「指導者を養成し、現地の人が命を救える仕組みをつくりたい」と述べた。
講演会はJICA九州が主催し、佐賀県国際交流協会が共催。50人が耳を傾けた。(北島郁男)