ゼレンスキー大統領、NATO加盟まで「安全保証」要求 ウクライナ侵攻 Think! ヨーロッパ 6月1日 【パリ=北松円香】ウクライナのゼレンスキー大統領は1日、ウクライナは北大西洋条約機構(NATO)への加盟と「加盟までの安全の保証」が必要だと述べた。モルドバ中部ブルボアカで開催された欧州政治共同体(EPC)の首脳会議で発言した。欧州連合(EU)への加盟についても「明確で前向きな決定」を訴えた。 EPCの首脳会議は2022年10月のプラハ開催に続き2回目。EUの枠を超えて欧州各国の連携を促すために ゼレンスキー大統領、NATO加盟まで「安全保証」要求 小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 これは昨年以来、ウクライナとNATOの間で話し合われてきたもので、9月には「キーウ安全保障協約」案という素案もまとまっています。これを実際に政策として実装するかどうかが今年7月のリトアニアにおけるNATO首脳会合の大きなテーマとなるでしょう。問題は、「ウクライナに対する軍事援助と安全保障」が「占領下の領土の放棄」とセットになる可能性でしょう。この場合、ウクライナは簡単に飲まないでしょうし、飲んだら飲んだで戦争の先行きは大きく変わってきそうです。
小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 これは昨年以来、ウクライナとNATOの間で話し合われてきたもので、9月には「キーウ安全保障協約」案という素案もまとまっています。これを実際に政策として実装するかどうかが今年7月のリトアニアにおけるNATO首脳会合の大きなテーマとなるでしょう。問題は、「ウクライナに対する軍事援助と安全保障」が「占領下の領土の放棄」とセットになる可能性でしょう。この場合、ウクライナは簡単に飲まないでしょうし、飲んだら飲んだで戦争の先行きは大きく変わってきそうです。
ロシア各地に攻撃、ウクライナは直接関与否定 ウクライナ侵攻 Think! ヨーロッパ 5月31日更新 【ウィーン=田中孝幸】ロシアのウクライナ侵攻による戦闘が、首都モスクワを含めたロシア本土に波及し始めている。30日のドローン(無人機)によるモスクワの住宅地などへの攻撃に対してプーチン大統領が報復を示唆したが、ロシア当局によると31日にも南部の製油所にドローン攻撃があった。ウクライナ側が近く開始する領土奪回に向けた大規模反攻を前に、双方の攻防は激化している。 「ウクライナの政権は住宅への攻撃でロ ロシア各地に攻撃、ウクライナは直接関与否定 小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 ウクライナはロシアの侵略を受けている側であり、一方的にやられるだけでなく反撃する権利もあると思います。ただ、政治経済軍事中枢への攻撃はまだしも、今回のようにレーニン大通りやプロフソユーズナヤ地区(私も住んでました)といった民間人居住エリアに落ちるのはまずい。本来のターゲットではなかったとしても、途中落下して民間人が死亡すればウクライナに対する国際社会の風当たりは強くなるでしょう。この辺のリスクをウクライナがどこまで計算してやっているのか、非常に気になるところです。
小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 ウクライナはロシアの侵略を受けている側であり、一方的にやられるだけでなく反撃する権利もあると思います。ただ、政治経済軍事中枢への攻撃はまだしも、今回のようにレーニン大通りやプロフソユーズナヤ地区(私も住んでました)といった民間人居住エリアに落ちるのはまずい。本来のターゲットではなかったとしても、途中落下して民間人が死亡すればウクライナに対する国際社会の風当たりは強くなるでしょう。この辺のリスクをウクライナがどこまで計算してやっているのか、非常に気になるところです。
EU外相「ウクライナ軍のF16訓練、複数国で始まった」 ウクライナ侵攻 Think! ヨーロッパ 5月23日 【ブリュッセル=辻隆史】欧州連合(EU)の外相にあたるボレル外交安全保障上級代表は23日、ウクライナ軍への米国製戦闘機「F16」の供与に関し、パイロットへの訓練がすでに始まったと明らかにした。ポーランドなど複数の国で実施していると記者団に語った。 ボレル氏はウクライナ軍パイロットへの訓練について「ついにいくつかの国で始まったことをうれしく思う。時間はかかるだろうが、早ければ早いほどよい」と述べた EU外相「ウクライナ軍のF16訓練、複数国で始まった」 小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 訓練が本当にもう始まっているのかはまだはっきりしません。ただ、米空軍によると、ウクライナのパイロットがF-16に機種転換するための最短期間は4ヶ月。ということは、もう訓練が始まっていたとしても9月の終わりまでかかるということですから、F-16は長期的なウクライナの戦力強化に資するもの、という位置付けなのでしょう。秋まで反転攻勢を遅らせる、という可能性もないではありません。昨年もウクライナは6月くらいから反転攻勢について口にしつつ、実際に発動したのは9月でした。待つことのメリット(戦力強化)とデメリット(イライラするスポンサーたち、ロシア軍の再編等)を天秤にかけて発動時期を決めるのでしょう。
小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 訓練が本当にもう始まっているのかはまだはっきりしません。ただ、米空軍によると、ウクライナのパイロットがF-16に機種転換するための最短期間は4ヶ月。ということは、もう訓練が始まっていたとしても9月の終わりまでかかるということですから、F-16は長期的なウクライナの戦力強化に資するもの、という位置付けなのでしょう。秋まで反転攻勢を遅らせる、という可能性もないではありません。昨年もウクライナは6月くらいから反転攻勢について口にしつつ、実際に発動したのは9月でした。待つことのメリット(戦力強化)とデメリット(イライラするスポンサーたち、ロシア軍の再編等)を天秤にかけて発動時期を決めるのでしょう。
ウクライナに自衛隊車両を100台提供 岸田首相が表明 G7広島サミット ウクライナ侵攻 Think! ヨーロッパ 政治 外交・安全保障 5月21日更新 岸田文雄首相は21日、広島市内でウクライナのゼレンスキー大統領と会談した。ゼレンスキー氏はロシアによる侵攻で主要7カ国(G7)が表明したウクライナ支持を「一生忘れることはない」と語った。「核兵器のもたらす被害の甚大さを再認識した」とも述べた。 会談は平和記念公園内の会議場で開いた。首脳会談は首相が3月にウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪れて以来、およそ2カ月ぶりだ。 首相は日本独自の新たな支援 ウクライナに自衛隊車両を100台提供 岸田首相が表明 小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 今回供与されるのは、平たくいうとトラック二種類(装輪型・装軌型)と軍用四輪駆動車です。ということは今回も殺傷性兵器の供与を日本は見送ったわけですが、国民的な議論を経ていない以上、これは仕方ないのではないでしょうか。実際問題として軍隊というのはこの種の車両を大量に必要とするものではありますから、今回は殺傷性兵器を供与に至らない範囲内でそれなりに役立つものを選んでこうなったのだと思います。あとは噂されている解散総選挙で、日本としてウクライナ支援にどこまで踏み込むか、きちんと議論した上でやるべきことでしょう。
小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 今回供与されるのは、平たくいうとトラック二種類(装輪型・装軌型)と軍用四輪駆動車です。ということは今回も殺傷性兵器の供与を日本は見送ったわけですが、国民的な議論を経ていない以上、これは仕方ないのではないでしょうか。実際問題として軍隊というのはこの種の車両を大量に必要とするものではありますから、今回は殺傷性兵器を供与に至らない範囲内でそれなりに役立つものを選んでこうなったのだと思います。あとは噂されている解散総選挙で、日本としてウクライナ支援にどこまで踏み込むか、きちんと議論した上でやるべきことでしょう。
ロシア、9日に戦勝記念日 軍事パレードなど縮小 ウクライナ侵攻 Think! ヨーロッパ 5月8日 ウクライナ侵攻を続けるロシアは9日、第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日を迎える。モスクワ中心部の「赤の広場」ではプーチン大統領の演説や軍事パレードの開催が予定される。ウクライナ軍が今後反攻に出るとみられるほかロシア各地でドローン(無人機)による攻撃が相次いでおり、厳戒態勢での実施となる。 9日午前(日本時間夕方)にプーチン氏が式典で演説し、軍事パレードを実施する見通し。ウクライナの戦地ではこのと ロシア、9日に戦勝記念日 軍事パレードなど縮小 小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 これまで行われたリハーサルの映像を見るに、装甲戦闘車両がほとんど出ない寂しいパレードになりそうです。ここ数年続いてきた市民行進「不滅の連隊」や、大統領と従軍経験者の懇談会も取りやめとのこと。また、モスクワ以外では21の都市でパレード開催が取りやめとなりました。他方、当初は外国首脳の出席なしと発表されていたものが、土壇場でかなりの旧ソ連諸国首脳の参加が決まったと見られています。戦争で成果が出せていない中、戦勝記念日はなるべくひっそりやってしまおうという思惑かと思っていたのですが、ここで急に積極外交に転換した(ように見える)理由はなんなのか気になります。
小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 これまで行われたリハーサルの映像を見るに、装甲戦闘車両がほとんど出ない寂しいパレードになりそうです。ここ数年続いてきた市民行進「不滅の連隊」や、大統領と従軍経験者の懇談会も取りやめとのこと。また、モスクワ以外では21の都市でパレード開催が取りやめとなりました。他方、当初は外国首脳の出席なしと発表されていたものが、土壇場でかなりの旧ソ連諸国首脳の参加が決まったと見られています。戦争で成果が出せていない中、戦勝記念日はなるべくひっそりやってしまおうという思惑かと思っていたのですが、ここで急に積極外交に転換した(ように見える)理由はなんなのか気になります。
激戦地でロシア兵2万人死亡、半数がワグネル 米政府 ウクライナ侵攻 バイデン政権 Think! ヨーロッパ 北米 5月1日 【ワシントン=坂口幸裕】米政府高官は1日、ロシアが侵攻するウクライナ東部ドネツク州の最激戦地バフムト周辺などで2022年12月以降に2万人以上のロシア人が死亡したとの推計を示した。その半数がロシアの民間軍事会社「ワグネル」の戦闘員だと明らかにした。 ロシア軍は猛攻をかけているバフムトの陥落に至っていない。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は1日、記者団に「バフムトでの大規模な攻 激戦地でロシア兵2万人死亡、半数がワグネル 米政府 小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 バフムト周辺では昨年から激戦が続いてきましたが、その中でロシア側の損害がかなりの規模に上っているようです。ウクライナ側も元々バフムト固守の理由を「ロシアに損害を強いるため」としています。とすると、ウクライナとしてはロシア軍が損害から立ち直って再編成する前に反攻作戦を実施したいはずですし、気温が上がって地面が固まりつつある今がチャンスと考えているのでしょう。他方、ロシアは昨年動員した30万人の全部を戦場に投入したわけではないとみられているので、ウクライナ軍は反攻に動けば手薄になった地域に新たな攻勢をかける可能性もあります。いずれにしてもこの戦争はまだしばらく続く公算が大きいと思います。
小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 バフムト周辺では昨年から激戦が続いてきましたが、その中でロシア側の損害がかなりの規模に上っているようです。ウクライナ側も元々バフムト固守の理由を「ロシアに損害を強いるため」としています。とすると、ウクライナとしてはロシア軍が損害から立ち直って再編成する前に反攻作戦を実施したいはずですし、気温が上がって地面が固まりつつある今がチャンスと考えているのでしょう。他方、ロシアは昨年動員した30万人の全部を戦場に投入したわけではないとみられているので、ウクライナ軍は反攻に動けば手薄になった地域に新たな攻勢をかける可能性もあります。いずれにしてもこの戦争はまだしばらく続く公算が大きいと思います。
中国の偵察気球、本土へデータを即時送信か 米報道 Think! 北米 中国・台湾 4月4日 【ワシントン=中村亮】米NBCテレビは3日、2月に米本土へ飛来した中国の偵察気球がデータをリアルタイムで中国本土に送っていたと報じた。野党・共和党はバイデン政権の対応が後手に回ったとして追及を強める構えだ。 NBCテレビによると、偵察気球は米本土の軍事基地の上空に飛来し、兵器システムや基地にいる人々の通信から得られる電気信号を通じて情報を集めていた。米国防総省は機密情報が漏れないよう対策を講じた 中国の偵察気球、本土へデータを即時送信か 米報道 小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 気球では精密な航法ができないので画像情報収集の用途は考えにくく、おそらくは電波情報収集用だろうということが早くから言われてきましたが、このような見方を裏付ける発表ですね。複数種類の気球が撃墜されているので、一つの編隊として広い範囲をカバーしながら飛んでいたのではないでしょうか。ただリアルタイムで情報を送っていたかどうかはその種の設備の有無を見ればわかるはずで、この辺は国防総省も言いたくないことがあるのではないかな、と思いました。
小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 気球では精密な航法ができないので画像情報収集の用途は考えにくく、おそらくは電波情報収集用だろうということが早くから言われてきましたが、このような見方を裏付ける発表ですね。複数種類の気球が撃墜されているので、一つの編隊として広い範囲をカバーしながら飛んでいたのではないでしょうか。ただリアルタイムで情報を送っていたかどうかはその種の設備の有無を見ればわかるはずで、この辺は国防総省も言いたくないことがあるのではないかな、と思いました。
ロシア、北朝鮮から弾薬調達を計画 食糧と引き換え ウクライナ侵攻 北朝鮮 Think! 朝鮮半島 ヨーロッパ 北米 3月31日 【ワシントン=芦塚智子】米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は30日、記者団に対し、ウクライナ侵攻を続けるロシアが北朝鮮から追加の弾薬獲得を試みているとの新たな情報があると明らかにした。ロシアは北朝鮮に代表団を派遣しようとしており、弾薬と引き換えに食糧の提供を申し出ているとの認識を示した。 カービー氏は「北朝鮮とロシアの間のいかなる兵器取引も一連の国連安全保障理事会決議に直接違反 ロシア、北朝鮮から弾薬調達を計画 食糧と引き換え 小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 昨年秋の段階では、北朝鮮からロシアへの弾薬供給は「可能性」として語られていたわけですが、今回のカービー発言では「すでに一度大規模な弾薬供与があって、今回は追加である」という前提ですね。具体的なブローカーの情報なども開示しており、相当の確信を持っているように見えます。ただ戦場では北朝鮮製弾薬の残骸が回収されたという報告は今のところ見られないようです。
小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 昨年秋の段階では、北朝鮮からロシアへの弾薬供給は「可能性」として語られていたわけですが、今回のカービー発言では「すでに一度大規模な弾薬供与があって、今回は追加である」という前提ですね。具体的なブローカーの情報なども開示しており、相当の確信を持っているように見えます。ただ戦場では北朝鮮製弾薬の残骸が回収されたという報告は今のところ見られないようです。
対ロシア戦、退路断つ米国 停戦より「勝利」を追求へ 秋田 浩之 バイデン政権 Think! Deep Insight 3月6日 ドイツ南部の都市ミュンヘンは、平和が壊され、世界が第2次大戦に向かう転機を目の当たりにしてきた。 1920年代、ヒトラーがナチ党の足場を築いた。38年にチェンバレン英首相がヒトラーと会談し、融和の誤りを犯したのもミュンヘンだった。 そして2023年2月17〜19日、主要国の要人が顔をそろえ、ミュンヘン安全保障会議が開かれた。焦点になったのは、言うまでもなくロシアのウクライナ侵略だ。大戦の淵にある 対ロシア戦、退路断つ米国 停戦より「勝利」を追求へ 小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 逆にいうと、これだけの覚悟を固めながら、米国は大規模な戦車供与(今のところ決まっているのは31両だけ)に踏み切れず、戦闘機やATACMSミサイルの供与も拒否せざるを得ないくらいロシアの核使用を懸念しているということなのでしょう。とはいえ適時に思い切った軍事支援を行わないと、政治的覚悟だけがいくらあっても戦争が長引く可能性が高いことは記事中にある通りで、このあたりをバイデン政権がどう考えるのか気になるところです。
小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 逆にいうと、これだけの覚悟を固めながら、米国は大規模な戦車供与(今のところ決まっているのは31両だけ)に踏み切れず、戦闘機やATACMSミサイルの供与も拒否せざるを得ないくらいロシアの核使用を懸念しているということなのでしょう。とはいえ適時に思い切った軍事支援を行わないと、政治的覚悟だけがいくらあっても戦争が長引く可能性が高いことは記事中にある通りで、このあたりをバイデン政権がどう考えるのか気になるところです。
ウクライナ侵攻1年 ロシア、20世紀型大国の落日 ウクライナ侵攻 Think! ヨーロッパ 2月23日更新 【この記事のポイント】・短期間での政権打倒を想定したロシア、長期化は誤算・資源や軍事力など「20世紀型大国」の行き詰まり示す・台湾海峡をめぐる東アジアの安全保障にも影を落とす ロシアがウクライナへの軍事侵攻を始めて24日で1年となった。短期間での政権打倒と全土の制圧は容易と見誤り、長期化した戦争の現状は20世紀型の大国であるロシアの行き詰まりを示す。侵攻は核抑止の均衡を揺さぶり、台湾海峡をめぐる東 ウクライナ侵攻1年 ロシア、20世紀型大国の落日 小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 20世紀型大国としてのロシア、という視点は非常に的確だと思います。特に現代的な価値観についていけず、空回りをしているのがロシアなのかもしれません。しかし、この戦争の戦闘局面は優れて20世紀的です。とすると、20世紀型大国であるロシアの実力は依然侮れません。特に戦時動員体制、巨大で非効率的な軍需産業、大量の予備兵器などは時代遅れと見られていたわけですが、実際に巨大戦争が起こってみると、非常に役に立っています。近代的なものとポスト近代的なものが入り混じる現代においては、どのような歴史の断層と出くわすのかによって国家や社会のモデルの効用が大きく変わるのではないでしょうか。
小泉悠 東京大学先端科学技術研究センター 専任講師 20世紀型大国としてのロシア、という視点は非常に的確だと思います。特に現代的な価値観についていけず、空回りをしているのがロシアなのかもしれません。しかし、この戦争の戦闘局面は優れて20世紀的です。とすると、20世紀型大国であるロシアの実力は依然侮れません。特に戦時動員体制、巨大で非効率的な軍需産業、大量の予備兵器などは時代遅れと見られていたわけですが、実際に巨大戦争が起こってみると、非常に役に立っています。近代的なものとポスト近代的なものが入り混じる現代においては、どのような歴史の断層と出くわすのかによって国家や社会のモデルの効用が大きく変わるのではないでしょうか。
小泉悠
東京大学先端科学技術研究センター 専任講師
東京大学先端科学技術研究センター 専任講師
早稲田大学大学院政治学研究科修了(政治学修士)。民間企業勤務を経て、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済研究所(IMEMO)客員研究員、国立国会図書館調査員、未来工学研究所特別研究員などを歴任し、2019年から現職。『「帝国」ロシアの地政学「勢力圏」で読むユーラシア戦略』でサントリー学芸賞を受賞。主著に『現代ロシアの軍事戦略』、『軍事大国ロシア』、『プーチンの国家戦略』がある。
【注目するニュース分野】グローバルセキュリティー・ロシアの軍事政策
早稲田大学大学院政治学研究科修了(政治学修士)。民間企業勤務を経て、外務省専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済研究所(IMEMO)客員研究員、国立国会図書館調査員、未来工学研究所特別研究員などを歴任し、2019年から現職。『「帝国」ロシアの地政学「勢力圏」で読むユーラシア戦略』でサントリー学芸賞を受賞。主著に『現代ロシアの軍事戦略』、『軍事大国ロシア』、『プーチンの国家戦略』がある。
【注目するニュース分野】グローバルセキュリティー・ロシアの軍事政策