私たちがどのような活動をしてきたのか、どのような少女たちとつながってきたのか、若年女性支援事業の目的などについても、よくご存知ない方もいると思います。私たちがなぜ少女たちの個人情報を守らなければならないと思っているかにも関係するので、それについて説明させてください。
・私たちは虐待や性搾取にあうなどした若年女性を支える活動をしています。2011年から市民の方からのご寄付や民間の助成金などで活動を続けてきました。
はじめは東京都にも、国にも「そういう子はどこにいるのか」と言われていました。それはなぜかというと、公的機関につながれない少女たちの存在を行政が認識していなかった、出会えていなかったからなんです。
私たちの出会っている少女たちがどういう状況におかれているかというと、大人を信用できない、特に、行政に対して強い不信感を持っています。
多くの子たちが、それまでにSOSを出しても不適切な対応をされて家に帰されていたり、親に言わないでほしいと言って相談したのに、虐待について相談したことが親に知られてさらに深刻な被害にあうなどした経験をもっていて、行政に対する不信感を抱えています。
・また、現実の問題として公的支援が不足していて、中高生などのハイティーンの少女たちが利用できる児童福祉施設もまったく足りておらず、「児童相談所に自分だけで助けを求めても保護してもらえなかった」そういう子がものすごく多くいます。
そうした経験から、大人に助けを求めることをあきらめて、街に集まってきた少女たちがいます。そして、街でもSNSでも、そうした少女たちに声をかけるのが、性売買の業者や買春男性たちばかりという現状があります。
私たちは10年以上前からこうした現状に向き合い、問題を発信してきました。はじめは、「そんな少女たちどこにいるのか」と東京都からも言われていて、公的支援の必要性を訴えても、「若い女性に対する支援の枠組みはない。自助努力でお願いします」と言われてきました。