2018年に国が、公的機関につながれずに性搾取の被害にあう少女たちのいるところに出て行って、つながり、安心して過ごせる場所を提供し、時間をかけて信頼関係を作って、必要な支援や制度に繋げてきた民間団体の取り組みの必要性を認識し、東京都でも「若年被害女性等支援モデル事業」がはじまり、2021年には本事業になりました。
私たちは2023年3月まで5年間、東京都からこの事業を受託して、夜の街で少女たちに声をかけてつながり、性搾取から抜け出して、ひとりひとりが自分の人生を歩いていけるように、暮らしを作る活動をしてきました。
モデル事業が始まってからすぐ、東京都から当初の約束になかった個人別の支援記録を作成するように求められました。誰がどのようなきっかけでつながり、どんな相談をし、どんな支援を受けて、その後どうなったのかの報告を2週間に1度するように求められました。
本人の同意が取れていないと拒否すると、翌年の契約では報告についても盛り込まれたため、私たちは東京都と協議して、疑義解釈を作りました。そして、
・要綱には「関係機関の間で情報共有を行うことについて支援開始時点等に利用者から同意を得ることとする。」とあるが、
本人からの同意を得られなかった場合には、利用者の生命・身体に危険のある場合或いは法令等に特段の定めがある場合を除き、「個人を特定できる情報についてはこの限りでない」こと。
・「支援開始時点において、円滑に支援を開始するための妨げになることが明らかな場合には、利用者から同意をとろうとする必要はない」ことを確認しました。
・また、東京都への情報提供・報告が求められる内容は、「利用者との間で守秘義務が解除されていない事柄については除くという理解でよい」ということを確認して事業を継続してきました。
にもかかわらず、昨年度の監査への協力の過程で、守秘義務が解除されていない相談者の情報について提示を求められたのです。
その後、補助金の要綱でそれらに関する部分について変更されました。