THE SIRIAN STARSEED TAROT

パッケージデザイン【デッキ概要】

 

ウェイト版準拠 ★☆☆☆☆
8、11 力、正義
汎用性 ★☆☆☆☆
サイズ 15.3cm x 10.2cm
紙質

良い……?

 4つのエレメントを中心に据え、中世の時代色やキリスト教の要素をかなり廃した「現代のスピリチュアリズム」を感じるデッキです。大アルカナは名前の変更されたものが多く独自性が強くなっています。反面、小アルカナ数札はおおむねウェイト版のコードに従っているのではないでしょうか。コートカードはまた独自性が強いですね。
 人物などは写真を利用し、CGで背景や彩りを添えた造りです。光を感じるきれいなカードなので、気に入ればイマジネーションは湧きやすいように思います。ただ、既存のタロットの延長として使うのは少し難しいかもしれません。
 サイズはかなり大判で、カード自体の厚みもそこそこあります。コーティングはツルッツル。カードの大きさもありますが、少し反りやすいように思います。


大アルカナ・裏面 小アルカナ

【カード紹介】

 裏面は神秘的なトライアングル。ブルーがとてもきれいですが、上下ははっきりと分かりますね。ガイドブックには正位置の意味しかなく、逆位置については「要素が十分に発揮されていない状態」といった解釈になる、とだけ書かれています。
 魔術師の位置にあるのは「インディゴ」と呼ばれる子供です。スターシードの、新しい世代の子供たちはインディゴたちと呼ばれ云々。ガイドブックは言うまでもなく英語です。彼等は素直というより恐れ知らずで、直感的に自分の道を選びとっていくようなイメージですかねぇ。内容を読んで私の受けた印象では、ですが。
 死神の位置には「トランジション」。毎度おなじみ変容のカードです。横たわる女性から霊魂が離れ、光の中へと浮かび上がっていくところです。
 太陽は「太陽神」。子供や植物、普通の動物といったものはなにも描かれず、紅蓮の恒星を背にペガサスが描かれているのみ。このデッキは光の表現が美しいので、輝く力強さはよく分かるかもしれません。
 ワンドは「炎」に置き換えられています。エースはシンプル。
 カップは家族の姿ではなく、きれいに積み上げられた10個のグラスと、背景の美しい滝。解放され喜びに満ちた感情、といった意味がメインにあるようです。
 ソードは……このデッキのややこしいところがこれなのですが、「オーブ」に置き換えられています。丸いオーブは、ソードに対応しています。そして、ナイトは「アデプト=熟達者」とされ、ソードのナイトのような戦闘態勢ではありません。
 ペンタクルは「クリスタル」に置き換えられています。こちらはウェイト版によく似た図案で、4つのクリスタルに囲まれて座る青年です。成功や財産を手にしているのは確かだけれど、それによって生じる心配事や終着などを意味します。


アレンジは様々【他のカード】

 アセンション(世界)、クリスタルのマスター(ペンタクルのキング)、カップの4、フレイムのアデプト(ワンドのナイト)です。
 世界はおねーちゃんが美人です! ブルー系のきれいな背景にきれいなおねーちゃんです。以上! ……とか言うと怒られそうですのでもう少し真面目に語りますと、このデッキは「スターシード=星の種」が、このアセンションに至って次のレベルにシフトするまでの旅路を描いた感じです。愚者のカード=パッケージで、落ちてきた星の種の旅。つまりはフールズジャーニーの一種です。
 ペンタクルのキングの位置にあるクリスタルのマスターは、水晶髑髏。マヤのものでしたっけ? コートカードについては個別の解説がなく、それぞれのエレメントと、それぞれの位階を合わせて勝手に読んでくれという仕様です。ガイドブック……薄いから仕方ないのですが、ブックレットとの中間みたいなものですね。
 カップの4は、小さくて見づらいと思いますが、星を見上げる女性の背後に3つのカップ、そして逆側では、イルカがもう1つのカップを頭に乗せて差し出しています。これはなかなか面白いと思いました。背後にあるものに気付かずに届かないものを思う、その視界の外には、少しのことで手が届くもうひとつの選択肢。ウェイト版では腕を組んで自己を閉ざし、俯いた青年が描かれています。見ているものが内面か外かという解釈の違いも作れそうです。
 で、フレイムのアデプトすなわちワンドのナイトは、すみません、「あらイケメン」、ただそれだけでここに選びました!! いやだってホントにそれだけ!! フレイムのマスターは中南米あたりの原住民ぽくてこれはこれで紹介したくもあるのですが、この美しいお兄さんをはずすことが私にはできませんでした。

 なお、コートカード……「宮廷」が舞台ではなくなっているのでこの呼び方はおかしいのですが、人物カードは、「シーカー=探索者」「アデプト=熟達者」「セイジ=賢者」「マスター=極めし者」という呼び方に変えられています。


【烏のザレゴト】 ★★☆☆☆

 ウェイト版を愛好し愛用してはいるものの、哲学科出身でもある私は、「シンボルの普遍性は、ユング的にいくとある程度全世界で共通してはいるかもしれないけど、それでも、中世・キリスト教世界で作られ育てられたタロットのコードである以上、たいがいの日本人には馴染まない」とも思っています。ニーチェですかね。普遍性なんて存在しないよと言ったのは。
 白い百合や赤い薔薇、ザクロ、羊、牛と獅子と天使。これらシンボルが持つ「普遍的なイメージ」は、日本人には当たり前ではないのです。西洋神秘主義はあくまでもキリスト教を足場に、その上に育ったか、それを否定し同じものに違う意味をつけなおして作られた感があります。
 ……となんだか変なことを書いてますが、馴染みのない中世ヨーロッパとキリスト教のコードを廃したデッキは、素直に読めばウェイト版よりも読みやすいことがあります。
 このデッキがそうかと言われると微妙ですが、登場文物も老若男女あって、なかなか面白いと思いました。美男美女率もなかなかです。うひ。