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日立アステモ、新CEOに前ホンダ副社長 主導権が移行

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中西孝樹さんの投稿中西孝樹

日立製作所の自動車部品子会社、日立Astemo(アステモ)は1日、前ホンダ副社長の竹内弘平氏(63)が7月1日付で最高経営責任者(CEO)に就任する人事を発表した。ホンダは出資比率を現在の33.4%から40%に引き上げる計画を明らかにしている。自動車業界の電気自動車(EV)シフトが進むなか、経営の主導権をホンダに移す。

竹内氏は3月末までホンダの副社長を務め、現在は同社の取締役に就いている。6月21日に開催する定時株主総会で取締役を退任する。日立アステモの現CEOのブリス・コッホ氏(59)は退任し、日立の欧州事業を統括する日立ヨーロッパ社の会長になる。

日立の小島啓二社長は「EVを中心に自動車業界の変化が速くなっている。完成車メーカーとの関係をつくるためにはホンダが主導権を持った方が良い部分が出てきた」と話していた。日立アステモはEVの駆動装置「イーアクスル」などを生産している。日産自動車にも別の部品会社を通じてモーターなどを納入した実績がある。

日立アステモは21年1月、日立の完全子会社である日立オートモーティブシステムズとホンダ傘下のケーヒン、ショーワ、日信工業が統合して発足した。9月には日立が出資比率を現在の66.6%から40%に引き下げ、ホンダと同等にする。同時に産業革新投資機構(JIC)傘下のファンドも2割出資し、新規株式公開(IPO)を目指す。

日立アステモは5月、自動車部品の生産に関連した不適切行為について調査結果を公表した。国内外の15拠点・22製品に関し、定期検査を実施しなかったり、顧客に無断で仕様を変更したりしていた。コッホ氏は5月19日の記者会見では「現在の経営陣で必要な対策をしっかりと取っていく。私が強く関わって、文化を改善しようとしている」などと話していた。

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    中西孝樹ナカニシ自動車産業リサーチ 代表アナリスト
    分析・考察

    2つの重要な意味があると考えます。第1に、次世代BEV専用e-Architectureに向けた垂直統合型でのEVの駆動・制御を早期にホンダ主導で実施すること。第2には、Astemoのバリューアップを図り、投資のリターンを確保するイグジット(IPO)を実現することです。EVは水平分業型開発では変化に追いつけず、OEMが主導する垂直統合型の開発が現段階では必要です。日立Astemoでは全く開発要請に追いつかない経営でホンダはやきもきしたことだと察します。そこで、事業と財務の双方の経験を持つ竹内氏が主導することになりました。今後Astemoで起こることは、トヨタGにも起こるでしょう。要注視です。

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