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  サイパンの人魚伝説(セレナ)



サイパンの人魚伝説(セレナ)イメージ
 昔々、タナパグ(現在のサイパン港を含む一帯)に一組の夫婦が住んでいました。
彼らにはセレナという名前の一人娘がいました。彼女は泳ぎが好きで、いつも海で魚たちと一緒に泳ぎ回っていました。

 やがて、母親は娘が泳いでばかりいて、家事を少しも手伝おうとしないのに腹を立て、「お前など魚になってしまえばいい」と言ったそうです。しかし、娘は一向に海で泳ぐことをやめようとせず、家事などの手伝いをしませんでした。

ある日、いつもの通り海で泳いでいると、近くを泳ぐ魚たちが彼女に自分たちの鱗を付けて泳ぐように言いました。彼女は喜んで魚たちからもらった鱗を自分の下半身につけると、あれよあれよと言う内に彼女の下半身は魚のように変わりました。そうです、彼女は人魚になったのです。

 一人娘が人魚になってしまったので、両親は大変なショックを受け、父親は庭に大きな井戸を掘って、そこに娘を入れました。しかし、娘は海水に住みたがり、やがて病気になってしまったので、両親は娘の命を救うために、やむを得ず娘を海に戻しました。
 それからというもの娘は、魚たちと一緒に海で楽しく暮らしたそうです。

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これがサイパンに伝わる人魚伝説ですが、サイパンの古老たちに話をよく聞いてみると「セレナ伝説」はもともとグアムに有った話がサイパンで作り替えられて伝わっていたようです。 そこで、グアムに伝わるセレナ伝説も以下に掲載します。
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 昔々、アガニア川のほとりのミノンドというところに、1人の息子と3人の美しい娘のいるチャモロ人の一家が住んでいた。末娘の名前をセレナといったが、彼女が3人の姉妹の中で一番美しかった。
 ところがセレナは、2人の姉と違って、とにかく水の中で泳ぐのが大好きで、家の前の川で泳ぐはもちろん、時にはリーフを越えてアガニア湾の沖まで泳いで行っていた。そして、縫い物とか、掃除、洗濯など、その年頃の女の子がしなければならないことには、一切、興味を持たなかった。
 彼女のお母さんは、セレナが結婚して良い妻、良い母になれるように、一生懸命、仕込もうと努力していたが、セレナが泳ぎにしか興味を示さないので、ほとほと困っていた。
 ある日、お母さんがアイロンをかけようと思ったら、ちょうど炭が切れていた。その当時、アイロンにはヤシの実の殻を焼いてつくった炭を使っていた。

 そこで、お母さんはセレナに「叔母さんのところへ行って、炭をもらってきてちょうだい」と頼んだ。叔母さんは、アガニア川の対岸に住んでいた。橋を渡ってお使いに行くはずのセレナは、川の水を見ると飛び込んで泳ぎ回り、お使いのことも、時のたつのもすっかり忘れてしまった。やがて、日が暮れて辺りは暗くなってきた。お母さんは、またセレナが時間がたつのも忘れて泳いでいるのだと思うと腹が立ってきた。そして、「あの娘は魚になってしまえばいい」とつぶやいた。
昔のチャモロ人たちは、言葉には魔力があると信じていたから、滅多にこんなことは口にしないのだが、お母さんは本当に怒っていて、つい、そういってしまったのだ。間髪を入れず、そばにいたおばあさんが「あの子の上半身はそのままでありますように」といった。
 泳いでいたセレナは下半身に異常を感じ、足を見ると、それは魚の尻尾になっていた。そして、あっという間に、彼女は腰まで魚になってしまった。彼女はすっかり嬉しくなって川の流れとともに、沖に泳ぎ出て行った。

 その後、船乗りや漁師たちが、沖で何度かセレナを見かけたり、彼女が歌っているのを聞いたりしたが、すぐ彼女は泳ぎ去ってしまった。
 やがて、人間の髪の毛でつくった綱でなら、彼女を捕らえることができると信じられ、1人の船長が人間の髪の毛でつくった綱でセレナをやっと捕らえたが、彼女はするりと逃げ去り、その後、2度と人間の前に姿を現さなくなった。



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