東京から京都に移転した文化庁が業務を始めた。庁舎は京都市上京区の京都府庁敷地内にある。建物は旧京都府警本部本館を改修し、6階建ての新築棟とつながっている。公開予定のスペースもあるが、当面は外部の人が自由に出入りできない状態が続く。
庁舎は府が約91億円をかけて整備した。文化庁入居部分は約38億円で、約30年かけて賃料を府が受け取り、回収する計画となっている。
旧府警本部本館は地上3階建て。1927(昭和2)年、昭和天皇の即位を記念して建てられた。将来の文化財登録も見据えて保存、改修した。府庁中庭側の正面入り口から入ると、石造りの階段の踊り場周辺に、建築当時からのステンドグラスやレリーフが残る。
長官室は2階で、以前は府警本部長室だった。西陣織の来客用ソファが置かれている。3階の特別会議室は扉付近の装飾を残して往時の雰囲気を伝えるが、東京と結ぶテレビ会議用の大型モニターの方が目を引く。
北側の隣接地に建てられた新行政棟は、1~3階に文化庁が入り、4~6階を府教育委員会が使う。入り口は別々で国と府の職員はフロア間を行き来できない。府教委は5月に移る予定という。
1階は一般の来庁者の利用を想定した文化情報発信室。開放的な空間に、デジタル技術で複製した狩野永徳筆の国宝・檜図屏風(びょうぶ)が並ぶ。大型のモニターなどで日本文化の魅力をPRする。現在は面会予約がないと外部の人は入庁できず、文化情報発信室の公開開始時期も未定という。
京都庁舎は3月27日から、長官や政策課職員など約70人体制で動きだした。5月15日に移転を完了すると約390人が働く予定。